ミトコンドリアを活性化する温泉酵母
次に(2)「温泉酵母」について。
「男性型脱毛症(AGA)」や「女性型脱毛症」の主な原因は、ヘアサイクルの乱れにより毛髪の成長期が短くなることといわれている。髪の成長を促す鍵となるのが「ミトコンドリアの活性化」と「発毛シグナルの増加」。ミトコンドリアというのは、細胞が活動するのに必要なエネルギーを生産している。そのエネルギーは発毛・育毛にも必要で、ミトコンドリアが活発だと髪が元気になる仕組みだが、さまざまな要因でミトコンドリアは弱ってしまう。
そこで活躍するのが「温泉酵母エキス」だ。髪の成長の中心的な役割を担う毛乳頭細胞のミトコンドリアを活性化し、発毛・育毛のエネルギーを40%増加させる。また、「一次繊毛」という発毛シグナルを送受信するアンテナを60%伸ばす効果がある。一次繊毛を介して発信される発毛シグナルを300%に増やし、毛母細胞(髪のもととなる細胞)の分裂が活性化されることで、髪の成長期が長くなるという。また、皮膚のターンオーバーを正常化させることで、頭皮の環境も改善される。
つまり「温泉酵母エキス」には、発毛を促す毛乳頭細胞のミトコンドリアを活性化させ、細胞自体が元気になることで発毛に必要なエネルギーとシグナルを増やし、薄毛を改善する「攻め」の作用があるのだ。
松島博士によれば、この「守り」と「攻め」の効果によってさまざまな脱毛症を改善できるという。こうした研究成果は育毛剤などのヘアケア商品として世に出されている。
また、「温泉藻類RG92」は治療薬としての幅広い用途も検証されており、生活習慣病やアトピー性皮膚炎の改善、スポーツ分野における痛みの緩和や疲労の回復、遺伝子検査サービスを提供する企業と共同でのパーソナルヘアケア分析サービスなどの開発も進められている。
「こうした研究開発により、そう遠くない未来に、薄毛の悩みを抱える人がゼロになるかもしれない。温泉の力で一人でも多くの人の健康に寄り添えるよう取り組んでいくので、今後の研究に期待してほしい」(松島博士)
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