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久夛良木氏の基調講演はSFも超えた!?
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2002年9月20日
東京ゲームショウ2002の初日は,ソニー・コンピュータエンタテインメントの代表取締役社長,久夛良木健氏の基調講演が行われた。 満席の場内では,プレイステーションの生みの親といわれる久夛良木氏ならではのテクニカルな分析を交え,コンピュータの進化と,その上で実現するエンタテインメントへの期待が語られた。
また,この基調講演に先立ち,エンタテインメントの世界に新風を吹き込むことで注目されている吉本興業の林裕章社長,およびファンタンゴの中井秀範社長による特別講演も開催された。
今やコンピュータエンタテインメントは世界の118カ国にも広がっている。久夛良木氏の話はいきなりグローバルな観点から始まった。
日本のプレイステーションおよびPS2の販売台数は,米国に次いで堂々の2位だという。母国としては当然と思えることながら,ヨーロッパでの普及度ランキングデータを引用しながらの話には説得力があった。
さて,ブロードバンドの流れの中,久夛良木氏の話はやはりネットワークコンテンツに対する期待へと進行する。
久夛良木氏のオンラインコンテンツへのイメージは家庭での普及を前提としている。家庭用テレビで,URLのような文字列を扱うのではなく,テレビのリモコンを操作するようにあらゆるコンテンツにアクセスできること。
ROMであってもハードディスクであっても,そしてネットワークであっても,メディアがどこにつながっていようが気にならない。そんななシームレスなインタフェースがあれば,それは大きなパワーを持つはずだというのだ。
また,オンラインゲームの危険なまでの面白さを認めつつも,ビジネスとしてパッケージメディアの重要性も指摘された。スタンドアロンで動作するパッケージのゲームコンテンツは採算ラインを超えると,あとは利益だけが膨らんでいくのに対し,オンラインコンテンツはユーザーが増えるとサーバーの増強やサポートの強化,そして頻繁なバージョンアップなどの追加コストが大きくなってくるからだ。
そして,ゲームの枠を超えてSCEが取り組んでいるCell Computerについても話が及ぶ。これはいわばネットワークプロセッサであり,ひとつのプロセッサが進化するだけでなく,ネットワークで無数につながることで,さらなる進化を果たすという。
10PFLOPS(ペタフロップス)になれば2001年宇宙の旅に出てきたHALのように人間並みの知能と認識力を持ち,100PFLOPSなら,映画マトリックスのように街全体を支配し,感じることができるレベルになるという。
まさにSFの世界の話のようだが,コンピュータの意識レベルが「地球環境をモニターできるようにならなくては」と久夛良木氏の理想は高い。
そして,こうしたコンピュータの進化を背景に,久夛良木氏は「ゲームは他のさまざまなエンタテインメントと同様に発展し,ゲームがテクノロジーを牽引し,コンテンツをも引っ張っていくだろう」と講演を締めくくった。
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