フィリピンと尖閣諸島の中間に位置する小島海市島は，大規模な埋め立てと入植が行われた半人工島だ。

　その開発は，21世紀初頭にウラン鉱が発見されてから開始されたもので，アジア12カ国からなる軍事・経済ブロック環太平洋機構によって管理，また，その運営は，複数の国家代表から成る運営評議会によって行われていた。

　だが，評議会には環太平洋機構による支配を不服とする者達もいた。

　やがて，海市島と環太平洋機構との対立は，海市島側が新政権を発足し，太平洋機構からの脱退を宣言して島内の海外資産の接収を強行したことにより，いよいよ紛争へと発展する。

　環太平洋機構は，その戦力の中核を成す第七特殊機甲師団を投入し，武力解決を計るべく海市島沙萬海岸への上陸作戦を開始する。

　対する海市島側も首都警護師団を投入，徹底抗戦の構えを見せる。

　かくして，海市島を舞台にした対立は，本格的な戦争へと発展した。

　そして，この戦闘においてバーティカルタンク（VT）と呼ばれる巨大二足歩行兵器が，初めて実戦に投入されることとなった……。