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地震その時ニコ生は 被災地も取材、「ソース」並べて見えたもの今こそIT・ネットの出番(1/2 ページ)

ある者は東京電力の会見場に張り付き、ある者は被災地へ向かった――地震、その時「ニコニコ生放送」が伝えたものを追う。

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杉本社長(左)と亀松編集長

 東日本大震災の前日、NHKの「クローズアップ現代」がインターネット放送を特集した。NHKスタッフがニコニコ生放送の番組にも出演。ニワンゴの杉本誠司社長らを交え、「テレビとネットの未来」や「放送の役割」を語り合った。「我々にとって大きな1歩だった」と杉本社長は振り返る。

 そして3月11日、地震が発生。程なくしてNHKを始めとする各局がニコ生やUstreamでテレビのニュース映像をそのまま流し始めた。思わぬ形で実現したテレビとネットの融合。前日に続き、インターネット放送にとっての新たな1歩が刻まれた日だったのかもしれない。

杉本社長自らNHKに電話

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杉本社長

 地震発生時、杉本社長は前日のクローズアップ現代とコラボしたニコ生番組について報告する会議を社内で開いていた。倒れそうになるテレビを支えながら、揺れが収まるのを待ったという。オフィスの別のフロアでは天井が落ちていた。

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 ビル内にいる全員に避難指示が出たが、ニコニコニュースチームなどはオフィスに残り、地震の速報を掲載するといった対応に追われていた。「滅多にないことが起こっている」――ニコニコニュースの亀松太郎編集長はiPhoneで社内の様子を撮影して回ったという。

 午後3時03分。UstreamでNHKの映像を無断で流し始めたユーザーがいた。それを受けてNHKの公式アカウント「@NHK_PR」は「私の独断」と断った上で「人命にかかわることですから、少しでも情報が届く手段があるのでしたら、活用して頂きたく存じます」とつぶやく。

 そのやりとりを見て、杉本社長は自らNHKに連絡し、NHKの映像をニコ生で配信したいと相談したという。すると数十分後には許可が出た。ニコ生のコメントを表示できるようにしてもいいか?――「恐る恐る」(杉本社長)尋ねると「現場(ニコ生)の判断に任せる」という回答が返ってきた。

 11日のうちにフジテレビからも許可を得て、ニコ生でテレビ映像の配信をスタート。Ustreamでも12日午前1時ごろまでに、TBS、フジテレビ、NHK、テレビ朝日が配信を始めた。NHKのニコ生配信ページには12日深夜までに延べ約210万人がアクセスしたという。

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NHKのニコ生配信ページには3月12日深夜までに延べ約210万人がアクセス

 「ニコニコでテレビ映像をそのまま流すことは意味のないことだと以前から言ってきた。(流すにしても)ほかの企画とくっつけたりして差別化したほうがいいんじゃないかと。だが『テレビのないオフィスでネット配信に助けられた』という声を聞き、気付かされることも多かった」と杉本社長は語る。

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 フジテレビの自己検証番組「新週刊フジテレビ批評」やNHKのクローズアップ現代とのコラボなどを通じ、普段から各局と連携を重ねていたニコ生。杉本社長は「これまでの取り組みが今回このような形でネットとテレビの新しい連携を生むことにつながった」と振り返る。

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