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見ためも味もワラビじゃないのに、なぜ 「わらび餅」?

原料は「わらび粉」!

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 わらび餅っておいしいですよね。モチモチ、プルプルの食感と、ほどよい甘さ。見ためが涼しげなので、夏の和菓子としても重宝します。でも、あのお餅、色も形もワラビっぽくないし、ワラビの味がするわけでもないのに、どうして「わらび餅」という名前なのでしょう。


きな粉や黒蜜をかけて食べるといっそうおいしいわらび餅

わらび餅の原料は「わらび粉」。精製するのに手間がかかる貴重品

 わらび餅の原料は「わらび粉」です。わらび粉は、今が旬のあの山菜、ワラビの根から採れるデンプンです。この粉を使った菓子なので、「わらび餅」という名前がつけらました。

 わらび粉の作り方はまず、ワラビの根(地下茎)を掘り起こし、叩いて、ほぐして、洗って、デンプンを取り出します。そして、これを乾燥させると、わらび粉になります。

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 この精製法は葛粉を作る過程と同じですが、わらび粉は葛粉に比べて非常に手間がかかります。すべて手作業でわらび粉を作る場合、10kgのワラビの根から取れるわらび粉は、わずか70g。根を掘り起こす作業は冬の寒い時期に行われ、しかも、寒さが厳しいときに、冷水で何度も洗わなければなりません。100%のわらび粉になるまでには、実に半月ほどもかかります。

 現在、よく目にするわらび餅は、サツマイモやタピオカから取れたデンプンや、くず粉を利用しているものがほとんどで、「わらび粉100%のわらび餅」には、なかなかお目にかかることができません。

わらび粉100%のわらび餅はねずみ色。その歴史はとても古い


わらび粉100%のわらび餅は黒っぽい

 わらび粉100%で作ったわらび餅の色は、よく見かけるわらび餅のように、白っぽいものではありません。強いていえば、黒いコンニャクのような色あいで、ねずみ色です。けっして、“涼しげな夏の和菓子”という感じではありません。

 平安時代の醍醐天皇(885-930)がわらび餅の大ファンであったという説もあり、わらび餅の歴史はかなり古いと思われます。しかし、江戸時代にはすでに、くず粉などを利用したわらび餅が売られており、今、名物とされているわらび餅も、ほとんどが、100%わらび粉のわらび餅ではありません。

わらび粉は100gで1500円 !! 手作りも可能

 本物のわらび粉でわらび餅を手作りすることもできます。

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 わらび粉は通販で手に入れることができますが、国産の100%わらび粉は、100gで1500円もします!! とても高価な食材です。

 材料は、100%わらび粉100g、水400cc、上白糖200g(甘さはお好みで調節してください)。

 作り方は、いたってシンプル。

  1. 100%わらび粉を水で溶かし、上白糖を加えてよく混ぜます。
  2. 鍋に移し、中火にかけて、よく練ります。
  3. 生地に粘りがでてきたら弱火にして、ツヤが出るまでよく練ります(粘り気が強いので、けっこう力仕事です)。5分くらい練り続けます。
  4. 型に流して冷やします。
  5. 適当な大きさに切り分けます。きな粉や黒蜜をかけていただきます。

ワラビの旬は春から初夏。 “山菜” だけど、最近は栽培ものも多い


ワラビは全国で採れる山菜

 ワラビは全国で採れる山菜なので、旬の時期は南の地方と北の地方では大きく異なります。九州では3月中旬から、ついで、関東では4月中旬、東北では6月初旬に旬を迎えます。全国各地に自生しているので、身近な山で気軽に採ることができます。

 “山菜” と呼ばれるワラビですが、現在は栽培されているものも出回っていて、山形県や秋田県などで多く生産されています。山の自然の味がするはずの“山菜”が栽培されていたとは…、と思うと、なんだか複雑な気持ちになりますね。しかし、この季節、地元の直販コーナーや道の駅などでは、自生したものを採取して販売しているところも多くあります。

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 モチモチ・プルプルのわらび餅は、これからの季節にピッタリの和菓子です。わらび粉を使っていない白いタイプのわらび餅も、それはそれでおいしいですし、貴重な100%わらび粉でできた黒っぽいわらび餅も、とてもおいしいです。これからわらび餅をいただく機会があったら、その原料について、少し思いを寄せて味わってみてください。

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