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コラム

魚・野菜中心の日本食が「疲労回復」に最適な理由

なんだか疲れが取れずいつも疲れている……。そんな悩みは、今、多くの日本人が抱えていることです。

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 「抗疲労食」という言葉があります。読んで字のごとく、食事から疲れを取ろうとする考え方のことを言います。抗疲労食と言っても、あえて新しい食事を始める必要はありません。伝統的な日本食を当たり前のように食べていれば、自然と疲れが取れると言われているからです。

 京都大学を中心とした7大学では、農林水産省の支援を得て、「日本食によるストレス・脳機能改善効果」を解明すべく研究を行っています。日本食を食べていれば疲労が取れるのはどうしてなのでしょうか。その秘密に迫ります。

「魚・野菜中心群」は健康評価が高い

 日本食の疲労回復効果の研究を行う北海道大学大学院医学研究科では、特徴的な食行動パターン4つのうち、「魚・野菜中心群」に、健康評価が高い傾向があることを報告しています。

食行動パターン4つ

  • バランス良好群
  • 肉中心群
  • 生野菜・サラダ中心群
  • 魚・野菜中心群

 特に「魚・野菜中心群」がほかの4つの群と比べて勝っていたのが、「心の健康」の度合いが高かったこと。「計画性のなさ」「熟慮の欠如」「抑うつ状態」「睡眠週間・睡眠の質」がどれも最も良好でした。

 この「魚・野菜中心群」は、いわゆる、焼き魚や煮魚に漬け物を添える日本食ならではの食べ方がイメージされます。


「日本食によるストレス・脳機能改善効果の解明」(参考:北海道大学の研究報告 - 革新的技術創造促進事業

「酵素・発酵」で脳機能低下防止

 このように、日本食にはどんな抗疲労効果があるのか、各大学で研究が進んでいます。

 日本食の基本とされているのが、「節」を原材料とした「だし」です。節とは、かつお節に代表されるような、魚肉を加熱発酵処理したものを指します。

 そして、植物性タンパク質を加熱・酵素処理・発酵処理させた、みそやしょうゆ、豆腐などのような素材と組み合わさっていることも、日本食の特徴です。

 これらを合わせて浮かんでくるのが、「発酵・酵素」というキーワード。そこで研究では、発酵・酵素処理の過程で得られる「ジペプチド類」が、脳機能の低下を抑制する抗酸化作用があることを科学的に証明するために、検証が進められています。

疲れをとるには「抗酸化物質」を

 では、私たちが普段の生活の中で、疲れを取るにはどんな日本食を選べばいいのでしょうか。ポイントとなるのは、疲労の原因となる活性酸素を除去する「抗酸化物質」。

 例えば、「ビタミンB1」の多いカツオ、「α-リポ酸」の多いトマトやジャガイモ、「パントテン酸」の多い豚レバー、カツオ、マグロ、「イミダゾールジペプチド」の多い鶏胸肉などがあります。これらを偏ることなくバランスよく摂取することが肝心です。

 心身共に、健康になる日本食。今後、その抗疲労効果が検証されるのを楽しみに待ちつつ、ぜひ積極的に日本食を摂りたいものです。ご飯にみそ汁、焼き魚・煮魚におひたしや漬物などの「魚・野菜中心」を心掛けて、食生活から健康になりましょう。

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