第9回:テクニック・イズ・スコア! プレイヤーに「ゲームがもっとうまくなりたい!」と思わず夢中にさせてしまう得点アップの仕組み:なぜ、人はゲームにハマルのか?(1/3 ページ)
「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の9回目も、“得点”に秘められた巧妙なテクニックを考察します。
人はなぜゲームにハマルるのかを、プレイ動画や画面写真を見ながら楽しくかつまじめに考える当コラム。今回も前回に引き続き、プレイヤーがついつい夢中になってしまうスコアアップのシステムをテーマにお送りします。特に今回は、プレイヤーが高度なテクニックをマスターすればするほど得点がみるみる上がり、ゲームがさらに面白くなる仕組みにフォーカスしてお送りしていきたいと思いますのでよろしくどうぞ!
「なぜ、人はゲームにハマルのか?」バックナンバー
- 第8回:ステージクリアの快感をさらに高める、ボーナス得点のアイデアいろいろ
- 第7回:ハイスコア更新は常に命がけ! 「ボーナス獲得=ハイリスク」の法則
- 第6回:ハラハラドキドキ感を演出するゲームサウンドの魅力
- 第5回:ゲームをより面白くする「4ステージ1セットの法則」
- 第4回:ピンチの後にはチャンスあり! プレイヤーへの爽快感を高める「逆転の法則」
- 第3回:「なぜ、ゲームではステージ数の表示方法にこだわるのか?」
- 第2回:「なぜプレイヤーは“ハイスコア”に夢中になるのか?」
- 第1回:「なぜ、プレイヤーはマニュアルを読まなくてもゲームを遊べるのか?」
敵の倒し方によって得点が変わるのがシューティングゲームの醍醐味
シューティングゲームといえば、太古の昔から敵を倒すごとに得点が獲得できるルールと相場が決まっています。とはいえ、いつ、どこで、どんな敵を倒しても同じ点数しか入らないようなゲームだとプレイしていて面白さがいまひとつ感じられないでしょう。しかし、敵を倒したときの条件によって得点が変わるルールを追加すると、たったこれだけのことでもゲームが俄然楽しくなるから不思議です。
例えば、1978年に発売されて日本中で大ブームを巻き起こしたタイトーの「スペースインベーダー」では、敵が自機から遠く離れた位置(画面の上側)にいるほど倒したときの得点が高くなります。距離が遠くなるにつれて狙いを定めるのが難しくなる分、成功したときのご褒美を増やすことによって、プレイヤーの爽快感をさらに高める効果があるというわけですね。
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この発展形とも言えるシステムを導入したのが、以前の当コラムでも何度か取り上げているナムコ(現:バンダイナムコゲームズ)の古典的名作、「ギャラクシアン」および「ギャラガ」です。両作品とも、遠くにいる敵ほど点が高くなるのは前述の「スペースインベーダー」といっしょですが、実は同じ敵キャラでも倒したときに加算される得点が異なるケースが存在します。
「アレッ、そうだったっけ?」と思われた方、および両作品をご存じない方は早速、「ギャラガ」のプレイ動画を見て得点の違いがどこにあるのかをぜひ探してみてください。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
その答えは、編隊飛行や単独降下中に倒した敵の得点が、画面上部に待機している敵を倒したときの得点よりも高くなるから。待機中の敵に比べて、高速で動いている敵を倒すのははるかに難しい技術が必要とされますから、動き回る敵に狙いを定めて見事仕留めたときには得点がたくさんもらえるようにしてあるというわけです(※「ギャラガ」では移動中のザコキャラの得点は待機中の2倍になります)。
さらに敵軍の一番上のラインにいるボスキャラ(ボスギャラガ)を倒すと、他のザコ敵よりもはるかに高い得点がもらえます。特に、赤いザコ敵と編隊を組んで攻撃を仕掛けてきたときに倒すと、最高で1600点もの高得点がもらえるようになっているのです。降下中のボスギャラガはたくさんの弾を撃って攻撃してきますが、うまく倒してボーナスを獲得できたときの喜びはひとしおです。ちなみに待機中に倒した場合の得点は150点ですから、その差は歴然ですよね。
なお、「ギャラガ」のムービーの途中にはデモ画面の様子も収録してありますが、これは別に編集を間違えたわけではありません。あらためて画面をよ〜く見ると、どうやってボスギャラガを倒せば高得点ボーナスがもらえるのかが、初見の人にも一目瞭然に分かる見事なデモンストレーションになっています。本作は元々アーケードゲームとして1981年(今年でちょうど30周年ですね)に発売されましたから、お客さんに遊んでもらうためにはこのような演出が必要だったのです。
昔からゲームセンターでいろいろなゲームを遊んでいる人にとっては、このようなデモ画面の存在はよくご存知のことでしょう。しかし、家庭用ソフトでしかゲームを遊ばない人にとっては、このような演出は古い作品でありながら新鮮に映った人もきっといるのではないでしょうか?
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