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第16回:ゲームは見た目がすべて!? ひと目でプレイヤーを虜にするデモ画面の工夫なぜ、人はゲームにハマルのか?(6/6 ページ)

「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の16回目は、演出面に注目。いわゆるコーヒーブレーク、最近見なくなりました?

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 とりわけ画期的だったのは、プレイステーション草創期のヒット作として有名なナムコが1994年に発売したドライブゲームの「リッジレーサー」。本作では、ゲーム起動中の待ち時間にミニゲームとして「ギャラクシアン」を遊べるようにすることで、プレイヤーを待ちぼうけ状態にさせない見事な工夫をしていました。

 さらに驚くことに、ロードが完了する前に敵を全滅させることに成功すると、なんと本編をプレイする際に選択できるマイカーの種類が大幅に増えるという、心憎いばかりの楽しい裏技も盛り込まれているのです。なお、これと同様の裏技および「遊べるデモ画面」のアイデアは、続編の「リッジレーサーレボリュージョン」など他のタイトルでも採用されています。

(C)1993 1994 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED.


 それからゲームとは直接関係ありませんが、Wiiやニンテンドー3DSでダウンロード用ソフトなどを購入すると、Wiiではデータをロード中にマリオが、3DSであれば買い物バッグのようなデザインの可愛いキャラクターが画面内をちょこまかと動き回るデモ画面が表示されるようになっています。「何パーセントダウンロード完了」みたいな文字やゲージを表示するだけでなく、このようなアニメも挿入することでユーザーになるべくストレスを与えないようにしているわけですね。

 ちょっとお話がそれますが、筆者がゲームセンター店員だった時代にある先輩から「お客様から何か頼まれたときには、極力お待たせしないで対応するのが鉄則だ」と教わった記憶があります。上記のようなデモ画面の工夫は、まさにこれとまったく同じことが言えるのではないでしょうか?

 以上、デモ画面をテーマにした今回のコラムはいかがでしょうか? 一見すると何気ないような演出であっても、そこにはさまざまな工夫が凝らしてあることがお分かりいただけたことでしょう。

 ゲーム内容を理解させるだけでなく、ロード中にプレイヤーを退屈させないためにデモ画面を挿入する方法などは、今後もプラットフォームを問わずいろいろ応用ができるのではないかと思われます。現在流行のソーシャルゲームなどにおいても、対戦相手のマッチング中など往々にして待ち時間が発生しますので、もしかしたら「コーヒーブレイク」のような使い古されたサービスがプレイヤーのイライラ防止対策として復活することになるかもしれませんね。

 それからゲームセンターにおいては、プレイヤーが実際に遊んでいるときも一種のデモ画面として機能する点も見逃せないところです。特に上手な人のプレイは、店員が口頭で説明するよりもはるかにゲームの面白さや遊び方が伝わりやすいですからね(あまり長く遊ばれるとインカムに響きますが)。私事にて恐縮ですが、筆者が少年時代にゲームにハマった大きな要因のひとつがまさにこれで、「俺もいつかあの人みたいにうまくなりたい!」などとあらゆるゲームを夢中になって遊んだものでした。

 初期のビデオゲームはゲームの内容が単純だったこともあり、シューティングであれば目の前の敵を撃つ、ドライブゲームであればハンドルやアクセルを操作して走ればいいと直感的に遊び方が分かるものばかりでした。現在は当時とは比較にならないほどゲーム内容が総じて高度になった分、デモ画面を通じていかにゲームのキモとなる面白さや魅力を見た人に伝えられるのか、まだまだ研究や工夫の余地が残されているのかもしれませんね……。

 それでは、今回のお話はここまで。また次回お会いしましょう!

今回登場したソフトはココで遊べます!

  • 「スペースインベーダー」:Wiiバーチャルコンソール、PS2用ソフト「タイトーメモリーズ下巻」
  • 「パックマン」:Wiiバーチャルコンソール、PS3用ソフト「ナムコミュージアム.comm」、PSP用ソフト「ナムコミュージアム」、PS用ソフト「ナムコミュージアムVOL.1」
  • 「ギャラクシアン」:Wiiバーチャルコンソール、PS用ソフト「ナムコミュージアムVOL.3」
  • 「ギャラガ」:Wiiバーチャルコンソール、PS3用ソフト「ナムコミュージアム.comm」、PSP用ソフト「ナムコミュージアム」、PS用ソフト「ナムコミュージアムVOL.1」
  • 「バブルボブル」:PS2用ソフト「タイトーメモリーズ上巻」
  • 「ディグダグ」:Wiiバーチャルコンソール、PS3用ソフト「ナムコミュージアム.comm」、PSP用ソフト「ナムコミュージアム」、PS用ソフト「ナムコミュージアムVOL.3」
  • 「Mr.Do!」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「ちゃっくんぽっぷ」:PS2用ソフト「タイトーメモリーズ下巻」
  • 「雷電II」:PS版「雷電プロジェクト」
  • 「タクティクスオウガ」:Wiiバーチャルコンソールほか
  • 「ファイナルファンタジーIV」:Wiiバーチャルコンソール、PS用ソフト、PSP用ソフト「ファイナルファンタジーIV コンプリートコレクション」
  • 「リッジレーサー」:PS用ソフト「リッジレーサー」

著者プロフィール

鴫原 盛之 Morihiro Shigihara

 1993年よりゲーム雑誌および攻略本などでライター活動を開始。その後、某メーカーでのグッズ・店舗開発や携帯コンテンツの営業、ゲームセンター店長などの職を経て、2004年よりフリーに。現在は各種雑誌やwebサイトでの執筆をはじめ、某アーケードゲームの開発なども手掛ける。著書は「ファミダス ファミコン裏技編」(マイクロマガジン社)、「ゲーム職人第1集 だから日本のゲームは面白い」(同)の他、共著によるゲーム攻略本・関連書籍を多数執筆。近刊は共著「デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド」(ソフトバンククリエイティブ)がある。

Twitterは「@m_shigihara」です。

著者近況

 来る2月25日(土)〜26日(日)にかけて、京都の立命館大学で行われる日本デジタルゲーム学会2011年次大会におきまして、筆者は「第4回日本デジタルゲーム学会研究会「メディアの変遷とゲーム会社の対応」から見えたゲームメディアの課題」と題した講演をさせていただくことになりました。

 発表の内容は、昨年10月に実施した「日本デジタルゲーム学会第4回研究会:メディアの変遷とゲーム会社の対応」において提示、提言されたゲームメディアに関する現在の問題点や今後に向けての課題などを、お集まりいただきたみなさんにお聞かせするというものです。

 当日は多くの見識豊かな学会あるいはゲーム業界関係者がご講演される予定となっておりますので、特に近畿地方周辺にお住まいでご興味を持たれた方はぜひご参加いただければと思います。なお、詳しい実施内容は以下のリンクをご参照ください。


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