第11回:開発者VSプレイヤーの知恵比べ? あの手この手で編み出されたボーナス得点システムの数々:なぜ、人はゲームにハマルのか?(2/3 ページ)
「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の11回目は、ユニークなボーナスシステムの魅力について。
次にご紹介するのは、アクションゲームでゴール地点にたどり着くと加算されるクリアボーナスのシステムについてです。
クリアボーナスの典型的な例としては、任天堂が1985年にファミリーコンピュータ用ソフトとして発売した「スーパーマリオブラザーズ」があります。ゴール地点でタイミングよくジャンプして、旗(ポール)の高い場所につかまるほど高得点が入るシステムになっていることは多くのみなさんがご存知のことでしょう。このようなゴールしたときの状況・条件次第でボーナス得点が変化するシステムは、調べてみると本作以前に発売された作品でも登場した例があることがわかります。
その代表例は、ナムコ(現:バンダイナムコゲームス)が1984年にアーケード用ゲームとして発売した「パックランド」。本作では、ゴール地点でジャンプをするとそのタイミングによって10〜7,650(ナムコ)点が入るという、ちょっとしたお遊び的なボーナスが存在します。オマケのようなボーナスとはいえ、プレイヤーとしては当然ながら100円で少しでも長く遊ぶために得点を稼いでエクステンドを目指すことになりますから、見事7,650点(※地面に着地する直前ギリギリのタイミングで主人公のパックマンを静止させる)を出すことに成功したときは気分爽快です。
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また、同じくナムコが1985年に発売したアーケードゲームの「メトロクロス」では、コース上にときどき出現するスケボーに主人公を乗せて、途中で一度も転ばずにゴールすると1万点のボーナスがもらえるようになっています。スケボーは敵であろうと障害物であろうと触れた瞬間に即なくなってしまいますから、ボーナスを得るためにはミスの許されない高い技術が求められます。しかも、スケボーに乗っている間はジャンプで敵を避けることができません(※ジャンプするとスケボーが消えてしまう)ので、プレイヤーは普通に走っているときとは全然違う攻略パターンの構築を楽しむことができるのです。
さらにゴール地点にあるバー(ゲート)を、その直前にあるクラッカーの反動を利用して跳び越える(通称:「クラッカージャンプ」)と5千点が入るという面白いアイデアも盛り込まれています。このボーナスを獲得する場合にも、やはりジャンプのタイミングと軌道を正確に操作するテクニックが必要となります。
今回ご用意したムービーには、上記2種類のクリアボーナスに加えて、ステージの途中で新しいスケボーに乗り継ぐと獲得できる隠しボーナスを獲得した場面も収録してあります(これまた面白いアイデアですね!)ので、ぜひご覧になってみてください。
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今度は同じ種類の敵を倒し続けると隠しボーナスが入るという例を取り上げます。
任天堂が1985年に発売したファミリーコンピュータ用レースゲームの「マッハライダー」は、コース上に出現する敵の車をマシンガンで撃つか、側面からの体当たりでコース外に押し出して路肩にあるドラム缶にぶつけて破壊すると得点が入るようになっています。よって、出てくる敵を片っ端から倒していけばハイスコアの獲得は間違いなし……なのかというとさにあらず! 実は本作では、同じ色の敵を10台連続で倒すとファンファーレが鳴り、ボーナスが加算される隠し技があるので、ステージによってはこの方法を使ったほうがより多くのスコアを稼げるようになっているのです。ただし、途中で色の異なる車を倒した場合は最初からまたやり直しになってしまいますから、このボーナスを獲得するには違う色の邪魔な敵をやり過ごしつつ、狙った色の敵を正確に仕留める技術が要求されることになります。
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これと同様のボーナスシステムは、先ほども紹介した「レイディアントシルバーガン」にもあります。本作に登場する敵は赤、青、黄色のいずれかの属性があり、同じ色の敵を連続で3機破壊するごとにチェーンボーナスが加算されるようになっています。ボーナス得点はチェーンをつなぐたびにどんどん跳ね上がり、最初は数百点レベルだったのが最高でなんと10万点にまでアップします。色の異なる敵の攻撃を避けながら、同じ色の敵だけを狙って撃つパターンを作るのは正直かなり骨が折れますが、その分苦労の末にうまくチェーンがつながったときは本当に快感です。
同じく、トレジャーが2001年に発売した「斑鳩(いかるが)」でも、黒または白色の敵を3機連続で倒すとチェーンボーナスが入ることは、シューティング好きの方であればよくご存知のことでしょう。
3:ストイックなボーナスシステムに秘められた「狙い」とは?
以前の当コラムでも取り上げましたが、主にアクションゲームにおいてステージクリア時にストックしていたアイテム数に応じたボーナスが加算される例は、今も昔も非常に多くの作品において見ることができます。
勲章などの得点アイテムとは別に、敵の弾や攻撃を瞬時に消し去る緊急回避用アイテムである、いわゆるボンバーのストック数によってボーナスが入る作品も昔から少なからず存在します。アクション・シューティング好きの人であれば、ボンバーはなるべく温存して得点を稼ぐのか、それとも安全第一で惜しみなく使用するのか、プレイ中に迷ったり悩んだりした経験がきっとあるのではないでしょうか?
このようなボンバー1個につき何点、というストックボーナスのシステムをさらに発展させた例として特に面白いのが、アトラスが1995年に発売したアーケードゲームの「首領蜂(ドンパチ)」。本作では、ステージクリア時にボンバーのストック数×1万点のボーナスに加えて、ボンバーのキャパシティ(最大ストック容量)に応じた得点が同時に加算される仕組みになっています。
ゲーム開始時のボンバーのキャパシティは3個と決まっていますが、ゲーム中に一定回数のボンバーを使用するごとに枠が増加して、最大7個まで増やすことが可能です。ボンバーを使えば使うほどキャパシティが増えるのは確かにありがたいのですが、実はステージクリア時にもらえるボーナスはキャパシティが多くなるほど低くなるため、スコアをより稼ぐにはボンバーをなるべく節約する必要が生じます。つまり、上手な人には楽をさせずにミスを誘う仕掛けを作ることによって、インカム(売上)を稼げるようにしようという狙いが込められているというわけですね!
さらに本作のスゴイところは、ボンバーのキャパシティを最少の3個の状態に維持しておくと、1面クリア時は10万点、2面は20万点、3面は40万点…とボーナスがどんどんアップし、2周目以降は1ステージをクリアするたびになんと500万点(!)もの特大ボーナスが加算されること。けっして簡単ではありませんが、敵の猛攻撃を見事かいくぐって高得点のキャパシティボーナスをゲットしたときの感動はひとしおです。
また、先ほども取り上げた「コズモ・ギャング・ザ・パズル」では、ときどき出現するお助けアイテムのスター(※縦7列分にいるコズモを全滅させる効果があります)を使わずにキャンセルすると、ボーナスとして10万点が入るというユニークな技が隠されています。これもやはり、「上級者には楽にプレイさせない」ことの見返りとして得点を与えるという一例ですね。スターを使った場合とそうでないときの両方を収録したムービーをご用意しましたので、ぜひその違いをご覧になってみてください。
ちなみに、このようなアイテムキャンセルによる特別ボーナスのアイデアは、同じくナムコ作品の「エメラルディア」や「ティンクルピット」などにも採用されています。
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