IE9を超えてパワフル!──「Internet Explorer 10」の本気を動画で見る:MIX11
Internet Explorer 9の日本語版が4月26日から配布を開始。が! 米国ではその次期バージョンがサクサクと動いているという。その“速さ”を動画でチェック。
米Microsoftは、米国ネバダ州ラスベガスで開催中のWeb開発者イベント「MIX11」において「Internet Explorer 10 Platform Preview 1」(IE10 PP1)を公開した。IE10 PPは、開発者がレンダリング処理などの挙動を把握するために配布されるもので、UIなどのスキン要素は含まれない。だが、MIX11で公開されたデモの数々は、IE10で向上した高速動作とHTML5標準準拠を示した。ここでは、デモで紹介されたIE10 PPの動作を動画で紹介する。なお、IE10 PP1は、こちらのWebページからダウンロードできる。
IE9を上回るHTML5準拠+ハイパフォーマンス
MIX11の初日となる4月12日(現地時間)に開催された基調講演では、米MicrosoftでIEチームを率いるコーポレート上級副社長のディーン・ハチャモビッチ氏が登場し、HTML5に対する最新の取り組みについて発表した。2010年3月に行われたMIX10では、同社で初となるHTML5対応をうたったIE9のプレビューが紹介され、これまで遅いといわれていたIEの(悪い意味での)常識を覆すレンダリング速度やJavaScriptの実行パフォーマンスを示した。
さらに、IE9のユニークな機能として、ハードウェアアクセラレーション対応によるレンダリングの高速化やスムーズなビデオ再生、フォント拡大時のスムージング処理、そしてWindows 7のジャンプリストとの統合など、“OSメーカーだからできる使いやすい実行環境”をアピールしている。
それから約1年。IE9は2011年3月中旬に正式リリースされて(日本語版以外)、すでに4週間が経過している。日本では地震の影響で遅れたものの、4月26日から正式版を利用できる環境が整う。
IE9も、最初のPlatform Preview 1ですべての機能が実装されていたわけではない。HTML5対応も限定的で、例えば画面描画を行う「canvas」タグがサポートされていなかった。当初は、ベクターグラフィックスの「SVG」のみの対応だったものの、数回のバージョンアップを経て各種機能の実装やパフォーマンス改善が進み、2010年9月に公開されたβ版では、現在公開されているIE9の完成形に近いレベルに達していた。
金魚が泳ぐ!女子が飛ぶ!
ハチャモビッチ氏は、MIX10で「よりパワフルで標準に準拠した使い勝手のいいブラウザ環境を今後も提供していく」と約束していたが、その“約束”を果たす第一歩がMIX11で紹介されたIE10 PP1になる。
IE10 PP1は、ユーザーインタフェース(UI)などの実装はまだ行われていない、レンダリングや実行環境を確認する目的に特化した開発者向けプレビューだ。IE9からの主な変更点は、“HTML5標準へのさらなる準拠”とという地味な内容だが、それでも、パフォーマンスは大幅な進化を遂げている。そのパフォーマンスを基調講演で紹介されたデモで紹介しよう。
IEの新旧バージョンでパフォーマンスを比較する。左がGoogle Chromeで、右がIE10PP1だ。“Fishbowl”という水槽で魚が泳ぐHTML5デモだが、そのパフォーマンスの違いがよく分かるだろう');
水槽の中を魚が泳ぐデモだが、少しずつ視覚効果を加えて負荷を高めることができる。IE10 PP1では、すべての効果を加えてもパフォーマンスが落ちないのに対し、Google Chromeでは途中から速度が大幅に落ちている。またIE10 PP1では、魚の数を増やしても、問題なく動作している。これはレンダリングとJavaScript実行速度が大幅に向上していることを意味する。(記事掲載当初、比較するWebブラウザの説明で間違いがありました。おわびして訂正いたします)
カヤックの「SVG女子」は、SVGを使ったアニメーションデモだ。すべてのグラフィックスがSVGベースのベクターグラフィックスで実現しているだけでなく、アニメーションとして再生されている。ベクターデータなので、色の変更なども容易だ
もう1つのサンプルデモは、アニメーションをすべてSVGによるベクターグラフィックスで実現したものだ。開発したのは日本のカヤックで、「SVG女子」というタイトルがついている。ベクターデータなので、色の変更といった後処理も容易だ。動画ファイルの再生処理ではなく、HTML5標準の描画技術だけでここまでできることを分かりやすく示すコンセプトデモといえる。
なお、IE10は今回“PP1”として公開されるが、今後も12週間ごとにアップデート版が提供されることになるという。このあたりはIE9の開発とほぼ一緒だが、リリース間隔はやや長くなるようだ。Microsoftによれば、細かいアップデートを適時提供するよりも、必要な機能を搭載したバージョンを確実に用意してアピールしていく戦略だという。さらに、最終的には2012年後半のリリースが予想されているWindows 8への統合が行われるものとみられている。
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