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映画「リアル・スティール」もリアルだったが、日本のリアル「リアル・スティール」はもっとリアルだった!!戦うロボット(1/4 ページ)

2020年のアメリカでは、もはやボクサーとして闘うのは人間ではなく、高性能のロボットだった……という世界が描かれたのが映画「リアル・スティール」。2012年の日本には、そんな「リアル・スティール」の世界を体現するかのようなロボットが存在するんです。

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ATOMもすごいがキングカイザーもすごいロボだった!!

 「X-メン」のウルヴァリン役でお馴染みのヒュー・ジャックマン氏が主演し、「インディー・ジョーンズ」のスティーブン・スピルバーグ氏、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキス氏が製作総指揮した映画「リアル・スティール」ですが、皆さんはご覧になりましたか? 筆者も久々に劇場に足を運びましたが、ロボットのリアルな動きのみならず、主人公と息子とのかけあい、乗り気でない主人公が「やってやろう!」と思うまでの脚本のもっていきかた、必然性の演出などなど、良質なファミリー向けエンタテインメントだなあと感心しきりでした。え? まだ観てないんですか!? でも、大丈夫です。2012年5月16日にBDとDVDが発売予定で、オンデマンドでも観ることができるようになりますから。それはさておき、日本にリアル「リアル・スティール」ともいうべきロボットが実在するのはご存じでしょうか?

画像 「リアル・スティール」ブルーレイ 3990円 2012年5月16日(水)発売 発売元:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(C)2012 DreamWorks II Distribution Co.,LLC

画像 ロボットが殴り合う! 大迫力!! なだけでなくスピルバーグ氏が「2人の未熟者がカムバックする心揺さぶるストーリーです。1人は40代、もう1人は11歳の未熟者。さらには本当の意味で『リアル・スティール』の隠された源泉でもあるATOM(アトム)という名の未熟者もカムバックするのです」と語っているように、元ボクサーの主人公をはじめ、登場人物たちの「再生」というテーマが根底にある


「リアル・スティール」の主役機ATOMは成人男性より身長が高く、重量が約500キログラムなのに対して、日本のリアル「リアル・スティール」ことキングカイザーは身長105センチメートル、重量10キログラム。しかし、スケールこそATOMにかなわないが、キングカイザーは実際に可動する!!

数々の海外ホームページで紹介、アメリカデビューも予定!!

 日本のリアル「リアル・スティール」ことキングカイザー。日本のアマチュアロボットシーンでは名を知らぬ者はないというぐらいの名機なのですが、実は海外でも注目されており、アメリカの雑誌「TIME」のホームページ版をはじめ、各メディアで多数取り上げられております。そして、なんと4月には「リアル・スティール」生誕の地アメリカ、サンフランシスコで行われるロボットのオリンピックともいうべき競技会ROBOGAMESでのお披露目も予定されているんです。

 「リアル・スティール」の監督、ショーン・レヴィ氏も「今はインターネットでロボット文化の多くを学ぶことができる。ロボット・ダンスやロボット・バトルといったコンテンツも見つけたよ。この映画のようなコンセプトでロボットを作成している人々が実際にいるんだ。そういったものを多く参考にした。おかげでこの映画の設定に不自然さや無理がなくなったよ」とコメントしていますから、YouTubeにアップされている数々のキングカイザーのパフォーマンス映像をレヴィ監督が目にした可能性も高いのではないでしょうか。

画像 左からキングカイザー制作者の丸氏、三男の飛夢馬(ひゅうま)君、メインパイロットで長男の健太(けんた)君、セカンドパイロットで次男の龍馬(りょうま)君。トロフィーの数々が歴代キングカイザーの輝かしい戦歴を物語る

コントロールシステムに、Xtion PRO LIVEを使用

 元々キングカイザーの制作者、丸直樹(まる なおき)氏は、映画「リアル・スティール」公開以前から、操縦者の動きをトレースしてコントロールするシステムを開発して使用していました。しかし、当初は操縦者の身体にマスタースーツと呼ぶコントローラを装着して、モーションをキャプチャすることで動作させていたそうで、トレースできる動きも上半身だけに限られていました。さらに、マスタースーツは操縦者の体格に合わせて製作されるため、万人向けとはいきません、2007年に「『ぷっ』すま」にテレビ出演した際は、草なぎ剛さん、ユースケ・サンタマリアさん、劇団ひとりさん、優香さんそれぞれの体格に合うように調整するのに非常に苦労したそうです。

画像 「第10回 ROBO-ONE」で、セコンドに入っている丸氏とキングカイザーを操る長男の健太君。マスタースーツで操縦できるのは上半身だけだったので、移動など下半身の動作は手に持ったコントローラで行っている。画像は、ロボット情報のホームページ(英語)Robots Dreamsより許可を得て転載

 それが昨今の技術の進歩により、カメラを使った画像解析によるモーションキャプチャデバイスが製品化されたことで、今回のリアル「リアル・スティール」システムが実現したそうです。見た目では分かりませんが、新しいシステムに移行したことで制御プログラムがまったく変わってしまい、ロボット制作よりもプログラミングに時間がかかっています。システムに使用しているのは、ASUSのXtion PRO LIVEで、MicrosoftのKinectと同じセンサーを使っている製品です。Kinectに比べると、2つのマイク、電動チルト機構、3軸加速度センサーが省かれているため小型で、外部電源が必要ないこともあってロボットに搭載しやすいのです。Xtion PRO LIVEの発売が2012年の1月ですから、新生モーションキャプチャー操縦システムは約1カ月で完成したことになります。

画像 「リアル・スティール」の劇中では、ヒュー・ジャックマン氏演じる元ボクサーの主人公がモーションキャプチャによってATOMを操縦するシーンが要所で効果的に使われている。ジャックマン氏は撮影にあたり、元世界チャンピオンのシュガー・レイ・レナード氏からボクシングだけでなくセコンドの心構えをも学んだ

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