電動アシストロードバイク「YPJ-R」は値段相応と言えるのか:「YPJ-R」ロードテスト(1/2 ページ)
ヤマハ発動機が発売した電動アシストロードバイク「YPJ-R」とはどんな自転車なのか。25万円前後という価格は妥当なのか。あまり自転車に詳しくない人にも分かりやすく説明してみる。実際に坂を上ってその性能もチェックしてみた。
ヤマハ発動機が開発した電動アシスト機能付きのロードバイク「YPJ-R」の価格は、税込みで約25万円。高いよねえ。たぶん、YPJ-Rがターゲットとする人にとっては、高く見えると思う。でも、本当に高いのか。
スポーツ自転車と一口にいっても、2〜3万円で買える「スポーティータイプ」の自転車から、6〜10万円の「クロスバイク」、10〜20万円のエントリー向けロードバイク、さらにはレースでも使える30万円以上のハイエンドロードバイクと、その幅は非常に広い。自転車の価格に対するイメージは、人によってだいぶ違うだろう。
スポーツ自転車の場合、そのグレードで価格が全然違う。それを知っている人から見れば、YPJ-Rは安いとは言えないものの、ほぼ適正レベルといっていい値段なんじゃないかと思う。
ここでちょいと使われているパーツをチェックしてみよう。自転車の各部品は規格化されており、どれをどう組み合わせるかでどういう人に向けた自転車なのかも見えてくるからだ。
YPJ-Rは25万円に見合ったグレードなのか。当然、電動アシスト機構の分、普通のロードバイクよりは価格は高いが、それを差し引いて考えればいい。
シマノの「105」をメインコンポにした中級クラスの装備
まずは全体を。
自転車の性能をチェックするとき、最初に見るのは駆動部回り。前後の変速機やブレーキといったメインコンポのグレードだ。
後輪のリアディレーラー(後輪の変速機)を見よう。ここ大事。「SHIMANO 105」と書いてある。
ロードバイク用コンポーネントは、日本のシマノ、イタリアのカンパニョーロ、米国のSRAMが三大メーカーで、ロードレースで使われるバイクもこのどれかを搭載している。
YPJ-Rが搭載するのはシマノ。日本が誇る自転車部品メーカーだ。シマノはロードバイク用のコンポーネントシリーズとして、「CLARIS」「SORA」「TIAGRA」「105」「ULTEGRA」「DURA-ACE」とおおざっぱに6つのグレードに分かれていると思っていい。後の方ほどハイグレードになる。
TIAGRAまではエントリー向けの廉価なロードバイクに搭載されているグレード。
105は、エントリーから脱して本格的に走りたいけど、レースに出るほどじゃない、という人が一番安心して使えるグレードだ。本格派ロードバイクの基本コンポといえる。つまり、YPJ-Rはエントリー向けといいながら、けっこういいパーツを積んでるのである。
シマノの105を搭載。11速。もっともベーシックなタイプで、12-25T(1番重い側の歯が11個、軽い側が25個。Tはtoothの略、つまり「歯」だ)。登坂重視の構成ではないが、登坂時は電動アシストが働いてくれるので問題ない
フロントのディレーラーもシマノの105だが、クランクセットはFSAの「VERO COMPACT」。105に比べるとグレードは落ちるようだが、一般的なコンパクトクランクだ。2速で重い方が50Tで軽い方が34T。最近ではもっとも一般的な構成。
そこにヤマハ発動機の電動アシストユニットが搭載されている。
同社の「PAS」が搭載しているアシストユニットに比べて違うのは、重さ。
ロードバイクなのでアシストが効いてない時の走りが重要であり、それには少しでも軽くしたい。軽ければ軽いほど軽快に走る。よって、バッテリーは軽くて小さい(つまり容量は少ない)タイプで重さも540gとぐっと軽量化。
ドライブユニットも軽く、セッティングも普通の電動アシスト自転車とは異なっている。ヤマハによると、従来のモデルは登坂性能重視型。対して、YPJ-Rは発進加速重視型。発進時を主にアシストするけど、走り出したら自力でこいでね、というロードバイク的には正しいセッティングだ。
ペダルは樹脂製で表裏のあるタイプ。
樹脂製なのでこころもとないかと思ったが、縦に長くてフィット感はあり、意外と踏み心地は悪くない。でもまあこれは変えたくなるかも。そもそもこのクラスになるとペダルはついてなくて、自分で気に入ったものを付けるのが普通だし。
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