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第16回:ゲームは見た目がすべて!? ひと目でプレイヤーを虜にするデモ画面の工夫なぜ、人はゲームにハマルのか?(2/6 ページ)

「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の16回目は、演出面に注目。いわゆるコーヒーブレーク、最近見なくなりました?

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 この問題を見事に解決したのが、同じくナムコが1980年に発売したアクションゲームの「パックマン」、および1981年に登場した「ギャラクシアン」の流れをくむシューティングゲームの「ギャラガ」です。以下の動画をご覧になれば明らかなように、本編のデモとは別に基本ルールを教えるためのデモシーンをわざわざ用意することによって、ただキャラクターのリストを表示するよりも得点の法則がずっと覚えやすくなっています。特に「ギャラガ」においては、ボス敵(ボスギャラガ)を撃つ場面だけをフォーカスしたデモのおかげで、「ギャラクシアン」よりも編隊飛行の形態によって得点が変わることが初見の人にも伝わりやすくなっています。

※PS版「ナムコミュージアムVOL.1」を使用。
(C)1995 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED.

※PS版「ナムコミュージアムVOL.1」を使用。
(C)1995 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED.

 このように、得点が入る場面をフォーカスしたデモを取り入れた例は他のメーカーが同時期に発売した作品でも多く見られます。

 一例を示すと、1982年にユニバーサルが発売したアクションゲームの「Mr.Do!」。本作においても、得点の入る条件を説明する専用のデモ画面を導入したことによって独特のゲームシステムを大いにアピールしているのです。さらに実際のステージを使用したデモ画面をよく見ると、チェリーを8個連続で取ったときには500点のボーナスが加算されたり、画面中央に出現するショートケーキを取ると同じく1000点が入ることも分かるように見事に計算されて作られています。

※Wiiバーチャルコンソール版を使用。
(C)UNIVERSAL ENTERTAINMENT

 前回のコラムでも書きましたが、昔のゲームの画面に表示される文字はもっぱら英文(アルファベット)で、国産のゲームでも日本語が一切出てこないことはごく当たり前でした。これでは英語を習ったことがない子どもにとって、メッセージが表示されてもそれがいったい何を意味しているのかが全然理解できません。ですから、後年コンピュータの性能が向上したことなどによって、日本語の表示が導入されるようになっただけでもたいへん画期的なことでした。日本語の表示が増えるにつれて、当然ながらデモ画面の説明もより分かりやすいものになりました。インストカード(※)と同様に画面内にも日本語でルール説明が表示されるようになれば、ユーザーがよりゲーム内容を理解しやすくなるのは至極当然ですよね。

※インストカード:ゲームの筐体に貼ってある遊び方やプレイ料金などが書かれた紙のこと。

 日本語の表示を交えたデモ画面の中でも、発売当時に筆者が特に感銘を受けたのはタイトーが1986年に発売したアクションゲームの「バブルボブル」。実は筆者、本作を(他の人がプレイしているところを)初めて見たときはゲームのルールがまったく理解できなかったのですが、デモ画面を見たらアニメーションと同時に分かりやすい日本語の説明文が表示されたおかげで、「あ、こうやって遊べばいいのか!」とすぐに理解することができました。

※プレイステーション2版「タイトーメモリーズ上巻」 を使用
(C)TAITO CORP. 1979-2005

 またも繰り返しになりますが、アーケードゲームでは見た目のグラフィックスの美しさやカッコよさだけでなく、ゲームのルールも同時に理解させていかに面白いと思わせるかが非常に重要なポイント。プレイヤーは貴重なお小遣いを使ってゲームを遊ぶわけですから、デモ画面を上手に活用して「面白そうだ!」という一種の信用をユーザーから得られない限り、そうやすやすと投資をしてはもえらないのです……。

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