頭上からいろんなモノが落ちてくる恐怖! 手作り感満載のお化け屋敷居酒屋「赤羽霊園」へ行ってきた
「お化け屋敷居酒屋 赤羽霊園」は、高校の文化祭のお化け屋敷を思わせる手作り感あふれるお店。シンプルで原始的な仕掛けにビックリさせられる。
漫画家の清野とおる先生が東京・赤羽で出会ったユニークな人物を描いた漫画「ウヒョッ!東京都北区赤羽」(双葉社)が人気だ。同作をモチーフとしたドキュメンタリードラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」が放送されたこともあり、今、空前の赤羽ブームが来ている。
赤羽には一風変わった居酒屋が多い。今回は「お化け屋敷居酒屋 赤羽霊園」を訪れてみた。もう、外観からして怪しい臭いがプンプンする。高校の文化祭のお化け屋敷のような手作り感があふれている。看板には「天空より生首落下、君は耐えられるか!」「座敷牢完備・妖怪料理有り!」の文字が。どこから突っ込んでいいのか分からないし、妖怪料理とはどんな料理だろうか……。
再び夜に訪れ、撮影した写真がこちら。暗闇に浮かび上がるジェイソンのお面や着物を着た幽霊が、昼よりも怪しさを醸し出している。
怖いのが苦手な筆者。1人で行くと夜眠れなくなりそうなので、ライター仲間と行くことにした。小さめの扉を開けていざ入店。マスターの高橋さん(「高」は本来ははしごだか)が出迎えてくれた。
店内は赤く薄暗い照明で不気味だ。壁にはびっしりと、400個以上のしゃれこうべが取り付けられている。なんとこのしゃれこうべ、型に新聞紙を溶かしたものを入れ、マスターが1つ1つ手作業で作ったもの。1つのしゃれこうべが完成するまで1週間かかるという。なんという気の遠くなる作業!
壁や天井にはガイコツや髪の毛、クモなどがぶら下がっている。これらが、後にとんでもない恐怖体験を仕掛けてくるとは、このときは知る由もなかった。
席に着いたらさっそくメニューの注文を。ドリンクは飲み放題メニューのみ。男性2500円、女性2000円で、なんともリーズナブルな価格。おまけにカラオケの値段まで入っているので歌い放題でもある。
1杯目はレモンサワーを注文。乾き物は仏具に盛られて出てきた。
フードは、何やら怪しいメニュー名がずらり。メニューは卒塔婆に書かれている。下の段の右から3番目のメニューが非常に気になる。「ポコ○ンが一番人気のメニューだよ」と、マスター。これは頼むしかない。
出てきた「ポコ○ン」は……まんまだ、もう、そのまんまだ。気になっている女性を連れてきて、うっかりこのメニューを頼むと、早々と恋が散ってしまいそう。
料理に舌鼓を打っていたところ、突然何かが頭上に降ってきて、思わず「キャーッ!」と悲鳴を上げてしまった。そう、頭上にぶら下がっている髪の毛が落ちてきたのだった。実は、厨房には何十本ものひもがぶら下がっており、そのひもが客席の頭上にある仕掛けにつながっている。マスターがひもを引っ張ると仕掛けが落ちてくるという、なんともシンプルで原始的な仕組みになっている。固い素材のものが落ちてくる仕掛けは頭上で止まり、ケガをする心配はないのでご安心を。筆者の悲鳴を聞いたマスターは「いい声出すねぇ~」とニヤリ。マスター、人が悪いですよ……?
午後8時頃、団体のお客さんが入店。この日は送別会だというが、なぜ、送別会にこの店を選んだのが若干疑問だ。この団体客も席について一息ついた頃、壁の絵が落ちてきてパニックに。客が仕掛けに驚いて悲鳴を上げるたび、うれしそうにニヤニヤと笑うマスター。仕掛けは忘れた頃や、話に夢中になって油断しているときに落ちてくる。
マスターの高橋さんがこの店を開いて、もう24年になる。その前は、この場所でテレクラを営業していたという高橋さん。条例が変わって営業ができなくなり、店をどうしようか悩んでいたある日、後楽園遊園地のお化け屋敷を訪れて「赤羽にこういうお化け屋敷のような飲み屋があるといいな」とひらめいたそうだ。そこで、テレクラを自らの手で改装し、仕掛けを手作りして、この内装に仕上げた。1つの仕掛けを作るのに、約2時間かかる。
しかし、この店に通い詰めると、慣れて驚かなくなってしまうのではないだろうか。この問いには「たまに模様替えするのよ。今は冬バージョンだけど、夏は夏らしく模様替えするの」と答えてくれた。
カラオケ居酒屋でもあるので、カウンターに座っている男性が歌い始めた。筆者もタンバリンで盛り上げてみることにした。気持ち良く歌っている最中でも、容赦なく頭上から落下してくる。
飲んで歌って驚けるお化け屋敷居酒屋と、ちょっぴりSっ気のあるマスターは赤羽にとても似合う。今、赤羽ブームだが、それはおそらく一過性のものに過ぎないだろう。しかし、マスターはブームであろうとなかろうと、これからも客を驚かせ、そして楽しませてくれるはずだ。
店鋪情報
住所:東京都北区赤羽1-35-8
営業時間:午後7時~午前2時
定休日:日曜日
(姫野ケイ)
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