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コラム

なぜ残業は減らないのか――働き方の多様化、実現のカギは サイボウズ青野社長に聞く(3/4 ページ)

労働時間削減や有給消化に、いま多くの企業が悩まされている。多様性のある働き方を導入していることで知られるサイボウズの青野社長に、同社の取り組みについて聞いた。

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社長メッセージで「ワールドカップを語らない」理由

――他企業でもグループウェアで、社長のメッセージを発信しているところはあると思いますが、社員がそれに大きなリアクションも示さず、ただ流されるシーンも多く見かけます。流されない発信の仕方のコツはあるのでしょうか?

 とにかく一貫性が大事だと思っています。ビジョン以外の情報はできるだけ語らないようにして、一個の最終ゴールだけを、手を変え品を変えて示し続けることが大切です。つい社員の気を引こうと「サッカーのワールドカップが……」と、別の話題で切り出しがちですが、それをやっていると「好き勝手喋ってるよ」っていつか無視されてしまうんです。

 あとは、インタラクティブであることでしょうか。グループウェアはある意味残酷で、「いいね!」ボタンがあるんです。だから僕が発信した内容にも、リアクションがない場合は一目瞭然になります(笑)。

「質問することは義務である」

――インタラクティブなシステムがあっても、実際にそれが機能するかどうかは別問題だという企業も多いと思います。「いいね!」ボタンが実際に機能していること自体がすごいと思えるのですが。

 僕が社員に伝えていることの1つに、「多様性」とそのための「自立」がありますが、自立した人間になるための行動として「疑問に思ったら、相手がどんな立場だろうと質問すること」があります。

 「相手が社長だろうが部長だろうが部下だろうが、分からないことがあったらその場で聞きなさい。質問することは義務である」と強く言っています。すると、みんな発信せざるを得なくなるので、オープンな環境が自然と醸成されていくんです。

 もちろん、僕も社員からの相談や質問が来たときは、たとえ納得いかないものであっても一度は受け入れるようにしています。ここで社長の僕が受け入れる姿勢を取らないと、もう意見は出てこなくなってしまう。「いろんな意見があって当たり前。それを否定しない」っていう姿勢を自分できちんと示すことで、みんなが発信しやすい空気は作っています。

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