第21回:ゲームは耳でも楽しめる! 効果音による快感演出のマジック:なぜ、人はゲームにハマルのか?(2/3 ページ)
「なぜ、人はゲームにハマルのか?」をまじめに考察する不定期企画の21回目は、ビデオゲーム独特の効果音に焦点を当ててみました。
効果音を豪華にすることでゲームがますます楽しくなる!
プレイヤーの動きに合わせて、たった1オクターブの音を鳴らすだけでゲームが面白くなるとなれば、音色にいろいろな変化をつければもっと楽しくなるハズ、と開発者が考えるようになるのはもはや必然でしょう。ここからはプレイヤーがナイスプレイを繰り返すごとに効果音の音程を少しずつ高くして、より快感をアップさせる方法の応用例をご紹介していくことにします。
マリオつながりで一例を挙げますと、1990年に発売されたスーパーファミコン用ソフト「スーパーマリオワールド」があります。「スーパーマリオ」シリーズではノコノコなどの敵をキックしたり投げるなどして、他の敵を8匹まとめて倒すとマリオのストックが増える(1UPする)という定番のテクニックが存在します。
以下のプレイ動画は、ファミリーコンピュータ用ソフトとして登場した初代「スーパーマリオブラザーズ」と「スーパーマリオワールド」で敵を8匹倒したときの様子をまとめたものです。元祖「スーパーマリオ」は何匹敵を倒しても同じ効果音が鳴るだけなのに対して、「スーパーマリオワールド」では敵を1匹倒すごとに効果音の音程が少しずつ高くなる仕組みになっていることが分かります。後者のほうが、1UP獲得時にプレイヤーの快感がさらに増すように音にも細かい工夫をしているというワケですね。
このような“成功するたびに音色を高くすることでプレイヤーを快感にする法則”を特に効果的に利用しているのが、落ち物あるいはアクションパズルと呼ばれるタイプのゲームです。
例えば、セガが1990年に発売したアーケードゲームの「コラムス」は、ブロック(宝石)の組み方を工夫して一度にたくさんの宝石を消すいわゆる“連鎖消し”に成功すると、連鎖がつながるごとに効果音がどんどん高くなる仕組みになっています。さらに、コンパイルの大ヒットシリーズである「ぷよぷよ」では、効果音の変化に加えてヒロインのアルルが連鎖をするごとに叫ぶセリフがどんどん変わっていく楽しい演出も盛り込まれています。
上記以外にも、データイーストが1995年に発売したアーケードゲームの「マジカルドロップ」シリーズをはじめ、同じくテクモが1995年に発売した「でろーんでろでろ」、1998年にケイブが発売した「魚ぽこ」など、連鎖が発生するごとに効果音を高くしてプレイヤーを喜ばせる演出を取り入れたパズルゲームは数多く存在します。
※「コラムス」:アーケード用基板を使用
(C)1990 SEGA
※「ぷよぷよ」:Wiiバーチャルコンソール(メガドライブ版)を使用
(C)SEGA/COMPILE 1992
スポーツゲームからも面白い例をひとつご紹介しましょう。1993年にナムコが発売したサッカーゲームの「Jリーグサッカー プライムゴール」には、本編のサッカーとは別にオマケモードとしてリフティングのテクニックで得点を競うミニゲームが用意されています。制限時間は1分間で、華麗な技を披露するほど得点が高くなるという仕組みです。
ここで注目すべきポイントは、5回連続でリフティングを成功するごとに効果音を鳴らして特別ボーナスが入ったことを知らせてくれること。さらに20回成功させたときはよりゴージャスな効果音になり、30回目以降は1回リフティングするごとにずっと効果音が鳴り続けて、同時にウルトラスーパーカウントボーナスという高得点が加算されます。さらにはウルトラボーナス中に失敗したときだけ鳴る効果音をもわざわざ用意し、プレイヤーに「ここまでよく頑張ったね!」という気持ちまでをも喚起させるという周到ぶりです。
このように、効果音を利用したいわば“フィーバー状態”を用意することでプレイヤーはいかにもゲームを極めたような気分になり、遊んでいて本当に嬉しくなってしまいますよね!
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