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インタビュー

便利じゃなければ普及しない――Misfit Wearablesの“日本の攻め方”(1/2 ページ)

MISFIT SHINEとMISFIT FLASHで日本の活動量計市場に本格参入を狙うMisfit Wearables。先行するFitbitやJawbone、そして日本のメーカー各社に対してどんな強みがあるのか聞きました。

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MISFIT SHINE、MISFIT FLASH
MISFIT SHINEとMISFIT FLASH

 米国で、スマートフォンの普及とともに一気にブームになった感のある活動量計(アクティビティトラッカー)。日本市場でも数年前から製品が出ていますが、2015年は海外、国内の各メーカーが一通り出そろい、まさに激戦が始まろうとしています。

 Misfit Wearablesは、スティーブ・ジョブズ氏が亡くなった2011年10月5日に米国で創業した、測定機器のベンチャーです。その社名、Misfitは、ジョブズに敬意を表して、AppleのテレビCM「Think different.」の冒頭のせりふ「Here’s to the crazy ones. The misfits. The rebels. The troublemakers. ……(以下略)」から取ったといいます。経営陣には、ジョブズをAppleから追い出した元CEOとして知られるジョン・スカリー氏も名を連ねるなど、興味深い経歴を持つ会社です。

 そんなMisfit Wearablesが日本市場に最初の製品「MISFIT SHINE(ミスフィット シャイン)」を投入したのが2013年。アップルストアでのみ取り扱われていたこともあり、それほど知名度は高くありませんでしたが、デザインの良さなどで評価されていました。

 そして2015年夏、4980円と廉価な新製品「MISFIT FLASH」を携え、ソフトバンク コマース&サービスを販売パートナーに、日本市場に本格参入するといいます。日本市場での勝算や、グローバル市場と日本市場の違いを、CEOのソニー・ヴー(Sonny Vu)氏に聞きました。

MISFIT製品の強みはバッテリーとデザイン

―― アクティビティトラッカーと呼ばれる、スマートフォンと連携する活動量計は、今やグローバル規模で多数の競合がいる市場です。そんな中、MISFIT SHINEやMISFIT FLASHにはどんな強みがあるのでしょうか。FitbitJawboneなど、同じような機能を持つ製品を投入しているメーカーや、日本で独自に製品を展開するエプソンなどのメーカーがひしめく中で、存在感を発揮できるのでしょうか。

ソニー・ヴー氏 MISFIT SHINEやMISFIT FLASHの最大の特徴は、バッテリーです。ボタン電池を使用するので、約4カ月の間バッテリーのことを気にせず利用できます。活動量計の多くは、せいぜい5日や7日くらいしかバッテリーが持ちません。中には1日しか持たないようなものもあります。それでは本当に使いやすいとは言えないと思います。

 また、デザインも特徴の1つだと考えています。もともと多色展開していますし、バンドやホルダーも多数選べます。純正アクセサリーは20種、そのほかにサードパーティー製のアクセサリーも複数あり、このバリエーションの豊富さは女性ユーザーに特に人気です。活動量計は男性ユーザーが多そうなイメージですが、弊社のユーザーの6割は女性なんです。特にネックレス型のアクセサリーがよく売れています。

 ネックレス型のように、腕以外のさまざまな場所に付けられるのもポイントです。MISFITの活動量計は、腕のほか、首の周りのえりの位置やベルト、ズボンのポケットの中、シューズ、足首などいろいろな場所に付けたり入れたりしておけます。アプリ内で場所を指定できるほか、指定がなくても装着場所を推定し、計測アルゴリズムを自動的に切り替えることができるのです。着ける場所の自由度の高さは、自慢の1つです。

 こうした魅力があるので、ユーザーの方にもきっと選んでいただけると思っています。

米国で活動量計が普及したのは「ネットにつながっているから」

―― 日本市場でも、米国やアジアの市場と同じような受け入れられ方をすると考えていらっしゃいますか? 日本市場には、歩数計の大きな市場がありますが、ユーザーは高齢者が中心です。また若いユーザーも、「歩数」を気にするユーザーが多い印象です。一方米国では、歩数計はまったく売れていませんでしたが、歩数ではなく「運動量」を数値化する活動量計が登場したことで、市場が大きく広がった印象があります。こうした日米の違いは、活動量計の普及にも影響があると思うのですが、いかがでしょうか。

ヴー氏 確かに米国では歩数計はまったくといっていいほど売れていませんでした。でも活動量計が注目され、普及したのは、歩数と運動量の違いではなく、「ネットにつながっているかどうか」ではないかと考えています。活動量計は、スマートフォンを経由してネットにつながり、自分でデータを保存し、グラフ化したり時系列で比較したりして、時には共有したりできる点が魅力と捉えられていると思います。日本でもただ記録するだけの製品では注目されないでしょう。

―― では、活動量計が普及するには、ネットにつながってどんなことができるといいとお考えですか?

ヴー氏 活動量計のようなウェアラブルデバイスの多くは、記録以外のことができるようになっていくことにキーがあると思っています。MISFITの製品の場合、それは「コントロール」です。スマートフォンと連携し、活動量を計測する以外の機能として、例えばカメラのリモートシャッターになる機能を近日提供予定です。APIも公開していて、自社開発アプリだけでなく、サードパーティー製のアプリでもコントロールができるようにしていきます。

―― それは「Apple Watch」のようなスマートウォッチになっていくということですか。

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