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「頑張ればいつか認めてくれる」とは違う文化で生きるということ

カルチャーがもたらした性格の変化。

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 シアトルのマイクロソフト本社で働く横川尚美氏。彼女は現在、MicrosoftのSkype部門でSenior Program Managerとして働き、米マイクロソフトに入って今年で10年になる。

 横川氏は米マイクロソフトに務める前、ソニーで働いていた。その文化の違いが、彼女の性格をガラリと変えたという。今回、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 古川享氏をインタビュアーに、横川氏に話を聞くことができたのでリポートする。


(左)古川享氏、(右)横川尚美氏

ソニーは「家族」、米マイクロソフトは「個人主義」

 ソニーに3年務めた横川氏が米マイクロソフトに入社して一番驚いたのは、個人主義ということだった。ソニーは家族のような会社で、もし自分が間違えをしてしまったら上司が責任を取ってくれた。しかし、米マイクロソフトは違った。自分でやったものは、自分に返ってくる。

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 入社した瞬間、「はい、これがあなたのコンピュータです。そしてこれがあなたのリソースです」と渡される。そこから与えられたリソースをどう使うかは自由。もちろん上司のサポートもある。しかし、横川氏はこれに慣れるのに1年かかったという。

 特にネックになったのは、コミュニケーションの取り方。日本では、皆の意見を聞いてから自分の意見を言うというスタイルのコミュニケーションをする。一方、アメリカでは話の途中でも立ち上がって手を上げ、ポンポンとしゃべり出す。

古川氏 日本では、黙っていても結果出せば見ていてくれる。しかしアメリカでは、できるできないにかかわらず「私はこれができます! 私に任せてください!」と言い、生焼けにしか出来上がっていなくても「ほら! これやったでしょ!」とアピールをする人が多い。競争(議論)に勝つことを中心にして生まれてきたカルチャーの中では、こういうことが必要になる。こっそり良い仕事をしても、良い評価にはなかなかつながらないよね。

横川氏 始めの2年くらいはずっと「頑張ればいつか認めてくれる」と思っていました。その考え方がころっと変わったのが、3年目くらいだったように思います。カルチャーに付いていくために、自分を調整する必要がありました。

古川氏 それって自分の仕事のスタイルだけじゃなくて、性格自体が変わったとか?

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横川氏 2004年に入社したころにはインサイトトレーニングというものがあって、私の一番強いインサイトカラーは黄色でした。黄色というのは、何でもすぐに飛びついて頑張るというカラー。次が緑で、調和を求めるカラー。最後に赤(アグレッシブで自分の意見を強く言うタイプ)、青(データ・分析力)だったんです。しかし、一昨年に同じことをやったら全く逆になっていて、赤→青→黄色→緑の順でした。おもしろいですね。

横川氏 弊社では競争する文化が強く、助け合う文化があまりないように思います。しかし評価システムを始めとして、今いろいろなことが変わろうとしています。米マイクロソフトは上司の影響がすごく大きくて、自分のことを信じてくれるボスの下ではものすごいサポートもくれるし、やりがいもあります。いろんなプロダクトがあって、いろんな人がいて、この会社でないとできないことがたくさんあります。全世界から集まっていて、ここでしか出会えない人がいるんです。

古川氏 自分のキャリアプランとしては、どの領域で自信がある?

横川氏 もともとソニーで働いていたせいか、ソフトウェアとハードウェアと両方たずさわる仕事で得た経験が自分の中で生かされていると思います。ソフトウェアだけに携わる仕事だと、充実感が少し足りないような気がします。実は過去にそういったことがあって、自分の心の中で「楽しくない」「合わない」と思ったので、自分で別の仕事を探して異動しました。米マイクロソフトが「個人主義」というのもありますが、自分がここで働きたくて働いているし、やっぱり自分の人生だから自分がやりたいことをやるのがいいと思います。

古川氏 天を見て仕事をする人と、上を見て仕事する人がいるよね。上を見て仕事をする人はいつもボスの目を伺い、自分の昇進だとか金銭的なもの以外のためには動かない。だけど、天を仰いで仕事をしている人というのは会社のブランドだとか会社の利益ではなく、お客さんのためになるかどうかとかを真っ先に考える。そういう人は、やっぱりいい仕事をするよね。

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