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尿酸が知能を高める!?

嫌われ者の尿酸ですが、なんとこの尿酸が知能を高めるという説があるのです。

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Geno

 尿酸といえば、痛風や尿路結石など「痛い」病気の原因物質として有名です。尿酸値を気にして、ビールをやめてプリン体offのビールテイスト飲料を飲んだり、モツや魚卵を食べないように気を使っている方も多いと思います。このように嫌われ者の尿酸ですが、なんと尿酸が知能を高めるという説があるのです。

尿酸が知能を高める!?

知能指数が高い人には痛風が多い

 イギリスに本部があるメンサ(Mensa)は、人口上位2%の知能指数を持つ人しか入会することができないという、高知能指数者の団体です。このメンサの会員に対して様々な特徴を一般の人と比較した調査結果から、痛風になる人の割合が一般よりも2〜3倍多いことが分かっています。他にも、ニュートンやアレクサンダー大王など偉人と呼ばれる人物の伝記を読むと、痛風だった人が多いということが、古くからいわれていました。

痛風になるのはヒトの仲間だけ

 実はネズミやニホンザルなど、ほとんどの動物は尿酸オキシダーゼという酵素を使って尿酸を分解することができるので、体内に尿酸がたまることはありません。しかし、ヒトの仲間である類人猿(ヒトを含むゴリラやチンパンジーなど)だけは、尿酸オキシターゼを作るための遺伝子に突然変異があったため、尿酸を分解することができなくなっているのです。そのため体内に尿酸が蓄積しやすくなり、痛風という病気が起こるようになってしまいました。

尿酸が知能を高める?

 知能の高い類人猿が他のサルから分化した時に体内に尿酸が蓄積しやすくなったと言われています。そして、人類の中でも知能の高い人たちは尿酸値が高い傾向にあります。このようなことが分かってきたので、1950年代にマサチューセッツ工科大学のオローワン氏は尿酸が知能を高めるのではないかという理論を唱えました。これは特定の物質が知能に関係することを唱えた最初の説で、世界中から注目されて1960年代には盛んに研究がおこなわれました。

1970年代には研究がストップ!

 しかし1970年代に入ると、尿酸の研究には予算が出なくなってしまい、研究がストップしてしまいました。なぜ、予算が出なくなったのでしょうか?

 一般的に尿酸値は女性より男性の方が高く、痛風患者もほとんどが男性です。1970年代はウーマン・リブ運動が盛んで、女性の社会進出を後押しする風潮が強い時代でした。そんな時代に「男性の方が知能が高い」という結果が出てしまうかもしれないような研究には、予算がつけられなくなってしまったのです。研究者にとっては災難としかいいようがありません。

研究の復活

 それでも、最近は少しずつ研究されるようになりました。神経細胞を培養して尿酸を加えると、神経細胞が死ぬ確率が低くなるということがわかったからです。尿酸には神経細胞を保護する作用があると証明されたのです。脳は神経細胞の塊のようなものですから、尿酸は脳に良い面があるということになります。

 尿酸と知能の関係はまだまだ研究途上です。モツ鍋をつまみにビールを飲んでも頭が良くなるとは限りません。また、痛風はとても辛い病気ですし、腎不全になったり、尿毒症を引き起こして死に至ることもある怖い病気です。わざわざ尿酸値をあげるようなことは、決してしないでくださいね。

<参考文献>

遺伝子による痛風の発症リスクは、GeneLife NEOでお調べすることができます。

この記事は「遺伝子の?を!に変える」をコンセプトに、遺伝子に特化した国内外の情報を配信するサイト「Geno」から転載しています。


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