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コラム

いくら摂っても問題ない? コレステロールのホントとウソ

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 「コレステロールの数値が上がっていたから、卵なんかは控えないとな」健康診断が終わった後にこんなことを言っていた人も少なくないはず。しかし最新の研究で、このコレステロールに関して驚くべき事実が分かったのです。

コレステロールはいくら摂取してもOK?

 その事実とは、コレステロールをいくら食事から摂取したところで、体内のコレステロール値はほとんど変わらないということです。日本では2015年の4月時点の厚生労働省発表の「食事摂取基準」改訂に伴って、2010年版までには設けていたコレステロール値の摂取基準を撤廃、5月には日本動脈硬化学会もコレステロール値が食事によって大きく変動することはないという旨の声明を発表しています。

あるいはアメリカでは、既に2013年時点でコレステロールの摂取量を制限してもコレステロール値が低下する科学的根拠がないとして、摂取制限を撤廃する考えを示していました。卵やイカ、イクラなどは「食べても食べなくてもコレステロール値はあんまり変わらない」がホントだったのです。

コレステロールって一体何者なの?

 悪者のように扱われているコレステロールですが、この物質はもともと全く悪者ではありません。東京都老人総合研究所の生体膜機能研究グループのリーダーを務める岩下淑子氏によれば、コレステロールは人間の体を構成する約60兆の細胞の細胞膜を強化する重要な役割を担っているのです。特に免疫系にとっては必要不可欠な存在で、コレステロールが不足してしまうと健康にも影響が出ます。

 また、コレステロールの7割から8割は肝臓などで脂質や糖質を分解した物質から合成され、残りの2割から3割を小腸で食品から吸収することでまかなっていますが、この供給バランスが崩れて過剰に供給された場合、動脈硬化の原因にもなるというわけです。

コレステロール値が高い人はどうすればいいの?

 いくら食事の内容がコレステロール値にあまり関係ないからといって、全く関係ないわけではないようです。日本動脈硬化学会も、既にコレステロール値が異常に高い数値を示している人は食事療法などで今後も摂取量に気を使う必要があるとしています。同学会が具体的にすすめるのは伝統的な日本食

 日本食はコレステロールが少なく、かつカリウムやカルシウム、タンパク質、食物繊維が多い食事パターンとして高く評価されているからです。また食事改善に加えて日本動脈硬化学会は「生活習慣を改善する包括的管理が大切」とし、食事だけに固執せず、生活全体の見直しを提唱しています。

 命に関わるコレステロールの問題。メディアが発信する「ホント」と「ウソ」をしっかりと見極めて、自分にあった身の振り方を決めたいですね。

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