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インタビュー

「温泉」が薄毛問題を解決する? 育毛博士に聞く発毛研究の最先端(1/2 ページ)

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 薄毛に至る4つの原因とその改善法について、前回の記事で触れた。続く今回は、温泉と薄毛問題の意外な関係について、温泉地・別府で発毛研究を行う松島博士に聞いた。

取材協力/監修:松島一幸博士(サラヴィオ中央研究所)

九州工業大学情報工学部生物化学システム工学科を卒業。同大学、博士後期課程(情報工学研究科 情報科学専攻)を修了し、学位を取得。独立行政法人産業技術総合研究所 ジーファンクション研究センターで生化学と電子顕微鏡観察を駆使した研究活動を行う。

その後、神奈川大学総合理学研究所にてアルツハイマー病やがんに関連する因子の細胞生物学、タンパク質科学的な研究活動を展開。

現在、サラヴィオ中央研究所のM-1発毛研究チームの上席研究員として、毛乳頭細胞のシグナル伝達機構解明、発毛研究に従事している。国内外での多数の学会発表、論文報告の実績がある。

サラヴィオ中央研究所:http://www.saravio.jp/ir/lab/


新種の「温泉藻類」の発見

 松島博士によれば、温泉が発毛に影響を及ぼす理由として(1)守りの「温泉藻類」と(2)攻めの「温泉酵母」の2つの効果が挙げられるという。

 まずは(1)「温泉藻類」について。

 そもそも温泉の効能といえば、一般的にはリウマチや神経痛の治癒、美肌などが思い浮かぶ。ではなぜ温泉にそのような効果があるのだろうか。

 従来、温泉研究のほとんどは温泉水や泥の性質を調査するもので、効果効能については全てを証明できていなかった。そこで温泉のなかの微生物である“藻”が効果の鍵なのではないかと考え研究を始めたのが、サラヴィオ中央研究所だ。

 研究所のある大分・別府は、源泉数が約3000と世界一の温泉地として知られる。別府温泉には「炭酸水素塩泉」や「硫黄泉」など、医学的に治療効果があるとされる11種類の治療泉のうち、10種類が存在。研究所は、これらの源泉に存在する無数の微生物の検証を続け、高い抗炎症作用を持つ新種の藻類を発見した。

 この藻が、昔からリウマチや腰痛、慢性皮膚炎などをいやしてきた正体の1つだった。研究所はこれを「温泉藻類RG92」(92番目に見つけた再生への道:Regeneration Gateway)と名付けた。

 温泉藻類RG92はその抗炎症作用が特許成分として認められており、炎症によって引き起こされる「円形脱毛症」や「老人性脱毛症」の対策として効果を発揮する。炎症の誘発や悪化を抑えることで抜け毛を防ぐ、いわば「守り」の役割を果たすわけだ。

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