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アプリ「Baby うんち」で新生児の胆道閉鎖症を早期発見 ResearchKitを臨床研究に活用

聖路加国際大学が、臨床研究を兼ねた胆道閉鎖症の早期発見に役立てるアプリ「Baby うんち」を公開しました。新生児のうんちを写真に撮ると、便色を自動判別して胆道閉鎖症の可能性を知らせてくれます。

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Baby うんち
Baby うんち

 聖路加国際大学が9月29日、新生児の胆道閉鎖症を便色から早期発見につなげるiPhone向けのアプリ「Baby うんち」の配信を開始しました。iPhoneで撮影したうんちの写真を元に、胆道閉鎖症の可能性がないかを自動判別できるようにするための研究用アプリです。Appleのオープンソースフレームワーク、ResearchKitを活用してアプリを開発しており、多くの参加者からのデータを集め、臨床研究に役立てる予定です。

 Baby うんちは、聖路加国際大学 臨床疫学センター 公衆衛生大学院設置準備室 講師の星野絵里氏を中心とした研究チームが開発したアプリです。小児科学、小児外科学、人工知能学、統計学、臨床疫学などの専門家の知見と、健康な子どもと胆道閉鎖症の子どもの便写真の色情報を学習データとした機械学習の成果を基に開発された便色判別システムを採用しています。

 生後2週間から1カ月の新生児のうんちの色が、どう変化していくかを観察することで、生まれつき、または生後まもなく、肝臓と腸をつなぐ胆管が詰まって、肝臓で作られた胆汁が腸に流れなくなって起こる胆道閉鎖症の可能性の有無を自動判別することを目指しています。胆道閉鎖症は、新生児の1万人に1人の割合で発症する病気で、治療をしないと肝硬変や肝不全につながります。

 アプリでは、新生児のうんちの写真を撮影すると、その色を判定し、胆道閉鎖症の可能性があるかどうかを教えてくれます。撮影したうんちの画像は、「うんちプロファイル」として保存されるので、子どものうんちの記録として健康状態の観察にも活用できます。子どもを産んだばかりの母親に、是非このアプリを使ってもらいたいと星野氏。

Baby うんちBaby うんち 機械学習および専門家の知見を元にした、便色の自動判定ができます。臨床研究のためのデータ収集も兼ねており、将来的な精度の向上も目指します
Baby うんちBaby うんち うんちの写真を撮ると、その色から胆道閉鎖症の可能性を判定します

 研究を率いる星野氏は、自分のお子さんが胆道閉鎖症だった経験を持っており、早期発見は非常に重要だといいます。従来、胆道閉鎖症の発見は、母子手帳に掲載されている7色の便色カラーカードを参考に、目視で行われていました。ただ、この方法では判別者の主観の影響が強いという問題があります。アプリでの自動判別は、客観的に判断でき、病気の早期発見につなげられる可能性があるといいます。

 また、Baby うんちでは、協力者が提供するうんちのデータも蓄積し、胆道閉鎖症の新生児と健康な新生児の便色情報をさまざまな角度から分析して、さらなる科学的根拠に基づいた便色判別システムの構築を目指しています。

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