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医師の処方する睡眠薬と、処方箋なしで買える睡眠改善薬の違いは? 種類や特徴を確認

不眠に悩まされている人にとって、助けとなるかもしれない睡眠薬や睡眠改善薬。種類や特徴について確認してみましょう。

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 日本睡眠学会では、2013年に睡眠薬に対してガイドラインを発表しました。そこでは不眠症の治療として、まずは生活習慣に対する睡眠衛生指導を行い、その後薬物療法を行っていくことになっています。その中で、睡眠薬を大きく以下の4つに分類しています。

  • ベンゾジアゼピン系睡眠薬
  • 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
  • メラトニン受容体作動薬
  • 催眠・鎮静系抗うつ薬

 この他、睡眠薬とは別にドラッグストア等で処方箋なしで購入できる市販の睡眠改善薬があります。

脳の神経を抑制するGABAを応援する薬

 睡眠薬の中でも、催眠作用に優れポピュラーなものとして「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」と「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」が挙げられます。これらは脳の神経を抑制するGABA(ガンマーアミノ酪酸)の働きを増強することで興奮を抑制。不安を抑えてリラックスさせることで、寝つきを良くし、夜間の睡眠を持続させる働きがあります。これらを服用すると、10〜30分で眠くなるでしょう。

 「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」はベンゾジアゼピン受容体のω1・ω2という2つのタイプの受容体に結び付き、作用を発揮します。寝つきが悪い場合は作用時間が短い超短時間型・短時間作用型のものが用いられ、中途覚醒で夜中起きてしまう場合や朝早く起きて眠れなくなってしまう場合は作用時間が長い中時間・長時間作用型のものが用いられます。超短時間作用型ではハルシオン、短時間作用型ではデパス・レンドルミン・エパミール等が代表例として挙げられるでしょう。また、中時間作用型にはユーロジン・サイレース、長時間型にはドラール・ベノジール等があります。

 「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」は、同じベンゾジアゼピン受容体でもω1タイプに選択的に作用することから筋弛緩作用が弱いとされ、ふらついて転倒しやすい高齢者に使用しやすくなっています。非ベンゾジアゼピン系睡眠薬には代表例としてアモバン・マイスリーがありますが、超短時間作用型になっているので、よく寝つけないといった人に使われます。

メラトニン受容体作動薬と催眠・鎮静系抗うつ薬

 「メラトニン受容体作動薬」は、睡眠を誘発するメラトニンの受容体を刺激することによって睡眠を誘発します。薬としてはロゼレムが代表的で、ベンゾジアゼピン受容体には作用しません。そのため催眠効果は弱くなりますが、ベンゾジアゼピン系等で見られる筋弛緩や記憶障害、依存性といった副作用がありません。そのため、高齢者や身体疾患を持つ人、ちょっとした睡眠リズムのずれを改善する際などに用いられます。睡眠のリズムが異常となっている場合の選択薬です。

 「催眠・鎮静抗うつ薬」としてはテトラミド・リフレックス・デジレルなど、うつ薬の中でも催眠作用に優れたものが用いられます。抗うつ薬ですが、鎮静作用が強く就寝前に少量服用すると睡眠薬としても有用です。不眠の原因としてうつ症状があったり、ベンゾジアゼピン系の薬があまり効かなかったりした場合に用いられます。

処方箋がなくても買える市販の睡眠改善薬

 睡眠薬は病院やクリニックで不眠症と診断され、医師が処方箋を書いて調剤薬局で調剤してもらう薬です。処方箋なしで買える市販薬には、ドリエルに代表される「睡眠改善薬」と言われるものがあります。これは、ジフェンヒドラミンという抗ヒスタミン剤を有効成分にしたものです。

 風邪薬や鼻炎薬を飲むと眠くなることがありますが、これは抗ヒスタミン剤の副作用に眠気があることが原因です。この風邪や鼻炎ケアでは副作用とも言える眠気に注目し、入眠障害・夜間覚醒といった一過性の不眠の症状緩和に用いる薬として応用開発したのが睡眠改善薬です。慢性的な不眠や不眠症の診断がある場合は、睡眠薬を服用します。これに対し睡眠改善薬は、ちょっとした生活環境の変化などで、一時的に不眠状態になった人に効果があるとされます。

 緊張感やいらいら、不安感があり、一時的な不眠となっている場合には、催眠・鎮静作用を持つ生薬のカノコソウやチョウトウコウ等が配合された催眠鎮静薬がおすすめです。

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