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指でツンツンすると押し返される感触 3DCGの妖精と“触れ合う”技術CEDEC 2011

浮かび上がって見える妖精の3DCGに指でつんつんすると、触った感覚が味わえる――そんなデモが、CEDEC 2011で披露されていた。

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CEDEC 2011が開催されたパシフィコ横浜

 ゲームの中のあの娘に触れられたら……と思ったことはないだろうか。所詮、夢のまた夢? いやいやそんなことはないかもしれない。9月6日に始まったゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2011」で、3D映像を手で触った感覚が味わえるというシステムが出展されている。慶應義塾大学と東京大学のチームが開発した「RePro3D」だ。

“妖精”を指でつんつんすると……


指先に特殊なテーピングをして画面をのぞくと……?

 RePro3Dは、サイズが40(幅)×60(奥行き)×40(高さ)センチくらいの箱型で、なかには奥から順に高輝度液晶ディスプレイ、レンズ、鏡が並んでいる。ディスプレイには42視点のキャラ映像を同時に投影。レンズで拡大して鏡に反射させる。その状態で、レンズと鏡の間の空間を上からのぞくと、妖精の3DCGが浮かび上がって見えていた。

 さらにそのキャラに触ったような感覚を味わえる仕組みも用意した。人差し指に特殊なベルトを巻き、手前の穴からレンズと鏡の間の空間に手を差し入れると、赤外線カメラがそれを感知。指の位置や動きに合わせてキャラを動かし、ベルトを伸縮させる。例えばキャラをつんつん押す動作をすると、ベルトに指先を刺激され、キャラに触れて押し返されたような感覚に。キャラもこちらの指の動きや強さに合わせて、よろけたり、勢い良くスライドしたりする。

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 キャラの3DCGとおもちゃのシーソーを組み合わせたデモもあった。レンズと鏡の間の空間にシーソーを置き、シーソーの片側の位置にキャラを出現させる。シーソーのもう一方を指で押すと、指にベルトの圧力がかかり、シーソーには何も乗っていないのに“キャラの重み”を感じられるのだ。ほかには、指先を空間に置いておくと、キャラが近づいてくるという演出も。こうして記者は妖精とたわむれたのだった。

指先には触覚を感じるテーピングをする
指の動きに合わせて、キャラクターがよろけたり近寄ってきたり、一緒に遊んでいる感覚を視覚と触覚で味わえる
説明してくれたのは、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究家修士課程2年の清水啓太郎さん。昨年4月からこの研究をすすめている

 RePro3Dについて説明してくれた慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科修士課程2年の清水啓太郎さんによると、開発は「3Dテレビを見た時に触りたいと思った」ことがきっかけ。「いずれは装置を小さくして、家庭やゲームセンターで使える物にしたい」と研究への意欲を語ってくれた。

手の動きに合わせてじゃれてくる、子グマがリアルでかわいいっ!


東京工業「繊細で自在なふれあいのためのキャラクター技術」を発表していた大学精密工学研究所の三武裕玄助授

 画面の中のキャラクターと触れあえないか?――の研究をもう1つ。本当にそこに存在しているかのようにキャラクターと遊ぶことができる技術を開発したのは、東京工業大学精密工学研究所の三武裕玄助授。ボール型のコントローラーで、PCの画面内に映し出された手を動かし、子グマのキャラクターとじゃれ合って遊ぶというものだ。

 実際に試してみると、ボールの位置をプログラミングで読み取って、画面の同じ場所にプレイヤーの手が映し出された。子グマの近くでその手を左右に動かすと、捕まえようとしたり、猫じゃらしでじゃれる子猫のような動きをする。こちらが何もしないとそばにあるリンゴに気を取られ始める。今度はリンゴを手でつかんで投げると、投げた方向に注意が向くなど、キャラクターの反応が実にリアルだった。

 製作にあたり「興味の対象がころころ変わる様子を表現した」と三武助授。プレイヤーが触れた程度と、キャラクターの反応の程度を組み合わせてプログラミングしたそうだ。キャラクターの反応はいかにも“それらしい”動きでないとリアルさを表現できないため、1つ1つ思いついた動きを試しながら組み込んでいったと言う。

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 三武助授は「日常生活にふと隣にキャラクターが居る」リアルな環境を作りたいとの思いから、2004年からキャラクターが“その場に応じた動き”をするARゲームを開発していた。今回の展示はその研究の延長で、2011年に実装化に至ったそうだ。ゲームの未来について「プレイヤーが画面に情報を送るだけのゲームでは満足できないはず。これからは力を介して触った感じがするゲームにしないといけない」と三武助授は話し、そのために技術を進歩させる研究をしていく、と熱いメッセージを残してくれた。

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