義務化された「職場でのストレスチェック」、実施状況は?
2015年12月から義務化されたストレスチェック制度。既に半年がすぎ、もうじき1年となる現在、実施状況や受検率はどうなっているのでしょうか?
ストレスチェックとは、労働者50人以上の事業所で毎年1回、基本的に全ての労働者に対して実施することが義務付けられている、ストレスに関する簡易検査です。
その目的は、なかなか気付きにくいメンタルヘルスの不調を未然に防止すること。もしストレスチェックの結果によって、ストレスが高いことが分かれば、仕事の軽減や職場環境の改善などを早期に行うことができるのがメリットとされています。
このストレスチェック、1回目は2016年11月30日までに行う必要があります。今、どのような実施状況や受検率なのか、アンケート調査をもとに見ていきましょう。
ストレスチェックの受検率は平均78.7%
ピースマインド・イープが行った2016年7月までの調査によれば、ストレスチェックの対象事業所内での受検率は平均で78.7%であることが分かりました。90%以上の受検率だったのは、全体の6割の企業。規模が小さいほど受検率が高い傾向がみられたそうです。
また、業種別では、情報通信業や建設業の受検率が高く、90%以上。製造業も90%近い受検率でした。反対に、受検率が少なかったのは、金融業・保険業、医療・福祉業。受検率は約60%でした。
業種によって受検率にバラつきが出た理由として、仕事柄、一斉受検のさせやすい職種、接客対応で受検の時間が取りにくい職種など、環境の違いが考えられています。そもそも、情報通信業は受検のICT操作がしやすい点で、受検率が上がったということもあるようです。
ストレスチェックを受けるかどうかは任意
ストレスチェックが義務付けられたのは事業所が実施することについてであり、従業員が受検するかどうかは、事業所は強要してはならないとされています。よって、受検率の差が生じるわけです。
受検勧奨については、それぞれの企業が検討すべきといわれており、就業規則に受験を義務付けるようなことは禁止されています。
ストレスチェックを受ける意味
では、心の健康を自覚している従業員にとって、業務や接客対応が忙しい中、わざわざストレスチェックを受ける意味はどこにあるのでしょうか。
最も大きいのは、自分自身の中で気付かなかったストレスを把握でき、今後の生活の参考にできる点です。気付かぬうちに精神が押しつぶされている可能性もないわけではありません。その気付きには大いに役立つと考えられます。
また、高ストレスと判明したときに、気付いてもらえるというメリットもあります。
ただし、それが必ずしもプラスになるかどうかは現段階では不明確です。今後、面接指導などが重ねられていくことで明らかになっていくと考えられます。
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