コーヒー1杯から始まる出会い ソーシャルでつながるサービス「コーヒーミーティング」:リアルイベントにも力入れまくり(2/2 ページ)
WebサービスはWebの中で完結するのが一般的。しかしWebにとどまらず、リアルのイベントにアツい情熱を注いでいるWebサービスがある。ソーシャルメディアを通して人と出会う「コーヒーミーティング」というサービスだ。
ランチ以外の時間にも出会えるサービスを
ソーシャルメディアは今何をしているか、どこにいるかなど、お互いにオープンにした情報を共有しやすい仕組み。しかし「空き時間」だけは、まだオープンにされていないのではないか――ある日山本さんはそのことに気付き、それがコーヒーミーティングが生まれるきっかけになった。実際に同サービスを作ろうと思い付いたのは、ソーシャルランチなど誰かと一緒にランチをするという、“出会いを提供するサービス”を見ていたとき。
「ランチ以外の時間であっても、気軽に出会えるサービスがあるといいのでは」と思い立ち、2011年11月ごろから開発をスタートした。当時山本さんは会社員。仕事とサービス開発との二足のわらじを履くのは、さぞかし大変だったろう。「『どんな日でも1日1行でもいいからコーディングする』というルールを厳守するようにしました」と山本さん。毎日少しでもいいから積み重ねることで進んでいけるのだとか。
山本さんには小さなお子さんがいる。そのため休日よりも、平日の夜を開発に当てることが多かった。大好きなTBSラジオを聴きながら、夜中に3時間ほど集中して作業し、眠りにつく。それでも5~6時間は眠っていたというから意外と健康的だ。またコワーキングスペースに入居し、そこで作業することも多かった。会社の同僚やコワーキングスペースに入居している人たちに開発途中のサービスを見せて、常にフィードバックをもらうようにしていたという。
そうしてリリース前から多くの人に見守られてブラッシュアップされてきたコーヒーミーティングは、今年2月14日の公開後も変わらず愛されている。2回以上ミーティングする人は61%以上と、リピーターが非常に多いのが特徴だ。リリースから4カ月半で会員は1万4000人を超えた。全体の4割を占めるのが25~34歳、次に35~44歳、そして24歳以下と並ぶ。女性比率は会員全体だと25%ほどだが、アクティブユーザーに限ると4割ほどが女性だという。
「最もイベントが面白いWebサービス」と呼ばれたい
愛される理由はほかにもある。それは根っからの“企画大好き人間”である山本さんが、本気でつくるリアルでのコーヒーミーティングイベントが定期的に開催されるからだろう。「『1番面白いイベントをするWebサービスだよね』と言われるようになりたいんです」と熱く語る山本さん。これまでにミクシィ本社や渋谷のカフェ、コワーキングスペースなどでイベントを開催してきた。
どれも200人以上が集まる大規模なイベントだ。登録はしているものの、実際にまだコーヒーミーティングをしたことのない人もやって来る。そこでコーヒーミーティングにどんな人がいるのか、どんな雰囲気かなどを体感することができ、サービスの利用促進へとつながっていく。実際にイベントでは「みんなでコーヒーミーティング」という、1対1でなくて数人が一緒になって、ミーティングを行うコーナーが設けられる。未体験の人にとっては「こ、これがコーヒーミーティングか!」となるわけだ。
これまでは都内でのイベントのみだったが、7月15日には京都でイベントを開く。意外と京都にはユーザーが多いという。その他、名古屋、仙台、札幌など、同じくユーザーが多めな地域でもイベントを展開していきたい考えだ。「Web上だけで終わるのはつまらないなと。サービスをイベントで補完したいんです。リアルイベントで盛り上がることで、サービスも楽しんで使ってもらえるようになるのが理想」と山本さん。
会社員という本業を持ちながらコーヒーミーティングを運営してきた山本さんだが、6月末にドリコム本社で開いた最新イベントで「会社を辞めました」と発表、参加者を驚かせた。独立してコーヒーミーティングに集中することに決め、「株式会社レレレ」という覚えやすい名前の会社を立ち上げた。4月ごろにベンチャーキャピタルから出資を受けることが決まってから、独立を検討し始めていたという。会社とコーヒーミーティング、どちらも中途半端にしたくないという想いもあった。
今後は8月までにスマートフォン対応、マネタイズの検討やヒアリング、各地でのイベントを行い、9月からはさまざまな実験を始めていくことを目指す。「まだまだコーヒーミーティングは知られていないWebサービス。もっと一般に浸透させて、普通の人が知っているサービスにしていきたい」と強い言葉で締めくくった。山本さんのキラキラした瞳に決意の色が宿っていた。
関連記事
「Web制作の現場で起きているのは、クリエイターのたたき売り」 元フリーランスの開発部長が描く「Webの仕事探し」の理想形
ソーシャルゲームの躍進、スマートフォンアプリの普及で、Webクリエイターは花形職種のように見られている。しかしWeb制作の現場では「仕事がない」という厳しい現実が。その現実に立ち向かうべく、元フリーランスの開発部長が新サービス「スキルプル」を立ち上げた。「schoo」は知的娯楽に飢えた社会人を救うか!? Webに生まれた学校の新しいカタチ
「schoo」はWeb上の学校。答えのない1つのテーマで授業を開き、ライブ配信している。生まれたきっかけは「日本の社会人が皆学生だったら面白いのに」という思いつきだ。いいね!の気持ちをコーヒー1杯に託そう KDDIも注目する「giftee」、ソーシャルギフトの挑戦
Facebookで知り合いの交際ステータスが婚約中に変わったら「おめでとう」とケーキをプレゼント――SNSでプチギフトを贈れるサービス「giftee」を使うと、こんなことができる。「インターネットには、ほんとに小さな感謝やお祝いの気持ちを送るタイミングがたくさんある」と開発者は狙いを語る。クリエイターにチップを贈れる「Grow!」で米国へ Twitter仲間と起業したバンドマン
「Grow!」はクリエイターにチップを贈れるプラットフォーム。「なぜいいコンテンツを作っても、無名の人はもうけられないんだろう」と悩めるバンドマンが一念発起して起業し、開発した。7月には本社機能を米国に移転する。サイバーエージェント子会社社長は新卒内定者 iPhoneアプリ「My365」開発チームの劇的な365日
起業にはさまざまなドラマがある。サイバーエージェントは、新会社の社長に4月入社予定だった内定者の飯塚勇太さんを抜てきした。就職活動からiPhoneアプリ「My365」ヒット、社長になるまでの道のりを聞いた。「フジロック史上最高に売れなかったトラウマあり」 元バンドマン社長が作るファッションサイト「iQON」
ソーシャルファッションサイト「iQON」を運営するVASILYの金山社長は、フジロックフェスティバルに出演したこともある元バンドマン。そんな音楽の道を捨て、ネットベンチャーを起業した経緯とは。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.