ワークアウトの充実と新たなライフスタイルの提案が見えた「Apple Watch Series 2」:“ウェアラブル”の今(2/2 ページ)
Apple Watchの新モデル「Series 2」は、これまでのファッション路線を軌道修正し、スポーツ関連機能の充実にかじを切ってきた点が興味深い。またGPSやFeliCaなど、新たな使い方を提案するデバイスの搭載にも注目だ。
増量したバッテリーによる新たな使い方
Apple Watch 2は、アルミニウムモデルで比べれば、38mm・42mmともに0.9mm厚くなり、重さは38mmで3.2g、42mmで4.2g重たくなる。
筆者は42mmモデルのApple Watch Sportを使っており、Apple Watch 2の同じサイズのアルミニウムケースをレビューで試してみたところ、手首に装着し続けることもあり、わずか4.2gでもその差は非常に大きく感じた。
以前のモデルの軽快さはない。ただ、ステンレススチールモデルに比べれば、十分に軽いままだ。
この厚さと重量の増加の原因は、前述のGPSと後述のデュアルコアプロセッサーの搭載で消費電力量が増えたことに合わせ、Appleが規定する1日(18時間)分のバッテリー持続時間を確保したためだと考えられる。
筆者は朝起きて充電が終わったApple Watch 2を装着し、駅まで約20分の道で、GPSを用いたウォーキングを行きと帰りで実行し、日常を過ごしてみた。
夜寝る段階で、バッテリー残量は55%ほどで、驚くほどバッテリーが減っていなかった。朝起きた段階でも50%残っており、充電なしで翌日の終わりまで過ごす事ができた。
もちろんそれでも1日に1度は充電しなければならないが、夜寝る前に必ず充電が必要ではなくなると、ベッドでのApple Watch利用の可能性が開けてくる。
例えば、Apple Watchで睡眠計測できるSleep++は、寝る際に手首にApple Watchを着けていなければならないが、朝起きても半日以上のバッテリーが残っているなら、寝ている間の利用は現実的な選択肢となる。
もし睡眠計測をしない場合でも、watchOS 3に搭載された呼吸によるマインドフルネス機能「Breathe」を応用した安眠テクニックを試してみてはどうだろうか。
ベッドに横になって、手首の振動で呼吸のペースを知らせてくれるBreatheの5分セッション(1セッションあたりの最大時間)で呼吸を行っている間に眠りにつくと、ぐっすりと眠ることができた。忙しいレビュー期間中の快眠をサポートしてくれた。
日々を快適にするデュアルコアプロセッサー
Apple Watch 2を使い始めると、その直後から、内蔵される新しいS2プロセッサのメリットを感じることができるはずだ。
新たにリリースされるwatchOS 3とともに、S2のデュアルコアプロセッサは、より高速なアプリ起動を実現し、「通知以外の機能やアプリを積極的に使いたくなる」だろう。
watchOS 3では、グランスが廃止され、iPhoneのマルチタスクメニューに似たアプリ切り替え画面「ドック」が搭載される。この画面では、アプリがバックグラウンドで最新の情報を更新し続けてくれるため、グランスのような役割も兼ねる。
また、ホーム画面からアプリを起動する際にも、何も起きず1分待たされる、といったことはもうない。そのため、アプリを積極的に利用したくなる、という感想を持ったのだ。
グラフィックス性能も向上するため、小さな画面でのかわいらしいアニメーションを楽しむようなアプリの登場も期待できる。
Apple Watchのプレゼンテーションで紹介された「Pokemon GO」は、Pokestopを回転させるアニメーションもスムーズに再現していたほか、ポケモンとの遭遇を通知してくれるなど、Apple Watchをゲームと組み合わせて利用する、最も良い事例となるはずだ。
日本でのSuica対応は、生活をよりアクティブに変える
Apple Watch 2の日本向けモデルには、FeliCaが搭載される。iPhone 7などとともに、2016年10月からSuicaの利用が可能になる。iPhone 5以降の、Apple WatchをサポートするiPhoneを持っていれば、Apple Watch 2単体でのSuica利用も可能だ。
例えば、iPhoneを家に置いてランニングに出かけても、途中のコンビニで水を買い、帰りはバスで帰ってくる、といった使い方が可能だ。もし東京に住んでいるなら、Apple Watch 2だけを装着して、手ぶらで皇居に走りに行くこともできるだろう。
同日に発表されたApple初のワイヤレスオーディオ、「AirPods」も、Apple Watchとの相性は抜群だ。
iPhoneとペアリングしておけば、自動的にApple WatchからもAirPodsを認識してくれるため、Apple Watch上でAirPodsを選べば、iPhoneなしで音楽を楽しみながらのランニングも可能になる。
なお、Apple Watch 2は、引き続き「iPhoneとのペアリング」が前提のデバイスであり、Wi-Fiがない限りは単独でのインターネット通信には対応しない。しかし、あるいはそれ故に、Apple Watch 2によって、オフラインでのアクティビティにより集中することができ、充実した自分の時間を楽しむ事ができるようになるだろう。
関連記事
- 「Apple Watch Series 2」9月16日発売、Felica対応やGPSの搭載など機能向上
Appleが、第2世代のApple Watch「Apple Watch Series 2」を発表した。水深50mまでの防水性能を備えたほか、FeliCaやGPSを搭載するなど、形状は変わらないが大幅な機能の向上が図られている。 - Appleが送り出した新たなウェアラブルデバイス「AirPods」
Appleが発表した新しいイヤフォン「AirPods」は、これまでのBluetoothイヤフォンとはだいぶ異なる使い勝手を実現したデバイスだ。評価期間中は思わずずっと着けっぱなしにしてしまったほど。これは新たなウェアラブルデバイスだと感じた。 - iPhoneとApple Watchが「iOS 10」で連携を深めていく
「プロアクティブ」と、「アプリの機能の細分化」は、Apple Watchで先行して取り入れられていた概念だが、これがiOSにも取り込まれることが、パブリックβを触っていると感感じ取れる。 - Appleの“進化のスパイラル”に入ったApple Watch――watchOSらしさを取り入れるiOS
一般のユーザーも、実際に試すことができる「iOS 10」のパブリックβ版が公開されたので、さっそく試用してみた。すると、iOSには“Apple Watchからのフィードバック”を強く感じた。その理由をひも解いてみる。 - Apple Watchの新アプリ「Breathe」とは何か
Apple Watchの機能が大幅に進化する次期バージョンの「watchOS 3」では、フィットネス機能に、「Breathe」という新アプリが加わる。Appleも「マインドフルネス」の領域へ踏み込んでいく。 - watchOS 3でApple Watchのアクティビティはどう変わる?
Appleが2016年の秋にリリース予定のApple Watch向け新OS「watchOS 3」では、フィットネス機能が大きく進化する。Apple Watchユーザーがよく使っている機能でもあるフィットネスがどう変わるのか、詳細に見てみよう。 - 林信行の「iPhone 7」先行レビュー
初代iPhoneが起こしたスマートフォン革命から10世代目を数える「iPhone 7」は、これまでにない大きな跳躍を見せた。その魅力を林信行が語り尽くす。 - 最新にして、最良――iPhone 7/7 Plusは、“後戻りできない進化”
フルモデルチェンジとなるiPhone 7/7 Plusは、先代にも増して変化と進化の大きいものになっている。今回、筆者は日本向け製品版をいち早くテストする機会を得た。iPhone 7とiPhone 7 Plusは、どれだけ“最良のiPhone”になっているのか?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.