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「嫌いな練習」を楽しくする方法を考え抜きました――元ロードレーサー・米山一輝さん(1/2 ページ)

各界で活躍し「周りが放っておかない人」に生活習慣や健康のコツを聞く本連載。今回は、元ロードレーサーであり、現在は「サイクリスト」編集部に所属する米山一輝さんにお話を伺いました。

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 どんな世界にも「周りが放っておかない人」というのが存在します。周囲を巻き込む能力が高く、常にいくつもの仕事を抱えていて、それでも忙しそうな素振りは見せずに遊びにも全力で取り組んでいるように見える人たち。本連載では、そんな「引っ張りだこな人々」に、普段の生活習慣や健康のために意識していること、毎日を自分のペースで過ごしていくコツについてお聞きしていきます。

 今回お話を伺ったのは、産経新聞社の運営する自転車メディア、「サイクリスト」編集部のエースライダー。数多くのトップ選手を輩出した東京の名門クラブチームで15年の選手経歴を持つロードレース選手です。

 米山さん、第一線で戦っていたトップカテゴリの選手が「練習が嫌い」だなんて、いったいどういうことですか?


元ロードレーサー、現「サイクリスト」編集部の米山一輝さん

元アスリートが弁当男子&イクメンに転身

――選手を引退して、今はどんな生活を送っているんですか?

 結婚して、妻と赤ん坊が一人の3人家族なんですけど、家事は夫婦で分担しています。食事は私の担当です。三度の食事はもちろん、弁当作りも私の仕事。6時に起床して、朝食と弁当作りに取り掛かります。妻と子供が7時に起きてくるので、私が子供に食事をさせ、その後ようやく私が食事にありつける……という怒涛のような朝を過ごし、出勤します。

米山さんが毎日自作しているお弁当

――こ、これを毎日?

 毎日です。習慣化しているので別に苦痛ではないですね。一人暮らしが長かったので、自炊は得意なんですよ。朝昼晩、全部私が用意します。妻は食事以外の掃除や洗濯といった、そのほかの家事をしてくれます。

――じゃあ、弁当に冷凍食品を使わざるをえないですよね?

 いえ、使わないです。一応全部手作りです。まあ、焼いたり炒めたり程度で、凝った料理ではないですけど、ちゃんとした食事でないと気が済まない性分なんです。

 母親が冷凍食品を使わない人だったので、私もそういう食材に頼ろうという発想が出てこないんでしょうね。実家には味の素もなくって、社会人になって初めて「あ、そういうものがあるんだ」って知ったくらいですから。関係ないですが、親から「コーラは骨が溶けるから飲むな」ってさんざん言われて育ちました(笑)。

7時間寝れば疲れは取れる

――夜も仕事から帰って自炊しているって……ハンパない忙しさですね。ちゃんと寝てます?

 子供を21時くらいに寝かしつけ、私が寝るのが22時から23時の間。6時に起きるので、7時間から8時間は寝ますよ。寝かしつけながら、私も一緒に“落ちて”しまうことはよくありますけど(笑)。

 自分の時間を持てないのが悩みですが、睡眠時間は削りたくないんですね。睡眠時間を最低でも7時間確保する生活にしてから、以前より健康的になった実感があります。とくに午前中の仕事がはかどりますね。脳がシャキッと覚醒している感じがあって、朝からフルスピードで仕事に取り掛かれます。

 現役時代も、疲れたり調子が悪かったりしたときは、何はともあれ寝ることを心がけていました。寝て疲れを取れば、たいていなんとかなりましたね。

――たまには外食しようとか、コンビニ弁当で手を抜こうとは思わない?

 それは思わないです。というのも家計のルールが関係していまして、我が家では私と妻(共働き)がそれぞれ家計用に家にお金を入れます。それを元に光熱費とか家賃とか通信料等の家計をやりくりします。

 (家に入れない)残金はそれぞれの可処分所得(つまりお小遣い)として自由に使えます。ただし、外食は私の小遣いから賄わなければならないんです。外食すればするほど、自分のお金が減ってしまう。自炊弁当であれば材料費は家計支出で作れるので、私の懐が痛まないんですよ(笑)。健康的な食生活を送りつつ、お小遣いを使わずに済むので一石二鳥。でも……。

1回のおやつで板チョコ2枚はマズイと気づく

――でも?

 以前は弁当を食べた後、口さみしさを紛らわせるためにチョコレートをコンビニで買って、デスクでコーヒーと一緒に食べるってことを繰り返していました。板チョコを2枚くらい、余裕で1回のおやつで食べてしまえますよ。ただ、それを続けていたら太ってしまいまして、これはまずいと思って甘いお菓子の量は落としてます。

――ロードレーサーってレース中に甘い補給食を食べますもんね。けっこうな甘党?

 甘いモノはもう大好き。選手時代に甘いモノをしこたま食べる生活を続けてきたせいです。和菓子もケーキもチョコもクッキーもなんでもOK。引退後も間食の癖が抜けない時期があったんですね。

 今は弁当にカントリーマアムやブラックサンダーを忍ばせる程度です(笑)。

――現役の頃はめちゃめちゃ運動してらっしゃったでしょうが、今は何を?

 えーっと、とくに何も運動らしいことはしてない……(笑)。サイクリスト編集部で作ったロードバイクもあるんですが、仕事が忙しくてなかなか乗る時間がないもので……。

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 いや、ありました! ウォーキングです。最近は物件(家)を探しているので、下見を兼ねてウォーキングしていますよ。不動産情報を調べるアプリを見ながら、iPhone片手にトコトコ歩いてます。運動量は……たいしたことないです(笑)。

いちご大福を食べるために練習する

――ガジェット類は使ってます?

 体重を毎日量って、iPhoneのヘルスケアアプリに数字をメモることはします。体重計はネットにはつながらない、ごくふつうのモノです。私はアナログ人間なので、デジタル管理するのが苦手なんですよ。現役の頃からそうで、「数値管理された練習」が大嫌いだったんです。

――数値管理された練習が大嫌い?

 「傾斜7%の坂を心拍数180でインターバル走を10本こなせ」とか、「心拍数を170以下に落とさずに15分間走り続けろ」といったメニューが大の苦手でした。監督にメニューを組んでもらうほうがやりやすいって選手もいますが、私はダメ。自転車に心拍計やパワーメーターを付けて数字が見えるようにするのもイヤ。そんな練習をさせられるくらいだったら、選手をやめる。それくらい嫌いでした。

――トップカテゴリで戦ってきた、バリバリのロードレーサーの言葉とは思えないです。

 ハッキリ言うと、練習が嫌いでした。でも鍛えないと戦えない。じゃあいかに練習を楽しく過ごそうかってことが私にとっての最重要テーマだったんです。

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