香港SIMフリー版「iPhone 5」で熱気! 当面の入手はできるのか? 【山根康宏の“世界のモバイル”】
香港で販売されているiPhone 5はSIMフリー。このためSIMフリーiPhoneを購入するために香港に訪れる外国人も多く、新機種の発売時は長蛇の列ができる。
9月21日朝、Appleストア香港では大きな混乱もなくiPhone 5の販売が始まった
香港で販売されているスマートフォンや携帯電話はSIMフリー、すなわちどの事業者のSIMカードでも利用できる。
それは、Appleのスマートフォン「iPhone」シリーズも例外ではなく、これまで販売されてきた「iPhone 3GS」や「iPhone 4」、「iPhone 4S」もSIMフリー単体として香港のAppleストアから直接購入することができた。
そのためSIMフリーiPhoneを購入するために香港に訪れる外国人も多く、香港で購入したiPhoneを転売する業者も大量に存在している。香港では携帯電話の転売や売買は自由に行われており、iPhoneの新機種の発売時は、Appleの正規代理店などに長蛇の列ができ、購入したその場で買取を行う業者が待ち構えているといった光景も珍しくなかった。
そういった状況の中、今回は、香港におけるAppleの最新モデル「iPhone 5」の発売の模様を紹介する。
毎回長蛇の列ができるiPhoneの発売日だが、香港は都市国家で土地が狭く、大行列を行うスペースに乏しい。香港のセントラル地区にあるAppleストアでは付近の陸橋の上にフェンスを立てて行列をさばくことがあるものの、1日住歩行者の往来の激しい公共の通路を利用するには限界があったようだ。そのためiPhone 4Sの販売時からは予約販売制を実施し、当日の行列は禁止とする措置が取られている。
そして9月21日のiPhone 5発売日も、Appleストアでの購入を希望する場合、前日からの予約抽選が行われ、当日は予約確定客だけが行列を行うという若干静かな販売開始となった。とは言えそこはさすがiPhoneの販売初日、もしかしたら購入できるかもしれない、と早い時間から店を訪問した消費者の数も多かったようだ。しかし、iPhone 5を販売するCSL、Hutchison、SmarToneの各事業者の店舗でも同様に事前予約制となったため、発売日は大きな混乱は見られなかった。
一方で活況だったのが転売を行う独立系の携帯電話販売店だ。販売店が多数集まる香港の通称「携帯ビル」には多数のiPhone取り扱い店舗(当然非公式である)があるが、昼過ぎの開店後からはiPhoneを売りにくる客が訪れ、店が買い取るや否やすぐさまそれを奪い合うように購入する客が殺到するなど、一部ではけんか騒ぎまで起きていたようだ。そうかといえば突然大きなダンボール箱が持ち込まれ、箱の中には数十台のiPhone 5が入っているなど、この日だけでも恐らく1000台以上のiPhoneの買取と販売が行われたと思われる。
ちなみに香港のiPhone 5の単体価格(SIMフリー)は、16GBがHK$5588(約56100円)、32GBがHK$6388(約64100円)、64GBがHK$7188(約72100円)。販売初日はたとえば16GB版はHK$8600で買い取られ、HK$11000前後で販売されていた。販売から1週間後はさすがに販売価格がHK$8600程度に落ち着いてはいるが、それでも定価より約2万円高い価格で販売されている。
現在Appleストア香港では前日にWEBでの予約抽選(1人2台まで)が行われ、当選した場合のみ当日店舗での購入が可能だ。また通信事業者各社もWEBでの注文を受けているが、こちらは先着順のため事業者によっては非公式ながら「受け取りは1ヵ月後」とすでにアナウンスしているところもあるほど人気は高い。なお日本とは異なり通信事業者が販売するiPhoneも香港ではSIMフリーであり、他社のSIMカードも利用することができる。またSIMフリーながらも2年契約で実質無料での購入が可能だ。通信事業者の店舗では1日の処理能力に合わせて予約を取っているが、それでも今は連日朝から晩までiPhone 5を購入する客でどこも賑わいを見せている。iPhone 5は2年ぶりのフルモデルチェンジ製品でもあることから、この盛り上がりはしばらく続くことになるだろう。
なお気になるのは日本から香港へ渡航して、iPhone 5を購入できるかどうかという点だろう。だが現状ではAppleストアなど正規の販売店で定価購入するのは当分の間は無理そうである。また携帯ビルでの転売品も、正規品の入手が困難な状況では今から大きく下落することは無いだろう。いずれは他国からのSIMフリーiPhoneも出回ってくるだろうが、しばらくは日本でauかソフトバンクでの契約購入が最も入手しやすいということになるだろう。
記事執筆:山根康宏
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