「日本人は睡眠時間が世界で2番目に短く、睡眠不足による経済損失額は3.5兆円にも上る。そんな状況を改善するには、単一のアプローチではなく、睡眠を日中/寝る前/寝ている間に分けて総合的に解決していくべきだ」――そんな考えで立ち上げられた製品/サービスブランド「Sleepdays(スリープデイズ)」の商品体験会が、11月11日に行われました。
眠らない日本人
「Sleepdays」とは「睡眠で世の中をもっと豊かにする」というビジョンと共に誕生した睡眠のための製品およびサービスのブランド。特定の製品を指すのではなく、食品やアプリ、コンテンツ、ハードウェアなどさまざまな方法を用いて、睡眠に関する問題を総合的に解決していくことを目指しています。
Sleepdaysを提供するTWOの東義和 代表取締役社長は、世界でもダントツに眠らないとされる日本人が抱える睡眠に関する問題や、睡眠不足による経済損失額を紹介。米国では5.6兆円、日本でも3.5兆円と見積もられているとしました。
また眠らないことによって引き起こされるデメリットとして、睡眠不足による影響が糖尿病やがんのリスク、精神状態の不安定、成長の妨げ、肥満、肌荒れ、記憶力の低下を挙げ、健康維持における睡眠の重要性を強調しました。
「睡眠は充電。軽視すると幸福度にも影響する」
続いて白濱龍太郎氏(RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルクリニック 院長)は「昔は寝る間を惜しんで働くことが美徳とされた時代があったが、実は睡眠を軽視するとさまざまな問題が起きる」とあらためて睡眠の重要性を説きました。
睡眠不足が引き起こした大事故の例として、チェルノブイリやスペースシャトルの爆発事故などを紹介。「スマホを充電しないと動かないのと同じで、睡眠は充電であり、美容やダイエット効果、がんなどをはじめとした病気の予防、日中のパフォーマンス、脳の成長(子供)、幸福度に影響する」と解説。
特に「年齢とともに必要な睡眠時間は異なるが、特に子供の寝不足では、記憶能力を左右する脳の海馬が発達しない」という説明は、睡眠が及ぼす影響を知らないことが、子供の成長にも影響する例としてインパクトがありました。
3つの時間帯別に環境を整える
東氏は、「睡眠市場は存在するが、ぶつ切りで、ユーザー目線ではどれがマッチしてるか分からない」として、いろんな悩みに対してダイレクトに選べるソリューションが「Sleepdays」であると言います。
Sleepdaysでは、1日を起きて活動している時間(日中)、寝る前の時間(寝前)、眠っている時間(就寝)という3つの時間帯に分け、それぞれの環境を整えていくことで、良い睡眠につなげるというアプローチを取っています。
「寝前」では、帰宅→入浴→リラックス→就寝の段階に応じて、ドリンク、繊維(パジャマ)、メディカルハーブティー、マルチウォーマーといった製品を用意し、リラックス効果や、血流の促進を狙います。「就寝」では、究極の寝室を目指して、セドロールを含む屋久杉を使った床や壁など素材にこだわり、寝室自体を「ROOMFOREST」としてパッケージ化。「日中」では、Webマガジン「CIRCL」を用意し、睡眠自体の価値を情報として発信しています。
このほか、独自の無料アプリ「Sleepdays App」も提供中です。寝る前にアプリ内の目覚ましをセットして枕もとに置くことで、眠りの浅いタイミングで起こすだけでなく、自分の眠りをトラッキング、分析して得点化。睡眠の分析で悪いといわれたとき、どうしていいか分からないという人向けに、得られたデータから睡眠改善の行動アドバイスとして、具体的な行動を提案。同じアプリ内に快眠音楽や入眠呼吸法も含んでおり、オールインワンアプリとなっているのが特徴です。
このようにSleepdaysは睡眠に関する知識、過ごしやすい寝室環境、そして心地よく眠りにつくためのドリンクや衣類など、体の内外から睡眠にアプローチしています。また、今後はパジャマ、アイマスク、レッグウオーマーのほか、メソッドのマンツーマンコンサルティングの事業化、ホテル、B2B、古民家の導入も考えているそうです。
体の中から睡眠力をサポートする
TWOの鈴木匡嘉 プロダクトマネージャーは、「Sleepdays」にラインアップされる6製品の概要と効果を説明しました。
24時間を通して睡眠をサポートする製品群として、代謝機能をあげる酵素を含み、眠りの基盤を作るという「眠力生酵素」、血液をさらさらにすることで冷え性、筋肉の凝りの改善を狙う「眠力めぐりキナーゼ」、神経の興奮状態を抑制し、自律神経の働きを整える「眠力バランスボラージオイル」、覆った部分の血管を拡張させ、血流を改善する「マルチウォーマー」、入浴前に飲むことで体温の上昇を促し、入浴後はリラックス効果を狙う、お風呂専用のドリンクセット「バスタイムドリンク before & after」、リラックスのスイッチをONにしてくれるという「スリープオーガニックハーブティ」が紹介されました。
いずれも血行促進と自律神経を整えることで、体を内側から眠りやすい状態に持っていくことを狙っているのが特徴です。
30代、40代の不眠が増加
オーガニックコスメとオーガニックフードのセレクトショップ、ビープル バイ コスメキッチン ディレクター・佐藤香菜氏は、よい眠りに対する一般の関心の高さを紹介しました。
以前から店舗に訪れる客からなかなか眠れないという声が聞かれたといいます。特にテレビで睡眠特集などがやると、翌日は不眠を訴える客が増えたのだそうです。
「昔は眠れないのは高齢者というイメージだったのが、最近は30代、40代でも、睡眠薬を飲まないと眠れないという人が増えた」と現場の肌感覚としても市場のニーズが高まっていることを説明しました。
試飲コーナーと血流測定体験会
体験会では、「Sleepdays」の製品を一通り味わうことができるもので、試飲コーナーには女性たちが集まりました。筆者も試しましたがいずれもとても飲みやすいものでした。特に体温を上げるという「before」は、小さなカップに一口飲んだだけにもかかわらず、その後背中に汗が流れるほどに。
指先の毛細血管を拡大して見せてくれるコーナーもあり、自分の毛細血管を見る機会はまずないだけに、列ができる盛況ぶり。中には毛細血管がほとんど見えていないという女性も。ダイエット目的なのか「運動はものすごくしているが、あまり食事をとっていない」とコメントしていたのが印象的でした。
Sleepdays Productsの4カテゴリー・9商品は、同日より全国のBiople by CosmeKitchenで発売中とのことです。
関連記事
- 羊は数えちゃダメ!睡眠学者が教えてくれる真実
「羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹……」眠れないときによくやることですが、むしろ羊を数えると余計に眠れなくなることが発覚しています。不眠症の研究が進む中、これまでの通説(?)が覆されそうです。 - 呼吸が止まってしまうのはなぜ? 睡眠時無呼吸症候群のナゾ
肥満の人に発症リスクが高いといわれる「睡眠時無呼吸症候群」。眠っている間、何度も無呼吸状態が訪れる病気です。その呼吸が止まるメカニズムに迫ります。 - 暖色系の光は睡眠に良い? ホントかどうか試してみた
現代人が望んでやまない「快眠」「熟睡」。睡眠時間の短い筆者もなんとか実現したい。そこで部屋の蛍光灯を赤っぽい色の「電球色」に変えてみた。これが本当に眠くなる!……だが、少々問題が。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.