「嫌いな練習」を楽しくする方法を考え抜きました――元ロードレーサー・米山一輝さん(2/2 ページ)
各界で活躍し「周りが放っておかない人」に生活習慣や健康のコツを聞く本連載。今回は、元ロードレーサーであり、現在は「サイクリスト」編集部に所属する米山一輝さんにお話を伺いました。
具体的には、“目的”を持って走りました。「今日はどこそこまで行くぞ」とか、「小川町まで行って、だんごを食べてこよう」とかです。
越生町(埼玉県)にサイクリストの間では有名な「パン工房シロクマ」というパン屋さんがあるんですが、知ってます? そこでパンを食べて帰ってくるってことを練習にしたり、ときがわ町の和菓子屋でいちご大福を買って帰ろうとか。
今日は江ノ島、明日は幕張メッセ……日替わり練習メニュー
――そんな楽しそうなスイーツ・ポタリングみたいな練習で戦えます?
でも、走るときは追い込みますよ。メニューに追い込まれるのは嫌いですが、自分で自分を追い込むのは苦ではない。目の前の坂は速く駆け上がりたい。不思議なものです。ほかにも、同じコースを走るのは飽きるので、いろんな場所に出かけてましたね。
今日は鎌倉まで走って江ノ島を見てきて、明日は幕張メッセまで走って練習ついでにイベント見物してこようとか、いろいろプランニングするのは楽しかったですね。ビンディングシューズとサイクルウェアの出で立ちでウロウロしたりしたものでした(笑)。
――練習を自己流で楽しくすることでモチベーションを維持していた?
いま思えば、きっとそうだったんだと思います。ハイテク機器とか数字ではなく、アナログな練習方法が性に合っていたってことなんでしょう。最近のロードレースの世界はデジタル化、数値化が進んでいますが、そもそも自転車って「自分の脚でペダルをこいで、相手より先にゴールすればいい」だけのシンプルなスポーツなんですよ。まあ、アプローチの仕方は人それぞれなので、好みに合わせて選べばいいでしょうけどね。
エクササイズは家の外に出るまでがハードル
――雨で走れない日はローラー台で屋内トレーニングをしたんですか?
あ、ローラー台は大嫌いです(笑)。あれに乗るくらいなら、雨に打たれてドロドロになってもいいから外で走ります。実際に外を走らせて風を感じるのが好きなんです。ローラーはぜんぜん楽しくない。楽しくない練習は続けられませんから。
――トレーニングやエクササイズをサボらないための工夫ってあります?
ちょっとずるいかもしれませんが、効果が高いのは、「人と一緒に走る約束をする」ですね。合同でトレーニングしようって決めると、キャンセルできないじゃないですか。ロードバイクに限らず、エクササイズって身支度を整えて家の外に出るまでがハードルなんじゃないでしょうか?
ロードバイクの場合、自転車をよっこいしょって担いで玄関を出なければなりません。いったん走りだしてしまえばやる気も出てきてトレーニングが続けられますけど、その状態まで持っていくのが大変なんですよね。
ロードレーサーあるあるなんですが、朝起きて、食事して、トレーニングウェアを着て、補給食やドリンクも準備して、さあ後は外に出るだけってタイミングで、「ちょっとだけ横になろうかな……」って布団に潜りこみ、そのまま昼まで寝てしまう……があります。そんな頻繁にじゃないですよ。でも、ロードレーサーは毎日何時間も自転車に乗り続けないといけないので、長いシーズンの間にはそういうこともあります。たぶん、選手は誰でも経験があるんじゃないかな。
――トップレベルのアスリートですら、そんな葛藤と戦っていると聞いて親近感を覚えました(笑)。家から遠く離れたスイーツのお店探しから始めます! ありがとうございました!
米山一輝さんの3つのコツ
1. 手作りごはんで健康食生活
2. 嫌いな練習を楽しい練習にする工夫を
3. 些細なものでもいいからモチベーションを見つける
- 連載「“引っ張りだこな人々”の習慣」過去記事一覧はこちら
中山順司(なかやま じゅんじ)
ロードバイクをこよなく愛するアラフォーブロガー。ブログ「サイクルガジェット」運営。”徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ちょっぴり健康が気になって、自転車でも始めようかなとお考えの方が、「こんなコンテンツが読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。
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