習慣を作るには「負の感情」に注目せよ――予防医学研究者・石川善樹さん<後編>(1/4 ページ)
話を聞いてみたいあの人に、生活習慣や健康のコツを聞く本連載。前回に引き続き、予防医学研究者の石川善樹さんにインタビューしました。
どんな世界にも「周りが放っておかない人」がいるものです。周囲を巻き込む能力が高く、常に幾つもの仕事を抱えていて、それでも忙しそうな素振りは見せずに遊びにも全力で取り組んでいるように見える人たち。本連載では、そんな「引っ張りだこな人々」に、普段の生活習慣や健康のために意識していること、毎日を自分のペースで過ごしていくコツについてお聞きしていきます。
お話を伺ったのは、前回に引き続き予防医学研究者の石川善樹さん。前回は「正しいクシャミの仕方」「脳をだまして運動を長続きさせるコツ」など興味深い話題が次々と出てきましたが、続編となる今回も必読です!
理性を奪う「扁桃体ハイジャック」に注意
――不快とかイライラさえも行動変化に利用できるって考え方はしたことがなかったです。
今年の夏ってすごく暑かったでしょう? 熱気のこもった電車の中は苦しいし、汗でベタベタになるのも気持ち悪い。ふつうはそう感じますが、よく観察したら“夏を楽しんでいる人種”を見つけたんです。それは子供たちです。
子供って、駅にエスカレーターがあるのに、お母さんの手を振りきって階段をダダダダダッて駆け上るんですね。それを見て、暑さとか関係なく楽しそうなことやってるなーって思って、マネして駆け上がってみました。すると、これが無性に楽しいんです。人は体を激しく動かすと、脳が楽しくなるようにできているんですね。
――石川さんが子供のマネして階段を走ってるんですか。
いまではすっかり階段を駆け上がるのが習慣になりました。変な人って思われているかもしれないけど、筋肉もつくし、楽しいし、「今日もやったな、オレ!」ってうれしくなるんです(笑)。いつまで続くか分かりませんが、飽きるまでやりますよ。暑い夏を楽しむ術を教えてくれた子供たちに感謝、ですね。
――不の感情を正に転換するのがカギですね。
負の感情に襲われた時こそ、習慣を変えるチャンス。イライラした時は、一呼吸置いて自分を客観視してみましょう。不安や不満やイライラをいかにワクワクに変換できるか。それができれば幸せになれます。ノートパソコンが壊れ、夏が暑くて良かった、幸せだなって本気で思っているんです。
人は感情の奴隷になりやすい生き物だからこそ、感情をいかに使いこなすかを意識すべきです。正の感情では理性が働きやすいし、知能指数も上がるといわれていますが、負の感情は知能指数を下げ、「扁桃体ハイジャック」を招き、理性を乗っ取ってしまうんです。イライラに心を乗っ取られてしまうんですよ。だから負の感情が沸き起こったときは、スッと身を引いて冷静になりましょう。
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