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萌え4コマ総本山「まんがタイムきららキャラット」発 異端児「平成生まれ」は不死鳥のごとく……!虚構新聞・社主UKのウソだと思って読んでみろ! 第10回

萌えないことで定評ある(?)マンガ「平成生まれ」。萌え4コマの総本山「まんがタイムきららキャラット」にとっての“塩コショウ”のような作品です。

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 ねとらぼ読者のみなさん、こんにちは。朝h……じゃなかった、虚構新聞の社主UKです。

 すでにご存じの読者も多いかと思いますが、本連載第2回で紹介した宮原るり先生の「僕らはみんな河合荘」(1巻~4巻、以下続刊/少年画報社)のアニメ化が決まりました。

読者 「さすが社主! 先見の明がある!」

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UK 「ハハハ、そうだろう。もっとほめてくれていいよ」

深津絵里 「すごい社主、結婚して!

UK 「ハハハ、絵里は気が早いなあ……」

 ……などという気持ちはまったくなく、先にアニメ化された「恋愛ラボ」を評価する声が高まった段階で、すでに「『河合荘』のほうが面白い」というコメントが多く挙がっていたことも把握していたので、「河合荘」のアニメ化は「なるべくしてなった」というのが正直な気持ちです。とは言え、今回のアニメ化が大変おめでたいことに変わりはないので、「河合荘」の1ファンとして、宮原先生が住んでおられる岐阜県に向け、隣県であるこの滋賀の地から応援メッセージを思念波に乗せて送っておきました。

萌え4コマの総本山「まんがタイムきららキャラット」


平成生まれ

 さて、今回取り上げる作品は萌え4コマの総本山「まんがタイムきららキャラット」(芳文社)にて連載されたハトポポコ先生の「平成生まれ」(全2巻)です。このマンガ、一応は「『あずまんが大王』のような女子高生たちの会話劇」と定義できるのですが、そう紹介してしまうと、あとであずまんがファンから「このうそつき!」と、石を投げられそうな作品でもあります。

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 5人の女子高生による日常系4コマ「けいおん!」の爆発的ヒット以降、「ひだまりスケッチ」「Aチャンネル」「GA」「キルミーベイベー」、直近では「きんいろモザイク」など、今や「きらら枠」という名がつくほどアニメ化が定着した萌え4コマ誌「きらら」系の中で、この「平成生まれ」は、その連載開始当初から明らかに異端児として独特の色彩を放っていました。

 きらら枠からデビューする女の子キャラは、主人公から脇役、時にはモブに至るまで、人気の差はあれど、だいたい「○○は俺の嫁」という宣言がネット上に現れます。「1クールごとに嫁をとっかえひっかえして、お前たちはいったい何重婚するつもりだ」という気持ちを抑えつつ、あらためて「平成生まれ」に話を戻すと、本作に登場する女子高生6人の中に「俺の嫁」はいません。だって、かわいい/かわいくない以前に全員がくせ者すぎるのだもの。

 そういう事情もあり、この「平成生まれ」は読み手を選ぶ4コマという印象が強く、いわゆるキャラ萌えを期待すると、作品世界にハマれない可能性もあります。あしからず。

「まんがタイムきらら」と「まんがタイムきららキャラット」。ほかにも「まんがタイムきららMAX」「まんがタイムきららフォワード」など姉妹誌がある

モブキャラのほうが萌える……だと……

 萌えないことで定評ある「平成生まれ」の特徴は、「イライラモヤモヤする会話のやり取り」と「突拍子もない発想と展開」。登場人物のセリフがオール関西弁(厳密には大阪弁)なのも特徴に入るかもしれません。

 登場人物は、佐藤、四村、原田、中川、藤井、吉村の女子高生6人。まずはこのどうにもやっかいな6人をそれぞれ紹介します。

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  • 「調子に乗る」佐藤

 「平成生まれ」に漂うイライラ感の9割をたった1人で叩きだす才能の持ち主。性格も口も悪く、当初は四村を、そして後には中川もおちょくりだす。しかも行動はふざけているのに、そこそこ成績が良いというやっかい加減。掲載誌に似つかわしくない、下唇を苦々しく噛む表情も印象的。ただし、発想が斜め上を行く天才・原田の相手だけはやや苦手なもよう。

  • 「ブラコン」四村

 佐藤の相方的存在。普段は佐藤に対して無慈悲でクールなツッコミを入れるものの、佐藤から「お兄ちゃん大好き!」など、弱点のブラコンを冷やかされると、途端に「ちゃうわ!」「だわー!!」などと叫んで動揺してしまうメンタルの弱さが今後の課題。学校では佐藤のことを友達と思っていないような態度を取っているのに、休日には一緒に映画を見に行ったりするあたり、その面倒見の良さが仇(あだ)となっている可能性が大いにあり。

  • 「何か謎の人」原田

 テストでほとんど満点を取れるほどの天才であるにもかかわらず、いやそれゆえに、奇行が目立つ謎の人。「意識的に体温をどんどん下げていく」「見ただけで相手の血圧がわかる」「真昼間から空を眺めて星の数を数える(ちなみに4650個)」など、突拍子もない行動が多い(ところで第1巻52ページ、原田が1コマ目で「はでゅ」としゃべる、タイトル「思い出し笑い」だけは、何度読んでも意味が理解できません。誰か教えてください!)。

  • 「カワイイ」中川

 背が低く、クラスメイトや担任からもかわいがられる幼さの残る女子。原田のことが大好きで、その奇行に戸惑うところがあるものの、基本的に純粋な性格。だがその純粋さゆえ、完全に佐藤のおもちゃと化しており、最近はその影響か、若干振る舞いから純粋さが抜け始めている。

  • 「うつくしバカ」藤井

 登場コマがいつもキラキラ輝いていて、読者モデルになるほどの美貌の持ち主ながら、残念なことにとんでもないバカ。写真撮影の際、クラスメイトから「3たす4ひく5はー?」と聞かれて「いち」の顔写真を撮られるなど、残念なエピソード多数。何の突拍子もなく「セミを食べてみたい」と言い出したりもする。

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  • 「無邪気バカ」吉村

 藤井の相方的存在。佐藤と四村がボケとツッコミで成立しているのに対し、藤井と吉村は両方ともボケるので収拾がつかない。外で踊っているような動きを取っているところをクラスメイトに尋ねられた吉村が「アリを踏み潰している」と説明したところ、あとからやってきた藤井が行為をやめさせるのかと思いきや、「これで一気に行きましょう」と、ペットボトルの水を差しだすので、ある意味では大変調和のとれたコンビになっている。

 どうですか、萌えますか。萌えないでしょう。社主も萌えません。というか、ハトポポコ先生、わざとやっていると推察しているのですが、このマンガ、どう見てもモブの女の子の方がかわいいのです。たまに出てくる名も無きクラスメイトの方が目がキラキラしていて普通の女子高生をしている。モブ“も”かわいいマンガは数多く読んできましたが、モブ“が”かわいいマンガなんてまさに前代未聞です。

 当然のことではありますが、こんな一癖二癖ある6人が繰り広げる、非日常系非萌え4コマの世界がシュールにならないはずがありません。原田がいきなり佐藤に手刀を浴びせて気絶させたり、中川とあだ名で呼び合う仲になりたいと言い出した佐藤が自分を「サトポン」と呼ばせる一方、中川を「えろちび」と名付けていじめたりなどなど、いい意味で自由奔放。社主も「きらら」系列の4コマはいろいろ読んできましたが、ここまで和めない作品は他に知りません。どうしてこうなった。

突然の終了、そして……

 そんなことを言いつつも「今月も佐藤はひどい奴だな……」などと、気がつけば結局毎月欠かさず読んでしまっているという、謎の中毒性を持った「平成生まれ」ですが、残念ながら2012年12月号で連載が終了。「まあ、萌え4コマとしては異色すぎたからなあ……」と自分に言い聞かせながらも、折に触れて佐藤の性格の悪さ、四村のブラコン、原田の奇行など、もう見ることのできない在りし日の彼女たちを思い出しては、ほろりと涙が頬をつたう毎日を送っていました(後半虚構)。

 そんなある日、いつものように「きららキャラット」を手に取ってみたら、次号予告に「平成生まれ2」として復活との情報が。まさにスクラップ・アンド・ビルドを彷彿とさせますが、実際に再連載を求める読者の声が多かったのでしょう。もちろん社主もその1人でした。

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 というわけで、2013年10月号から「平成生まれ2」として連載を再開、現在も連載中です。なお「2」では、これまでの6人に加え、ブラジリアンのマルシアと、なぜかいつも震えている森口という2人の、やっぱり1ミリたりとも萌えやしない新メンバーが加入。さらなる会話劇の化学反応を期待したいところです。

 塩を振ることでスイカの甘みが引き立つように、「平成生まれ2」には、甘くてやさしい「きららキャラット」連載作品における塩コショウとして、これからも読者にこびることなく、イライラモヤモヤする4コマを作り続けてほしいと願いつつ、今日はこれにて筆を置きます。

 今回も最後までお読みくださりありがとうございました。

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