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「モンハン3G」は品薄になる可能性大? ゲーム販売店が頭を悩ます「分納」とは日々是遊戯

発注した商品が何回かに“分”けて“納”品されるから「分納」。お店にとってもユーザーにとっても困ってしまう「分納」はなぜ起こるの?

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分納にもメリットはある?

 今年も年末年始商戦の時期がやってきましたが、この季節によく聞かれるゲーム業界用語のひとつに「分納」というものがあります。

 最近見かけたのは「今度の『モンスターハンター3(トライ)G』は分納になるかもしれない」という書き込み。分納というのは要するに「発注した商品が何回かに分けて納品される」ことで、これが発生すると、例えば「お店は50本発注していたのに、発売日には30本しか届かなかった」といったことが起こります。こうなると、お店もユーザーもいろいろ困ったことになってしまう。

 一番困るのはユーザーで、分納になれば当然その商品は品薄になる。最悪の場合、予約していたにもかかわらず発売日に商品が買えないこともあり得ます。当然そうなれば販売店側としても信用にかかわりますし、販売店側にとっても分納は痛い。ちょっと余談になりますが、もしも本当に「モンハン3G」が分納になるのだとしたら、すでに予約済みという人でも、一応発売日に買えるかどうかお店に確認しておいた方がいいかもしれません。

 でも、それならなぜ「分納」は発生するのでしょうか? ユーザーにとってもお店にとっても悩みの種である「分納」について、ゲーム販売店の事情に詳しいUさん(仮名)に聞いてみました。

―― 分納が発生するのはなぜ?

「基本的には、受注数が生産予定数を上回ってしまった場合に起こります。受注数が多すぎて工場の生産キャパシティが足りなくなってしまうというのが主な理由ですが、まれに部品や材料の不足など工場側のトラブルが原因の場合もあり、一概にそれだけが理由というわけではありません。またそれとは別に、メーカー側が『受注数が集まりすぎた』と判断した場合に、商品のだぶつきによる“投げ売り”を回避するために、意図的に出荷数を制限して市場導入量をコントロールする場合もあります」

―― 分納で困ることは?

「やはり初回入荷数が予定よりも少なくなってしまうことが一番の問題です。特に予約が多く集まっている商品だと、初回入荷分では予約数がまかなえず、次回入荷分に回される人が出てきてしまう。早いタイミングで分納になることが分かっていれば対処できますが、発売直前になって分納になることが判明した場合などは大変です」

―― ほかに困ることはありますか?

「例えば初動型の商品が分納になった場合、あとから納品された分はすでに“旬”を過ぎてしまっているために売れず、不良在庫化してしまうという問題もあります。あらかじめ分納になるのを見込んで多めに発注しておくというテクニックもありますが、これも失敗すると大変です」

画像 発売後しばらく“ワゴンの常連”だった「モンスターハンター3(トライ)」。たくさん出荷すればいいかというと、そう単純でもないのが難しいところです……

 ちなみに今回の「モンハン3G」の場合は、「おそらく生産スケジュールに狂いが生じたか、あるいは任天堂がコントロールに入ったかのいずれかでしょう」とUさんは分析。前作にあたる「モンスターハンター3(トライ)」は、初回出荷数がかなり多かったために一部で投げ売りが発生していましたが、分納にすればそうした“だぶつき”のリスクは減らすことができる。もちろん発売初日という“旬”を逃すことで、後から入荷した分が逆に不良在庫化してしまう可能性もありますが、こればかりはフタを開けてみないと分かりません。

 ということで、様々な大人の事情が交錯する「分納」ですが、広い目で見れば決して悪いことばかりでもないんですね。ちょっとマニアックなゲーム業界豆知識でした。

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