「1+1は2を超える」、だから共有を――Googleが災害対応で学んだ3つのこと:今後の課題は“オフライン”(2/2 ページ)
間もなく東日本大震災から1年。Googleは今年の3.11に再び「Person Finder」を試験稼働させる。同社の危機対応チームを第三者の目で検証する特設サイトも立ち上げた。そんなGoogleがこの1年で学んだ3つのポイントとは――。
今後は“オフライン”が課題
3.11から1年を期に、新たに4つの取組みを3月7日に発表した。まずはPerson Finderが、NTTドコモの「災害用伝言板」、KDDIの「災害用伝言板サービス」と連携。ドコモ、KDDIの伝言板からPerson Finderへワンクリックで飛べるようにする。今年の3月11日にはPerson Finderを試験稼働。普段からツールに慣れてもらう狙いがある。
ライフラインの復旧状況を地図で確認できる「災害時ライフラインマップ」もスタートした。現在はデモとして昨年3月のデータを再現しており、auの利用可能状況、東京ガスの供給状況、ホンダが提供する自動車通行実績情報が確認できる。データの種類は今後増やしていく。
災害関連情報を集めたGoogleの特設サイトは常設することを決めた。災害時にまず確認すべきサービスは何かを、普段からユーザーに発信していく。
クライシスレスポンスチームの活動記録を公開するサイト「東日本大震災と情報、インターネット、Google」もオープンした。震災で「情報サービスには何ができ、何ができなかったのか」を、Googleの外の視点から記録・検証する狙い。執筆・編集は、ジャーナリストの林信行さん、山路達也さんが担当する。
「災害時にITがここまで用いられたケースは例がないんじゃないか。もちろん(同社の取り組みで)全てがうまく行ったとは思っていない。実際にサービスを使った方々、パートナーなど第三者の目で記録し、提言し、共有していく」と、同社の徳生健太郎製品開発本部長は意気込む。
災害対応の1年を振り返ると「ほとんどのものはユーザーやパートナーの情報があってこそ成立したもの」と、徳生さん。「状況に反応しながらチームで即断即決し、やってきた。それなりのチャレンジが存在していたのも事実」と明かし、今後の課題としては“オフライン”の人々にどのように情報を届けるか――だと語った。
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