現在、宮城県牡鹿郡女川町で女川ポスター展が開かれているのですが、その内容がノリノリだと話題になっています。
女川町の42店舗が参加。合計200枚以上作成されました。デザイナー・コピーライターなど製作者は60人くらいで、9割が仙台在住。お店の様子を取材し製作、写真に写っているのは店主や関係者です。
この女川丼、ものっすごい大盛り。ハーフでも吉野家の並はあるくらいです。以前ももいろクローバーZが来た時に食べきることが出来ず、こんなエピソードも。
おいしく楽しく、盛り上がりまくりの飲食店
女川町は、東日本大震災の際に町の8割が津波で流されました。今回の企画は「今できることプロジェクト」の一環。「女川ポスター総選挙」と題した投票企画も行われていますが、これ以外にも町中に多彩なポスターが貼られており、活気があふれています。
港町で、飲食店が多い女川町。数多くのオリジナルメニューが観光のウリです。特に、でかい! 新鮮! うまい! がモットーなお店が多いです。漁港も元気に動いています。今回のイベント発起人は関西人で「女川に来る度に……太るんですよね」(女川さいがいFMより)と語っていました。
明るいんでねくて、あがるぐしてんのさ
発起人の電通・日下慶太はこう語ります。
「元々大阪でやってたんですよ。新世界というシャッター商店街で、なんかおもろいことできたらなと。それが意外と評判になって、2回目また大阪市阿倍野区の下町でやったら、今度は世界中のFacebookなどでも翻訳されて評判になって。それを知った河北新報社の人が、被災地の女川でやりたいと。店主さんたちや店の取材した写真を見て(デザイナーが)イメージしてつくりました。(店主さんの中には)笑う人もいれば、目が潤む人もいて。ポスターをお店に渡す空間は、みんなで共有できました。お店同士で『おまえんとこどんなの』『お前の面白いな』とか話し合っていて。いいですよね」(女川さいがいFMより)
「居酒屋ようこ」の店主さんは、自分のポスターに対して「写真ってよりは女優になったみたいですね」(女川さいがいFMより)と語ります。自分がポスターになる経験ってほとんどないですよね。
ほとんどの人が家やお店を失った状態の中で、プレハブをお店に改装したり、高校の校庭を潰して作られた木造の仮設商店街で営業しています。
「最初は震災の印象が強くて、来たら更地になって何もなくて。色がなかった。でも人に会うと、みんな結構元気で、立ち直ってるんだなと思ったんです。震災の後に『面白いポスター』とか不謹慎じゃないのかなと思ったんですよ。でもみんな『面白いほうがいいよ!』とカラッとしていて、陽気な感じ」(電通・日下慶太/女川さいがいFMより)
女川の人達はみなイベント企画にノリノリでした。
「とは言えみなさん、実はやっぱり心の底からは元気になってない。この先不安を抱えているのがわかった。さらに最近分かってきたのは『でもやるんだ』ってなってきていること。だからポスターがそのきっかけになればいいなと思うし、ようやく上を向き始めたみなさんの背中を押せるポスター、加速できるポスターになればいいなって思っています」(電通・日下慶太/女川さいがいFMより)
とにかく笑ってほしい
裸でおどけている男性、女川町で唯一のスーパーだった「おんまえや」の現社長。30歳前後です。身体を張ってます。
彼は店を流されただけでなく、元社長だった親や家族すべて亡くし、従姉妹の中学生と自分だけ生き残りました。
しかし店は「従業員がいるから」と続け、仕入れの車を使って巡回販売を再開。そこから店を再建させようと頑張っている最中とのこと。だから、「とにかく笑ってほしい」。
ご当地ヒーロー、イーガーとワルワル団
この特撮チックなキャラクター、女川町商店街の有志が震災前から作っていたローカルヒーローの「リアスの戦士イーガー」と、その悪役「クララーゲとワルワル団」。実は敵幹部のクララーゲの中の人は、この海産物加工品店、兼宮商店の店主だったということで、今回ネタ化されました。
「明るく、バカになろうぜ」という町の人がもっていた元気の良さ。元々からあったこの空気が、今回のイベントを作り上げた根底にあります。
壊れたのも含めて、うちだから
ダイシンCafe SAKURAさんは、お店を失ってプレハブで再営業中の喫茶店。
店主「(撮影は)すんごい楽しかったです! もう大笑いしながら撮りました。なんせマダムって設定だったので、私もマダム? みたいな感じで(笑)。笑い転げながらの撮影会でしたね。女川マダム」(女川さいがいFMより)
とても喜んでいらっしゃいます。そこにはひとつ大きな理由がありました。
「うちのポスターの下に、漢字みたいな変なものがふたつ載ってるの。これ被災後にうちで使っていた看板なんですよ。『大』の字はそのままなんだけど、しんが壊れてたの。そのまま形にしてくれて、読ませる形に作ってくれたんです。ポスターに入っているので是非見てください。壊れてるけど、『だいしん』なんです」(女川さいがいFMより)
女川さいがいFMと、これからの女川町
女川町は震災の津波で1000人が亡くなった、被災地でもかなり被害の大きい地域。加えて仕事がなくなり、家も流されたため、3000人以上が町を離れてしまい、人口減少率は現在日本一です。
震災時、防災無線は津波で流されてしまいました。外からの情報の中にはデマも多く、町が混乱してしまいました。そこでみんなが正しい情報を知ることが出来るように、とコンテナの中に設備を作り、10代から30代の若者が中心となって立ち上げた放送局が「女川さいがいFM」。
今回のポスター展覧会企画について、この女川さいがいFMが、実際に作った人達にインタビューしラジオ放送、ポッドキャストで全国どこでも聞けます。
3月21日にJR女川駅が再建され、2年前から度々訪問しているももいろクローバーZのお祝いスペシャルステージも開催。翌日22日には「女川復幸祭」も開かれます。女川ポスター展は2月21日から5月31日までの予定。その後は全国でも展示される予定です。
(たまごまご)
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