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第13回:「隠れキャラ」に隠された、プレイヤーをゲームのとりこにするヒミツ(つづき)なぜ、人はゲームにハマルのか?(5/5 ページ)

「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の13回目は、隠れキャラの魅力についての続きです。

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 そして極めつけ(?)なのが、1986年にSNKが発売したファミコン用シューティングゲームの「ASO」。本作では、特定の地上物を撃つと出現する赤い「R」マークのアイテムを3回連続で取るか、またはニュークリアアーマーを装着した状態で特定の地上物を撃つとオジサンの顔をした「隠れキャラ」で登場します。前者は単なる「見せ物」でしかありませんが、後者は取ると1万点のボーナスがもらえるようになっていました。ご用意したムービーにて、宇宙空間に浮かぶオジサンの顔のシュールな光景をぜひご覧下さい!

ムービー:「ASO」
SNK (C)1986 ELECTRONICS CORP.

 実はこのオジサン、いったい誰が最初に言い出したのかは定かではありませんが、当時のプレイヤー間では「SNKの社長がモデルらしいぞ?」というウワサがあちこちで聞かれたといいます。本当に社長自らが元ネタだったのか、その真相を確かめるべく当時のファミコン専門誌上でも「情報求ム!」と読者からのハガキを募集していたこともあったというのですから、今となっては考えられない微笑ましい(?)エピソードですね。

 また、本作でもオジサンを含む全10種類の「隠れキャラ」などを探した人には抽選でプレゼントがもらえるキャンペーンを実施していました。インターネットを利用して、日本はおろか世界中のプレイヤー同士で情報を集めることが可能となった現在では、このようなイベントはもはや実現不可能になった感があります。当時はなんとも牧歌的な時代だったんですねぇ……。


「隠れキャラ」のヒミツのまとめ

 と、いうわけで、2回に分けてお送りした「隠れキャラ」の秘密についてのコラムはいかがでしたでしょうか? プレイヤーを大いに楽しませてくれるのはもちろん、当時はまだ小さなソフトハウスや町工場に過ぎなかった多くのゲームメーカーが急成長を遂げていた1980年代、多くの作品において「隠れキャラ」が大活躍していたことがきっとご理解いただけたのではないかと思います。

 前回のコラムでも説明しましたが、アーケードから家庭用へとゲームを移植するにあたり、当時のプレイヤー間では唯一無二の情報源であったゲーム専門誌が、自社タイトルを誌面に取り上げてくれるよう「隠れキャラ」を新たに盛り込んだ例が数多く存在していました。「隠れキャラ」を利用してメーカーは自社のブランディングや販促を実施し、プレイヤーは未知のキャラクターを探し出す楽しみを得るとももに、専門誌の名物読者ページであった裏技コーナーへ新たに発見したネタを投稿して掲載および商品・賞金ゲットを狙ったりして大いに盛り上がりました。メーカー、メディア、そしてユーザーがまさに三位一体となって楽しめる文化を生み出していたことは、日本のビデオゲーム史上でも特筆すべきことでしょう。

 さらには、これらの遊び心が満載の「隠れキャラ」の存在を知ったのがきっかけで、「将来ゲームプログラマーになりたい!」だとか、「今度は自分で作ったゲームの中に『隠れキャラ』として自身の顔を登場させてみたい!」などと子どものころにゲーム業界に対して憧れを思った方もきっといるのではないでしょうか? もちろん、筆者もそのうちの一人です(結局、開発職にはなれませんでしたが)……。

 それでは、今回はここまで。次回もどうぞお楽しみに!

今回登場したソフトはココで遊べます!

  • 「ゼビウス」:Wiiバーチャルコンソール、PS「ナムコミュージアムVol.2」ほか
  • 「ニューラリーX」:Wiiバーチャルコンソール、PS「ナムコミュージアムVol.1」を使用
  • 「ギャプラス」:Wiiバーチャルコンソール、PS「ナムコミュージアムVol.2」ほか
  • 「スカイキッド」:Wiiバーチャルコンソール、PS版「ナムコミュージアム アンコール」ほか
  • 「シティコネクション」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「魔界村」:Wiiバーチャルコンソール、PS2「カプコン クラシックス コレクション」
  • 「ソンソン」:Wiiバーチャルコンソール、PS2「カプコン クラシックス コレクション」
  • 「1942」:Wiiバーチャルコンソール、PS2「カプコン クラシックス コレクション」
  • 「1943」:Wiiバーチャルコンソール、PS2「カプコン クラシックス コレクション」
  • 「ロードファイター」:Wiiバーチャルコンソール(ファミコン版)、PS「コナミ80'sアーケードギャラリー」
  • 「がんばれゴエモン! からくり道中」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「グラディウス」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「マイティボンジャック」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「ソロモンの鍵」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「高橋名人の冒険島」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「ボンバーマン」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「スターソルジャー」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「ASO」:PSP「SNK ARCADE CLASSICS 0」(アーケード版) ※記事中に紹介した「隠れキャラ」は出現しません

著者プロフィール

鴫原 盛之 Morihiro Shigihara

 1993年よりゲーム雑誌および攻略本などでライター活動を開始。その後、某メーカーでのグッズ・店舗開発や携帯コンテンツの営業、ゲームセンター店長などの職を経て、2004年よりフリーに。現在は各種雑誌やwebサイトでの執筆をはじめ、某アーケードゲームの開発なども手掛ける。著書は「ファミダス ファミコン裏技編」(マイクロマガジン社)、「ゲーム職人第1集 だから日本のゲームは面白い」(同)の他、共著によるゲーム攻略本・関連書籍を多数執筆。近刊は共著「デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド」(ソフトバンククリエイティブ)がある。

 Twitterは「@m_shigihara」です。

著者近況

 いよいよ東京ゲームショウ、およびアミューズメントマシンショーの開催が近付いてきました。今年は久々の同時期開催となったのですが、個人的には来年以降もぜひ続けていただきたいですね。景気のいい話題があまりない昨今、主催団体は違えど同じゲーム業界同士ですし、うまくタッグを組んでユーザーのハートをつかめる方策をぜひとも実施してほしいものです。もっとも、取材する側の小生としては以前にも増して殺人的なスケジュールになりそうで今からとっても怖いのですが(笑)……。


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