徹底比較! 「Next Generation Portable」対「ニンテンドー3DS」:日々是遊戯
昨日の「Next Generation Portable(NGP)」発表で、いよいよSCEと任天堂の次世代携帯ゲーム機が出そろいました。果たして両者はどのようなスペックで、どのあたりが違うのか?
次に携帯ゲーム機市場の覇権を握るのはどっち?
1月27日の「PlayStation Meeting 2011」でついに発表された、ソニー・コンピュータエンタテインメントの「Next Generation Portable(コードネーム/以下、NGP)」。これでようやく任天堂の「ニンテンドー3DS」と、SCEの「NGP」、次世代携帯ゲーム機の本命が出そろった形になります。
二画面+タッチスクリーンというニンテンドーDSの設計思想を受け継ぎつつ、さらに「3D」という大きな武器を備えた3DS。かたやよりリッチなゲーム体験を追求し、これでもかと言わんばかりに要素を盛り込みまくったNGP。今回は公式発表を参考に、両ハードの機能・性能を比較してみたいと思います。
処理能力
【3DS】
- 非公開
【NGP】
- CPU:ARM Cortex-A9 core (4 core)/GPU:SGX543MP4+
まずは処理能力の部分から見ていきましょう。といっても、3DS、NGPともに具体的なベンチマークまでは公開しておらず、詳細は不明。ただ公開された映像から判断するかぎりでは、3DSはゲームキューブやXbox(初代)クラス以上、NGPはそれよりさらに上と予想されます。
また発表会で公開された「龍が如く OF THE END」や「メタルギアソリッド4」のリアルタイムデモを見るかぎり、NGPのスペックは現行のHD機にかなり近いと推測。いずれにしても、どちらも既存のニンテンドーDSやPSPを大きく上回るスペックを備えていると見てよさそうです。
ディスプレイ
【3DS】
- 3.53インチ裸眼立体視機能付きワイド液晶(上画面)+3.02型タッチ入力機能付き液晶(下画面)
- 約1677万色表示可能/800×240ドット(上画面)/320ドット×240ドット(下画面)
【NGP】
- 5インチ有機ELディスプレイ(静電容量式マルチタッチスクリーン)
- 約1677万色表示可能/960 x 544ドット
両者で大きく違っているのがディスプレイ。3DSは2画面+タッチスクリーンという基本こそ変わっていないものの、上画面が16:9のワイドスクリーンになり、さらに横800ドットを左目用、右目用にそれぞれ割り振ることで裸眼立体視が可能になっている点が大きな特徴です。
一方、NGPは3DSよりもさらに高精細な「960 x 544ドット」という解像度を実現しており、立体視こそできないものの、携帯機ながらほぼHDクラスの映像を楽しむことが可能。またディスプレイ自体も従来のTFT液晶から有機ELへと変わっており、有機ELならではの精彩感にも期待できそうです。
単純に解像度、サイズではNGPが勝っていますが、一方で3DSは2画面+裸眼立体視という武器がある。一概にどちらが勝っているとは言えませんが、ユーザーとしてはそれぞれの強みを生かした「ならでは」のゲームの登場に期待したいところです。
インタフェース
【3DS】
- タッチスクリーン(下画面)
- カメラ(内側1個・外側2個)/内蔵マイク/モーションセンサー/ジャイロセンサー
- 従来の操作系に加えて、新たにスライドパッド(360度のアナログ入力可能)を採用
【NGP】
- マルチタッチスクリーン(静電容量方式)/背面マルチタッチパッド(静電容量式)
- カメラ(前面・背面)/内蔵マイク/6軸検出システム(3軸ジャイロ・3軸加速度)/3軸電子コンパス機能
- GPS/Wi-Fiロケーションサービス対応
- 従来の操作系に加えて、本体左右に2本のアナログスティックを採用
入力面ではどちらのハードも、タッチスクリーン、カメラ、マイク、モーションセンサーなどを標準で搭載。DSが発売された当時はタッチスクリーン採用だけでも大騒ぎでしたが、最近の携帯デバイスではもはやこれくらいは標準になりつつありますね。また3DSでは新たにアナログ入力可能なスライドパッドを搭載、NGPではさらに、これまでユーザーからの要望が多かった「右スティック」も搭載しており、スティック・ボタン類についてはどちらもかなり据え置き機に近づいた印象があります。
個別で見ると、3DS側は3D撮影用に外側カメラを2個搭載しているのが特徴。そのほか、3D映像の深度を調整できる「3Dボリューム」も搭載しています。
一方、NGPは前面スクリーンだけでなく、本体背面にマルチタッチパッドを搭載している点がユニーク。またNGPのタッチ方式はiPhoneなどと同じ静電容量式で、おそらく指による操作がメインになるものと推測。またマルチタッチが可能なのもこの方式の特徴で、発表会ではマルチタッチを生かしたゲームなどもさっそく発表されていました。そのほか電子コンパス、GPSといった位置情報センサー類もNGPならではの機能のひとつとなっています。
通信機能
【3DS】
- 無線通信(2.4GHz/IEEE802.11b/g対応)
- インターネットには無線LANアクセスポイント経由で接続
【NGP】
- IEEE 802.11b/g/n (n = 1x1)準拠(Wi-Fi)(インフラストラクチャーモード/アドホックモード)
- モバイルネットワーク通信機能(3G)に対応し、単体でインターネット接続が可能
- Bluetooth 2.1+EDR準拠(A2DP/AVRCP/HSP対応)
通信面ではどちらも、無線LANによる接続は今までどおり可能。加えて3DSでは、スリープモード中に自動で情報やデータを取得してくれる「いつの間に通信」機能を搭載、また好評だった「すれちがい通信」をさらに強化するなど、従来の無線LANを軸に、さらに機能・サービス面を充実させてきた形です。
一方、NGPは無線LANに加えて、さらにPSP Goで採用されたBluetooth、携帯電話などと同じ3G通信機能を搭載。今まではインターネットに接続するには無線LANアクセスポイントを経由する必要がありましたが、3G通信が可能になったことで、NGPではいつでも単体でインターネットに接続可能ということになります。もちろん携帯ゲーム機で3G通信に対応するのはNGPが初。
ただ3G通信の採用にあたって、携帯電話などと同じように回線契約・月額料金が必要になるのか、それとも追加料金が発生しないような何らかのプランを用意するのかなどは一切不明。このあたりは今後の情報公開を楽しみに待ちたいところです。
ソフトウェア
【3DS】
- メディアはニンテンドー3DS専用ゲームカード
- 3DS専用タイトルに加えて、従来のDS用タイトルとも互換性アリ
- ニンテンドー3DSカメラ、Miiスタジオ、ARゲームズなど内蔵ソフト多数
- 「ニンテンドーeショップ」でダウンロードゲーム配信
- バーチャルコンソールでゲームボーイ、ゲームボーイカラー用ソフト配信
【NGP】
- メディアはNGP専用カード
- UMDとの互換性はナシ。ただしPSP用ソフトでもダウンロード版はプレイ可能
- 「PlayStation Suite」用アプリ対応
3DSは完全な後方互換アリなのに対し、NGPはダウンロード版のみプレイ可能と、部分的な後方互換に留まりました。既存のPSPユーザーとしては、今あるUMDがプレイできないのはちょっと残念なところかもしれません。
そのほか3DS、NGPともに、ダウンロードゲームの配信システムも採用。3DSではバーチャルコンソールで既存のゲームボーイ・ゲームボーイカラー用ソフトを配信していくほか、過去の名作を3D表示に対応させて配信していく試みも。またNGPでは、Androidとのクロスプラットフォームを実現した「PlayStation Suite」というサービスを展開予定で、「PlayStation Suite」用に開発されたアプリはNGPからもプレイ可能になるそうです。
同じ携帯機でも、コンセプトはまったく別
現時点で明らかになっているスペックは大体こんなところでしょうか。さすがに後発だけあって、スペック面では今のところNGPがややリードしている印象を受けましたが、前述のとおり3DSには「裸眼立体視」という他にない武器がありますし、NGPは肝心の「価格」がまだ発表されていない。単純にこれだけを見て「どちらが上」と言い切ってしまうのはまだ時期尚早というものでしょう。
果たして次に携帯ゲーム機市場の覇権を握るのはどちらなのか。みなさんは3DSとNGP、どちらのハードが魅力的に感じましたか?
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