第15回:「待って、もう1回!!」 いつの間にかゲームがやめられなくなるフシギな呪文、「コンティニュー」のスッゴイ仕掛け:なぜ、人はゲームにハマルのか?(3/4 ページ)
「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の15回目は、奥が深いコンティニューの話。続きがあるから人は大胆になるのかもしれませんよ?
プレイヤーのコンティニュープレイをさらに促すアメとムチ
コンティニュー機能を利用してプレイヤーを夢中にさせる方法は、何もカウントダウンに限った話ではありません。
アーケードゲームにおいて古くからよく見られるのは、コンティニューすると主人公がパワーアップするアイテム類がプレゼントされる特典を提供することでインカム(売上)アップを狙う仕組みです。
その典型例の1つが、1995年にアトラスが発売したシューティングゲームの「首領蜂」。本作では、自機が全滅すると「MP(MAX-POWER)」という特殊なアイテムが出現し、ゲームを再開してからこれを取るとショットの威力が瞬時に最大レベルにパワーアップしました。この「MP」は、通常のプレイ中は出現しないコンティニュー時限定のアイテムであるため、そのプレミアム感がさらに引き立つことになります。
また、タイトーが1995年に発売した「ダライアス外伝」では、コンティニューするとスタート直後に友軍機が出現し、パワーアップアイテムをバラまいて去っていく演出があります。以下のプレイ動画を見れば一目瞭然ですが、プレイヤーへのサービスとして機能しているのはもちろん、ただアイテムが出現するのとはひと味った演出はとてもドラマチックですよね。
今度は上記の例とは反対に、コンティニュー機能をあえて使わせないことでプレイヤーのチャレンジ精神を刺激する仕組みをご紹介しましょう。
以下のムービーは、以前の当コラムでもご紹介した1986年にテクモ(現:コーエーテクモゲームス)が発売したアーケード用アクションゲーム「アルゴスの戦士」です。本作は全28ステージで構成されていますが、20面までは何度でもコンティニューができるのに対し、21面以降はコンティニューが一切できないようになっています。コンティニュー時のカウントダウン、およびコンティニュー不可能でゲームオーバーになったときの様子をぜひ見比べてみてください。
このように終盤のステージをコンティニューさせないことによって、プレイヤーに先の場面の攻略パターンを知られることを防ぎ、その結果プレイヤーの負けん気あるいは次回の来店動機を促し、ゲームの寿命を伸ばす効果が生じるというワケですね。同様の例は、前述したカプコンの「1942」の続編にあたる「1943」(※最終面のみコンティニュー不可)、セガが1988年に発売したアクションゲームの「ゲイングランド」(※全40面で31面以降コンティニュー不可)などの作品でも見ることができます。
また、ゲームのルールとは直接関係のないお話ですが、アーケードゲームにおいてはコンティニュー時のプレイ料金を安くしてプレイヤーの参加意欲をあおる仕掛けも昔からよく用いられています。例えば初回プレイ時は200円、以後コンティニューするときは1回100円で遊べるようにするといった設定で運営をする例が、ビデオゲームはもとよりプライズ(景品)ゲームなどの他ジャンルでも見られます。
実は家庭用ソフトにおいても、途中からあえてコンティニューをさせなくする例は古くから多々あります。
ファミコンソフトから例を挙げますと、初代「スーパーマリオブラザーズ」ではゲームオーバー後にAボタンを押しながらスタートボタンを押すと、各ワールドの1面から再開できるようになっていました。ワールド2-3で終わった場合は2-1から、3-4であれば3-1から再スタートします。なんだか、「1ワールドごとの攻略を極めないと先に進ませないよ!」という開発者からのメッセージが聞こえてくるかのようです。
この他にも、テクモが1986年に発売したアクションパズルゲーム「ソロモンの鍵」、同じく1988年に発売したアクションゲーム「忍者龍剣伝」がこのシステムを採用しています。「ソロモンの鍵」は、41面以降でコンティニューすると必ず41面からの再スタートとなり、「忍者龍剣伝」は第6章以降でコンティニューすると6章のスタート地点からやり直しになります。
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