第14回:これならサルでも遊べちゃう!? いつの間にかゲームがうまくなってしまうヒミツの仕掛け:なぜ、人はゲームにハマルのか?(1/3 ページ)
「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の14回目は、ゲームの腕がめきめきあがる仕組みを解明します。
人はなぜゲームにハマルのかを、プレイ動画や画面写真を見ながら楽しくかつまじめに考える当コラム。今回はゲームの基本的なルールや面白さをプレイヤーがすぐに覚えられるようにするための仕組み、一般には「チュートリアル」や「トレーニングモード」などと呼ばれるシステムについて考えてみることにしましょう。まだゲームを始めたばかりのプレイヤーが、マニュアルを読んだり他のプレイヤーに直接教わったりしなくても、夢中になって遊び続けているうちにいつの間にか上手になってしまうのはなぜなのか? そこには深〜いヒミツがいろいろと隠されているのです……。
「なぜ、人はゲームにハマルのか?」バックナンバー
- 第13回:「隠れキャラ」に隠された、プレイヤーをゲームのとりこにするヒミツ(つづき)
- 第12回:「隠れキャラ」に隠された、プレイヤーをゲームのとりこにするヒミツ
- 第11回:開発者VSプレイヤーの知恵比べ? あの手この手で編み出されたボーナス得点システムの数々
- 第10回:スコアアップ&劣勢挽回のチャンス! ゲームがますます楽しくなるボーナスステージ
- 第9回:テクニック・イズ・スコア! プレイヤーに「ゲームがもっとうまくなりたい!」と思わず夢中にさせてしまう得点アップの仕組み
- 第8回:ステージクリアの快感をさらに高める、ボーナス得点のアイデアいろいろ
- 第7回:ハイスコア更新は常に命がけ! 「ボーナス獲得=ハイリスク」の法則
- 第6回:ハラハラドキドキ感を演出するゲームサウンドの魅力
- 第5回:ゲームをより面白くする「4ステージ1セットの法則」
- 第4回:ピンチの後にはチャンスあり! プレイヤーへの爽快感を高める「逆転の法則」
- 第3回:「なぜ、ゲームではステージ数の表示方法にこだわるのか?」
- 第2回:「なぜプレイヤーは“ハイスコア”に夢中になるのか?」
- 第1回:「なぜ、プレイヤーはマニュアルを読まなくてもゲームを遊べるのか?」
プレイヤーの理解を助ける「練習ステージ」の存在
プレイヤーがゲームを楽しむためには、まずは基本的なルールおよび操作方法を覚えることが第一歩。特にアーケードゲームにおいては、お金を払ってくれたプレイヤーに対していかにスムーズにルールを覚えてもらい、ゲームの面白さを理解してもらえるのかが人気すなわちその後の売上を決定すると言っても過言ではありません。
主にアクションゲームにおいては、最初のステージでは難易度を低く抑えておいて先へ進むにつれて徐々に難しくしていく、というのが昔からよくあるお決まりのパターンです。ですが、これとは別に練習専用のステージを用意してから本編へと進ませるという例も少なからず存在します。
古い作品から一例をあげると、タイトーが1983年に発売した「ちゃっくんぽっぷ」ではボタンを押すと主人公のちゃっくんが爆弾を投げるようになっていますが、爆弾を投げるためのボタンが1個ではなく2個ついているのがこのゲームのミソ。本作では、ちゃっくんの向いている方向に関係なく左側のボタン押すと左に、右ボタンを押すと右へ爆弾を投げるというとてもユニークなルールになっているので、人によっては「なんでボタンが2個もあるの?」「もう1個のボタンはジャンプ用のボタンなの?」などと最初に疑問を持ってしまうかもしれません。
そこで、この独特の操作方法をすぐにマスターしてもらえるよう、本作では1面が「練習ステージ」として登場するようになっています。まずは以下のムービーでその様子をご覧になってみてください。
いかがでしょうか? ステージ構成をあらてめてよく見ますと、最初の敵およびハートに向かって爆弾を投げるときは右方向、途中の敵を倒すためには左方向に爆弾を必然的に投げるようなデザインになっていて、プレイヤーが自然と基本操作を覚えられるようにあらかじめ計算して作られていることが分かりますよね!
また、ナムコ(現:バンダイナムコゲームス)が1984年に発売した「リブルラブル」でも初めに練習ステージが登場します。本作もレバーを2本同時に動かしてプレイするという独特のシステムになっていましたから、開発者が「プレイヤーが操作に慣れてもらうための練習の場が必要だろう。」と、考えて練習ステージの導入を決めたものと思われます。実際、筆者も初めて遊んだときには「なんて便利なんだ!」と感動した思い出があります。
このような練習ステージを使ってプレイヤーにゲームのイロハを教える方法は、もちろん家庭用においてもたくさんの実例があります。古い作品から一例を挙げてみますと、現チュンソフト社長の中村光一氏が作ったことでも有名な、1985年にエニックス(現:スクウェアエニックス)が発売したファミコン用ソフトの「ドアドア」。本作は主人公のチュン君を操作して、敵をドアの中に誘導して閉じ込めていくというゲームですが、最初は「ROUND00」というごく簡単な構成の練習専用ステージが登場するようになっていて、ここをクリアすると「ROUND01」すなわち1面がスタートするようになっています。
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