「辞書アプリでのフリーミアムモデルは、戦略的に間違い」 大辞泉アプリ、新バージョンから有料に
ソシャゲ風の課金要素を取り入れた辞書アプリが、課金率の低さから、有料化することに。
iOS向け辞書アプリ「大辞泉」が、4月7日にリリースされたバージョン2.0から有料(2000円)になった。昨年5月に公開されたバージョンでは本体無料とし、ソーシャルゲーム風の課金要素を取り入れていたが、「成果を収益に結びつけることができず、事業の継続が困難になった」ため、有料化したという。
開発元のエイチエムディティは、今回の方針転換に絡んで、そもそも無料版をリリースした背景や実際のダウンロード数、課金率などをブログで詳細に報告している。それによると、同社はユーティリティアプリの開発をメインとしており、昨今のアプリ市場が拡大する一方で、有料アプリのダウンロード数が減少している状況に危機感を抱いていたという。
こうした状況を打開するため、「辞書のようなユーティリティアプリでもフリーミアムモデル(無料配布して後で課金)を導入するべきではないか」と考え、前バージョンをリリースした。
その結果、ダウンロード数は11カ月弱で約15万件、直近7日間のユニークユーザー数も5000人と、「辞書アプリとしては、充分に大きい」数字を獲得したが、最も重要と位置づけていた課金率は0.5%にとどまった。
同社はこの数字について、「かなり低い。採算とれるかどうかのラインは5%程度なので、まったく届いていない」「ここまで低いと、宣伝がうまいくいかなかったとか、製品のできがどうとかの前に、戦略が間違っていたとしか言いようがない」と総括している。
そして、「このまま無料を続けても課金率が上がる見通しはなく、赤字がふくれあがる一方」と結論付け、有料化を決断。「リリース前にいろいろとシナリオを予想していましたが、悪い方で決着しました。ただ、挑戦したこと自体は、間違っていたとは思っていません」「また新たな策を探しにいきます」としている。
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