アメリカとデンマークの大学研究チームが、肝臓において、糖分やアルコールの摂取を抑制するホルモンを発見したと発表しました。
肝臓のホルモンをコントロールできれば、甘いものやお酒への欲求をコントロールできる可能性があります。今回は、肝臓と肥満の関係を探ってみましょう。
糖分やアルコールへの欲求が抑制できるホルモン
2015年12月、米テキサス州テキサス大学の研究チームと、デンマーク・コペンハーゲン大学の研究チームが、肝臓と肥満に関わる研究結果を米科学誌「Cell」の姉妹誌「Cell Metabolism」(オンライン版)で発表しました。
研究内容は、“糖分やアルコールの摂取を抑制するホルモンを「肝臓」で発見した”というもので、食やアルコールへの欲求をコントロールできるホルモンだと報告しています。
ホルモンの名は「FGF21(線維芽細胞成長因子21)」と言い、実験では、マウスにFGF21を投与すると、砂糖水やアルコール水に興味を失ったと発表されています。脳の視床下部に作用して、糖分やアルコールへの欲求を強力に抑制するようです。
もともと密接な肝臓と肥満の関係
肝臓のホルモンが、なぜ肥満と関係あるのか、疑問に感じた人もいるかもしれません。
もともと体脂肪は、肝臓が中性脂肪を過剰に作ってしまい、それが原因でたまっていくもの。つまり、肝臓は肥満と深い関係があり、肝臓をどれだけ健康に保つかが痩せるための第一歩といえます。
肝臓と中性脂肪の関わり
アルコールの分解過程の中で、肝臓は中性脂肪を作り出します。つまり、アルコールを飲むと、体脂肪が蓄積されやすくなってしまうのです。今回、研究チームによって発見されたホルモン「FGF21」は、糖分やアルコール摂取欲求を抑制するもの。科学の進歩によって、人間の欲求もコントロールできるようになる未来がすぐそこまできているのかもしれません。
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