第9回:テクニック・イズ・スコア! プレイヤーに「ゲームがもっとうまくなりたい!」と思わず夢中にさせてしまう得点アップの仕組み:なぜ、人はゲームにハマルのか?(2/3 ページ)
「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の9回目も、“得点”に秘められた巧妙なテクニックを考察します。
対戦格闘ゲームの爽快感がさらに増す絶妙のテクニカルボーナスとは?
今度はジャンルをガラリと変えて、対戦格闘ゲームにおけるテクニカルなボーナス得点システムの例を見てみましょう。
次に紹介するプレイ動画は、データイーストというメーカーが1984年にアーケードゲームとして発売した「空手道」です。本作は突き技や蹴り技を駆使して、相手より先に「一本」を2回取れば勝ちとなるルールになっています(※ヒットした攻撃が「技あり」と判定された場合は、「技あり」を2回決めると合わせ技で「一本」になります)。
本作では、相手に攻撃がヒットするたびに個々の技ごとに決められた得点が入るようになっています。技によって得点が変わる様子は、用意したムービーを見ていただければ誰の目にも明らかでしょう。
技の種類は「一本」が取れる技と「技あり」にしかならないものとで大きく2種類に分けられますが、この分類の基準となっているのは技の入力方法です。本作は4方向レバーを2本使って操作する仕組みになっているのですが、「技あり」にしかならない技は1本のレバーを動かすだけで出せるのに対して、「一本」がとれる技は2本のレバーを組み合わせたコマンドを入力しないと出すことができません(※)。
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さらにムービーをよく見ると、同じ技を決めても状況によって得点が異なるケースがあることが分かります。みなさん気付かれましたか? 実は本作では、同じ技でも決まるタイミングが悪かったときには得点がなんと半分に減点されてしまうことがあるのです。しかも、本来は決まると「一本」になる技の得点が半分になった場合は「技あり」に格下げされてしまうマイナスポイントも生じるのです。減点されてしまったときにはちょっと悲しくなりますが、逆にドンピシャのタイミングで技が決まって「一本」が取れたときは気分爽快です。
もう随分昔に出たゲームですが、こうして見るとなかなかどうして奥深い作品であることがわかって実に興味深いですよね。
これと同じような例が、カプコンが1991年に発売して対戦格闘ゲームの一大ブームを巻き起こした「ストII」こと「ストリートファイターII」にも存在します。
ハイ、それではここでまたまたクイズです! ムービー内に登場している白い胴着姿の格闘家であるリュウが、必殺技の昇龍拳をヒットさせたときの得点の入り方が状況によって異なる場合があるのですが、この得点の違いはどのような理由で発生するのでしょうか?
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正解は、対戦相手をギリギリまで引きつけてヒットさせたときが1000点、それ以外の場合は300点になるからです。敵を引きつけるということは、もし技を出すタイミングが遅れるとそれだけ相手の反撃を受けてしまうリスクが拡大することになります。しかし、「1000点ヒット」に成功すれば得点が稼げるのと同時に、相手に与えるダメージも大きくなる効果があるので、上手な人ほどより有利に戦えるメリットもあるのです。
また本作の続編にあたる「ストII'(ダッシュ)」では、最後に必殺技を当てて相手をKOすると通常の3倍の得点がボーナスとして入るルールが新たに追加されました。このようなボーナス得点のアイデアを盛り込むことで、相手にトドメを刺したときの爽快感をより高める効果があると言えるでしょう。さらに1993年に登場した「スーパーストリートファイターII」では、2回以上連続で技をヒットさせるとコンボボーナスが加算されるシステムが新たに導入されました。例えば、3回連続でヒットさせたときには「3HIT COMBO」と画面に表示され、ヒット数および使用した技に応じたボーナス得点が入ります。このシステムは現在でも多くの対戦格闘ゲームに採用されていますので、対戦格闘ゲーム好きの方にはどなたでもおなじみでしょう。
「ストII」シリーズに限らず、対戦格闘ゲームにおいてはどのキャラクターを使っても必殺技を出すためには複雑なコマンド入力が必要です。何度も練習を繰り返して、いつでも自由に技が出せるようになったときにはとても嬉しくなりますが、このようなスコアアップの仕組みを加えることでその喜びがさらにアップしますよね!
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