エンジニアはもっと料理人を目指すべき! ――Zaim・閑歳孝子さん(2/2 ページ)
各界で活躍し「周りが放っておかない人」に生活習慣や健康のコツを聞く本連載。今回は、日本最大級のオンライン家計簿サービスとして知られる『Zaim』の代表である閑歳孝子さんにお話を伺いました。
ダンボールを運んで荷出しをしたり、店頭で品出し&陳列したり。体は疲れますけど、意味のある行動だとがぜん頑張れますね。「効率的な品出しのためには、どの作業をどの順番で行うのがベストなのか?」って頭を回転させながら働いていると、没頭できますね。仕事もこなせてエクササイズにもなる、一挙両得とはこのことかと。とにかく、物事を効率化したり、最適化の方法を考えたり、そういうことが楽しくて仕方ないんです。
ちなみにスーパーの裏側に入らせてもらったのは、ある種、Zaimのアプリ開発の一環で。決してITリテラシーが高くないユーザーの方たちにもストレスなく使っていただけるように、実際のお買いものの姿を見て勉強させてもらおうと。
――なるほど。先ほどの「日常の中に運動を組み込む」というお話とも重なってきますね。閑歳さんにとって、“意味”や“遊び”の要素は欠かせないんですね。
遊びは大事ですね。学生時代からデジタル・アナログ問わずゲームが好きで、20代の数年間はずっとサバゲーにハマってました。ゴーグルを付けてBB弾の銃で撃ち合うアレです。今でこそ女性も多いみたいですが、数年前までは男性が圧倒的に多い世界だったので、女性は目立ったのか、あちこちで知り合いができましたね。
大学時代はキャンパス内で、光線銃で撃ちあうオモチャでよく遊んでいましたよ。楽しんでいるうちにいつの間にかカロリー消費しているのが理想ですね。そういう意味ではIngressにも興味津々なんですが、始めたら絶対にハマる自信があるので、心を鬼にして避けています(笑)。
料理に目覚めた
――食事面はいかがでしょう。ご自宅でお料理などはされますか?
実は、最近私の中で革命が起きたんです。
――革命?
料理に目覚めたんですよ。料理自体は高校生くらいからよくしていましたし、社会人1年目は自炊しまくっていたんですけど、仕事の忙しさにかまけてだんだんしなくなっちゃったんですよね。
それが先日、誕生日にとある高級なレストランで食事して、「料理も器も雰囲気も最高だな。気持ちいいな」って感じたんです。もちろん上を見ればまだまだすごいものはあるんでしょうけど、今の私にとってはほぼ最高レベルな経験をしてしまったことで、「こっちの方向はまあまあ分かったかも……?」という風に思えたんですね。
そうなると反対に、自分で作る方に興味がわいてきたんです。
――どんなものを作るんですか?
もっぱら朝ごはんです。とくにジャーサラダがマイブーム。簡単に作れるし、クックパッドにいっぱいレシピがあるので、始めやすかったです。早速、ジャーを幾つもそろえたり、自分が気に入った調理器具を買い集めるところから始めました。
――道具から入るって、ちょっと男性っぽい行動かもしれませんね。
確かにそうかもしれません(笑)。良い道具があると、それだけでテンションが上がります。最近だとGLOBALの包丁とか。道具を買うときのリサーチも男性っぽくて、消去法で探していくんです。
例えばパン焼き器が欲しくなったら価格.comなんかの比較サイトを入念に読み込んで、レビューを一つずつ全部見て、「これは用途に合致しない」「これは機能が物足りない」……と消していき、最終的に「まあこれかな」って一つに絞り込むんです。ものすごく時間をかけますよ。比較検討せずに、一目ぼれで「コレッ!」って買っちゃう、とかってできないんです。
これはお気に入りのアップルピーラー。剣山みたいな部分にリンゴの芯をブスッと刺してハンドルをクルクル回すだけで、リンゴが回転して、あっという間にキレイに皮を剥いてくれるんです。
リンゴの皮を剥くだけの機能しかありませんが、その潔さがステキじゃないですか。うっとり眺めながら毎日リンゴを剥きまくってます。
エンジニアはもっと料理人を目指すべき!
料理が好きなのは他にも理由があって。高校生の頃、家事の手伝いでよく料理をしていたんですけど、ごはんが炊きあがるまでの時間を使って味噌汁を用意し、魚を焼き、炊きあがったと同時にすべての料理が同時に完成するにはどの作業をいつ、どの順番でこなすかを逆算して作るんです。マルチタスクの効率化が大好きなのは、この頃からですね。
料理のメリットって、達成までの時間が短いことだと思います。達成後にはおいしい食事も待っているというご褒美付きです。アウトプットが即楽しみになるわけですから、自炊はオススメですよ。
――まるで料理を機械的にハックしているような語りっぷりですね(笑)。
そう! 料理とか、植物を育てるのってすごくエンジニア向きだと思っています。料理であれば、材料の配合や調味料との組み合わせ、植物であれば気温や湿度、水分量等のパラメータを計算しつつ実験を繰り返して最適解を見つけ出す……わけじゃないですか。これってすごくエンジニアっぽいタスクだと思うんですよ。
少し前にネット上で「料理のレシピをフローチャートで表した本」が話題になりましたよね。しかも初版が1984年の本。あれなんかまさしくエンジニア的思考ですよね。あとはデイリーポータルZの記事で「料理のレシピを鉄道路線図っぽく表現してみる」というのも面白かったです。
だから、すべてのエンジニアは料理をやってみるべきだと思います。ドワンゴの川上会長が「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」っていう連載をされてましたけど、それで言うと「エンジニアはもっと料理人を目指すべき!」かもしれません。
ちなみに、Zaimには「寿司屋の元店長」という異色の経歴のエンジニアもいます(笑)。エンジニア、まだまだ絶賛募集中です!
――今度の週末は朝食にホットケーキを焼くことから始めようと思います。ありがとうございました!
中山順司(なかやま じゅんじ)
ロードバイクをこよなく愛するアラフォーブロガー。ブログ「サイクルガジェット」運営。”徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。ちょっぴり健康が気になって、自転車でも始めようかなとお考えの方が、「こんなコンテンツが読みたかった!」とヒザを打って喜ぶ記事をつくります。
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