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「ウォーゲームって何ですか」とのたまう新人に太平洋戦争を“体感”させてやる!君は山本五十六の苦悩を感じることができるか?(4/4 ページ)

映画「聨合艦隊司令長官 山本五十六」が封切られ、多くの日本人が太平洋戦争を“視覚”で知る2011年の年末。しかし、ウォーゲームなら彼が感じた恐怖も“体感”できるのだ!

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先輩女子は太平洋戦争で大事なことを理解した

 ベテランのウォーゲーマーさんには、ヘックスも戦闘結果表もない。ターンもウォーゲームで一般的な「1日や1カ月といった一定時間でないVictory in the Pacificは、「ゲームとしては面白いが、シミュレーション性は低い」といわれるように、(特に日本では)ウォーゲームとしての評価は低い。さらに、太平洋戦争の重要な要素である「補給」がルールとして導入されていないことも、「このゲームはウォーゲームでない」といわれる理由とされてきた。

 しかし、日本が太平洋戦争で敗北するそもそもの理由は、圧倒的な国力(=兵力)の違いが最も大きな要因だ。ミッドウェーで勝っていても、補給がうまくいったとしても、レーダーが開発されていようと、米軍の圧倒的な戦力に日本軍が蹂躙されてしまうことをVictory in the Pacificで“体感”することになる。

 さらに、太平洋戦争における作戦の大原則である、「制空権確保における基地航空隊の重要性」「海上戦力の衝突における洋上航空勢力の優位性」は忠実に再現している。Victory in the Pacificにおいて、洋上航空兵力を持たない海上戦力は、洋上兵力を有する側を絶対に排除できない。

 この圧倒的な戦力差と洋上航空兵力の優位性を再現していることで、当時の戦争指導者(主に軍令系)たちが直面した戦略的な問題と恐怖(連合軍側は開戦当初における日本軍の怒涛の攻勢を受け止める恐怖。日本軍側は戦争末期における圧倒的な戦力差で戦争を継続する恐怖)を体感できる。その意味で、Victory in the Pacificのシミュレーション性はすこぶる高い。

 そのことを裏付けるように、連合軍を率いた先輩女子は、Victory in the Pacificで一番強力なコマに「空母」を挙げ、「陸軍をどう使うのかが難しいのよね」と航空隊を展開するために必要な基地を占領する陸軍の運用に悩んだと語った。開戦前に「えー、なんで船に“エンタープライズ”なんて名前をつけたんですか。なんか企業が関係しているんですか?」といっていたウォーゲーム初体験の女性が、太平洋戦争における空母の影響力と基地航空隊の重要性、そして、そのために必要な陸軍の役割を理解してしまうところに、Victory in the Pacificの優れたゲームデザインを知ることができる。

 願わくば、“五十六さんの映画”を見て太平洋戦争で“何が起きた”のかを知った多くの日本人にも、このウォーゲームで山本五十六の苦悩を体感してもらえれば、と思う。

この企画を立案した当初は、ゲームジャーナルの「真珠湾強襲」で新人くんを“教育してやる”予定だった。初心者を想定した簡単なルールで短時間で終わる太平洋戦争全般を扱う最新のウォーゲームで、入手も容易だ。それでも、まったくウォーゲームを体験していない初心者には、“エリアの多さ”と“カードを使った作戦立案”の概念が「難しいゲーム」と感じさせたようだ

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