流行は回帰する……ブログが再び面白い理由
最近のブログはより「自分の日記」という意味合いが強い半面、他ユーザーとのコミュニケーションはそれこそTwitterやFacebookといったSNSで行うといった住み分けができているということではないだろうか。
「最近またブログが面白くなってきてさー」
こうつぶやくのは、独女の礼子さん(35歳・会社員)。礼子さんがブログで日記を綴っていたのは8年前。ハンドルネームで自身の恋愛や仕事の愚痴、時には下ネタなどリアルな友人には言えないような本音をぶちまけていた。
しかしその後、mixiの流行により礼子さんの日記はそちらへ移行。そしてさらに近年はTwitterにハマり、mixiはおざなり状態だったというのだ。
「Twitterが面白くなったのもあるけど、周りも全然mixiにアクセスしていないっていうのも原因。でも最近、なんかすごく長文が書きたい! という欲求が出てきた」
たしかにTwitterの一度の投稿は140文字。もちろん何度も投稿できるが、長文を綴りたい人にとってみれば、わずらわしいのも事実だろう。そこで礼子さんが再び始めたのは、mixiではなく以前利用していたブログ。リアルな友人には一切知らせない場所として開設したのだという。もちろん、話を聞いている筆者にもブログ名などは一切教えてくれなかった。
「今までmixiもTwitterも、公開しているのは基本的にリアルな知り合い。そういう人に向けての内輪的楽しさももちろんあるけど、その反面変なことは書けない面倒くささもある。その点リアルな友人に公開していないブログだと、もうなんでもアリだから。今は特にブログなんて芸能人のアメブロくらいしか注目されていないし、絶対に見つかりっこないから安心」
確かに現在のブログで盛況なのは、芸能人ブログと2ちゃんねるの面白いネタをまとめたブログなど。一般人のリアルな日記は、ほとんど人気ランキングに入って来ないのが現状だ。そこから名前も違うハンドルネームのブログを特定するのは、かなり難しいだろう。つまり、リアルバレをせずに言いたいことがかけるチャンスでもあるのだ。
ちなみに「リサーチバンク」が行った「ブログに関する調査」内の「ブログを書く目的」の調査によると、2008年で1番多かったのは「自分の日記、備忘録として」で54.7%。2010年の調査でも1番多いのは「自分の日記、備忘録として」なのだが、その割合は63.5%とかなり増えている。しかし「ネット上でのコミュニケーションのため」という人は2008年が25.3%なのに対し、2010年では19.0%とこちらは減っている。
この数字が意味するのは、最近のブログはより「自分の日記」という意味合いが強い半面、他ユーザーとのコミュニケーションはそれこそTwitterやFacebookといったSNSで行うといった住み分けができているということではないだろうか?
また「ブログ不振の今だからこそ、ちょっと巡ってみるととんでもない上玉ブログが発見できたりする面白さがあります」と語るのは、IT系編集者のAさん。
「例えば最近“まんしゅうきつこ”さんという漫画家のブログが大人気を博しているのですが、彼女は単行本も連載もなく、ブログの面白さだけで知名度を上げている人物です。彼女のブログはイラストと文章で構成されているんですけど、そういう表現ができるのはブログならではだと思います」
確かにイラストや写真など、さまざまな表現方法で構成できるのはブログならではだろう。TwitterやFacebookといった自己表現の場が多様化している分、流行に流されず好きに自己表現をしたいという、ある意味“濃い”人がブログで活動しているのかもしれない。
かなり昔に更新をやめ、ブログを放置している人はたくさんいると想像する。そういう人は今一度またブログと向き合ってみてはいかがだろうか? 今だからこそ感じる面白さが発見できるかもしれない(橋口まどか)
(参考リンク)
記事提供元:独女通信
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