ITmedia ガジェット 過去記事一覧
検索
ニュース

「プラレス3四郎」の神矢みのる先生とロボットプロレス主宰ミステル・タマオ総統の「プラレスvsロボレス対談」が実現!!(2/4 ページ)

「プラレス3四郎」作画担当、神矢先生とロボットプロレス主宰タマオ総統に、マンガとロボットプロレスの共通点、エンタテインメントとしての難しさ、マンガならではのロボットの表現方法、ロボットとAKB48の意外な共通点などなどを語っていただいた。人気プラレスラー「桜姫」の衝撃(?)の誕生秘話も。

PC用表示 関連情報
advertisement
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

大事なのはキャラクター性

―― キャラクターといえば、「柔王丸」だけでなく、「桜姫」にも人気があって連載終了後ずいぶん経つのにフィギュア(figma)が発売されたりしていますね。

神矢氏 いやあ、「桜姫」に関しては作り込んだキャラクターではないんです。連載当時はそれほど人気もなくて……。でも、今は「プラレス3四郎」の話となるとなぜか「桜姫」の話ばかりで、描いた本人が「これはいったいどういうことか?」っていう(笑)。こんなことをいうと怒られてしまうかもしれないんですが、間が持たないから出したようなキャラなので皆さんの印象に残っているほど、物語の中で活躍していないんです。見た目も描きながら修正しているので、ちょっとずつ変わっているんですよ。初期のデザインも、来週まで出さなきゃならないどうしようかな、「3四郎が柔道着だから、プロテクターっぽくしようかな?」っと考えたぐらいで特に時間もかけていません。このあたりは作者もあずかり知らないところというか、時間をかけて満を持して出したものが「あれ?」っというぐらい反応がないこともあれば、「桜姫」のようなこともありますからおもしろいですよね。

2011年12月に開催された「できんのか! 10」では、第2試合のワルーvsワン美を生中継(という「設定」の)映像を流して会場で実況解説するという方法で行った。映像ならではの視点や演出があり、大いに盛り上がったという


「できんのか!」のロボレスラーたちのキャラクターは多彩だ。縫いぐるみのような外観の、くまたろう、ワン美、インパクト満点の流血仮面だけでなく、この雪風もその1人だ。雑伎団出身という設定で、試合での逆立ちパフォーマンスは定番となっている。雪風の大技を受けきる、対戦相手ワンダー・フォーの立ち回りにも注目の一戦だ


―― 「プラレス3四郎」では、プラレスラーのボディがまるで人体のようにリアルに躍動していましたが、演出面でこれはマンガならではというものはありますか?

神矢氏 プラレスラーを生身の人間のように描くというのは、最初から意図してやっていました。口から血を吐いているように見えますが、「これはオイルですよ」とか。動き出すまでは関節まで描いているけれども、動き出したところで関節を描かないようにして、あたかも人間が闘っているような見せ方にしたりとか。そのほうが読んでいるほうは、感情移入しやすいんですね。

 登場するロボットが「強いんだぞ! すごいんだぞ!!」というのを見せたいときに、「建物の8階から落としても故障しない」というのと、「パンチでコンクリートの壁に穴があく」という演出もやったことがありますね。口でいうと馬鹿馬鹿しいんですが、それを馬鹿馬鹿しいと感じないように、どう読者を引き込んで、どうキャラクターに感情移入してもらえるかが腕の見せどころなんです。ロボットを作っている人からは、「8階からロボット」は絶対無理でしょう、といわれてしまいますが(笑)。そういうところがあるから、「馬鹿馬鹿しいことでも真剣にやる」というのはマンガも同じかもしれませんね。

タマオ総統 キャラクター性、感情移入というのは良く分かる。「くまたろう」という体格が小さく、パワーの弱いモーターを使っているロボットがいるのだが、普通に闘ったら勝ち星をあげられるようなレスラーではない。だが、クマの縫いぐるみのような外観もあって、観客の感情移入の度合い、観客を味方にする力では抜きんでている気がする。そもそもロボットプロレス「できんのか!」で出場を依頼するロボットの基準は、「強い」ロボットではない。「強いキャラ」のロボットなのだ。このあたりマンガだけでなく、いま巷を騒がせているAKB48とも共通しているのではないかな。

 AKB48の総合プロデューサーである秋元康氏が、「記憶に残る幕の内弁当はない」ということをいっている。良いおかずがたくさん入っていると記憶に残らない。それに対して、から揚げ弁当のから揚げ、ハンバーグ弁当のハンバーグなどメインのおかずが1品だと、「から揚げが旨かった」「ハンバーグが旨かった」と食べた人の記憶に残る。要は、すべての食材を平等に扱うことはできないということだ。

 ロボットプロレスも同じで、「強い」ロボットばかり集めて、皆がみな「強さ」を主張したショーをしても記憶には残りにくいものだ。だから、ロボットレスラーはメインディッシュたる1品に匹敵するようなキャラクターを持っていることが重要で、「強い」「弱い」は極端な話、関係ないといってもいい。さっきもいったが、ロボットプロレスで大事にしているのは、いかにストーリーに共感し感情移入できるかなのだ。そういう生き様までが見えるようなロボットたちに、私は出場のオファーを投げている。いろいろなキャラクターを持つロボットの存在があり、どのロボットをメインにするのかはシナリオ次第だが、1つのショーですべてのロボットのキャラクターを平等に扱うことはできない。「何であのすごいロボットが前座なんだ?」とか、「あのロボットをこんな扱いにするのは失礼だ!」とか良く言われる。しかし、ショーとして成立させ、ショー全体を観客の記憶に残るものとするには、絶対に核となるメインロボットが必要だし、そのためにはほかのロボットはすべて脇役に徹してもらわねばならないのだ。

 AKB48も、ファンなら「カワイイし歌もダンスもうまいのに、なんで選抜に選ばれないの?」「なんで推しメン(いち推しメンバー)がテレビやミュージックビデオに映らないんだ!?」と思うこともあるだろう。しかし、全員を平等、均等に映したものが果たして記憶に残るだろうか? AKB48のセンターといったら前田敦子、そう思わせることが重要で、それこそが観客の記憶に残るAKB48なのだと、私は思うのだがいかがだろうか……。ちなみに私は、たかみな(高橋みなみ)が推しメンだ!

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る