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「スヌーピーミュージアム」がオープン 「ピーナッツ」愛が深まる生原画、秘蔵資料、仕掛けの数々

スヌーピーで知られる漫画「ピーナッツ」のテーマ施設「スヌーピーミュージアム」が4月23日に開館。作者の息遣いが感じられる展示や解説、館内外の至るところで出会える「ピーナッツ」キャラたち……より作品が好きになるミュージアムの魅力を紹介。

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 玄関前にはスヌーピーのオブジェが並び、中庭の木にはチャーリー・ブラウンの凧が引っかかっている。漫画「ピーナッツ」の生みの親、チャールズ・M・シュルツさんのコレクションを公開する「スヌーピーミュージアム」が4月23日に東京・六本木にオープンする。

 「ピーナッツ」の生原画、生前の私物、夫人や友人とのエピソード……展示や解説を通してシュルツさんを身近に感じ、そこからまた「ピーナッツ」への愛が深まるミュージアムに。21日に行われた内覧会には、亡くなったシュルツさんの妻であるジーン・シュルツさん、過去に数冊のピーナッツ絵本のイラストを手掛けたペイジ・ブラドックさんも参加。2人の解説とともに同館の魅力を紹介しよう。

4コマをまるごと全体にあしらったチケットカウンター

 「スヌーピーミュージアム」は、米カルフォルニアにある「チャールズ M.シュルツ博物館」から世界初となる公式の分館。2018年9月まで期間限定で営業され、本館が所蔵する貴重なコレクションを、半年ごとの企画展で次々と公開する。500点以上のオリジナルグッズをそろえたショップ「BROWN'S STORE」に、作品をテーマにしたオリジナルメニューが味わえるカフェ「Cafe Blanket」も併設。あらゆる角度で「ピーナッツ」の世界を堪能できる施設だ。

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入場者がもらえる「メモリアルチケット」。シュルツさんの1万7000点を超えるコミックから、来館日と同じ月日に発表された作品が印刷されている。デザインは1日4種類。そのまましおりとしても使える
入ってすぐ目に飛び込む壁面アート
チャーリーとスヌーピーのイラストは、4452枚ものコミックの紙を立体的に組み合わせたもの。本館にもある壁面アートに呼応する作品として作られた
シュルツさんの一生を並べた写真群。「シュルツの一生全てを一瞬にして見られるような可能性を見せている」(ペイジさん)
約60点の生原画

 企画展の第1回目は、妻のジーンさんがお気に入りの生原画や資料を約150点選んだ「愛しのピーナッツ。」。スヌーピーがバレンタインデーに「まだ僕を愛してる?」と問いかける4コマは、シュルツさんがバレンタインデーに夫人に贈った一枚である‐‐など、妻だからこそ知りうる彼のチャーミングな面々をジーンさんが解説していく。

バレンタインデーにシュルツさんがジーン夫人に贈ったコミック

 生原画をじっくり観察すると、スヌーピーの耳を黒く塗りつぶすインクの濃淡がくっきり見えたり、はみ出た枠線を修正液で上書きしていたりと、原画でしか分からない製作跡の数々が。「シュルツがどうやってこの作品を描いていったのか、筆使いなど全てがきちんと分かるというのは、印刷じゃ味わえない体験だと思う」とペイジさん。シュルツさんのペンを握る手が、生原画の前に浮き上がってくるようだ。

1960年代前半のシュルツさんの記録映像

 また夫人が「値段の付けようがないくらいかけがえのないもの」と鑑賞を一番に勧めていた、シュルツさんのドローイングの記録映像もお見逃しなく。スヌーピーがライナスを毛布ごとくわえて引っ張る絵を、シュルツさんが解説しながら鉛筆で描く。本人が描いている様子、さらに作品について語っている様子を残した映像というのは本館にもほとんどなく、非常に貴重だという。描きながらシュルツさんがふと、にんまりと口元を上げる表情が温かい。

私物のグローブ、愛読していたコミックの原画

 こうした執筆時の息遣いが伝わる展示に加え、シュルツさんが子どものころ愛読していたマンガ、漫画家仲間との野球で使っていたグローブ、友人の手紙にさり気なく描いた落書きといった私物の数々。「知られざるシュルツ」コーナーでも、最新の調査研究で見つかった未発表のスケッチや資料も公開される。小説家のよしもとばななさんや詩人の谷川俊太郎さんをはじめ、著名人が「ピーナッツ」への愛を語るパネルなど、さまざまな展示がシュルツさんの人となりを伝える。

貴重なビンテージグッズやアニメーションのセル画などが並ぶスペース。ケース枠が「ピーナッツ」キャラをモチーフにしていてキュンとくる
ところどころ空いている穴をのぞくと、ルーシーに嫌な顔をされたり、スヌーピーににらまれたり。館内のいたるところでキャラに出会えるのが楽しい
壁に書かれた、各著名人が語る「ピーナッツ」の魅力。ライナスの人形がもつ毛布がちゃんと布素材なのもうれしい

 合同インタビューで「なぜ『ピーナッツ』はこれほど人々に愛されるのか」と聞かれ、ジーンさんとペイジさんはそれぞれ「自分自身を作品につぎ込んできたから」という共通の答えを口にした。

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左からペイジ・ブラドックさん、ジーン・シュルツさん

「シュルツが絵を描く上で必ず実践していたことが、腕を動かすだけでなく、自分の精神を全てつぎ込むということでした。誰かにっこり笑ったキャラを描くとき、自分もにっこり笑ったり。ルーシーが大口を開けて怒り狂っている姿を描くとき、自分も同じ感情をなぞっていた。ただ絵を描くのではなく、全て自分の中から湧き上がっているものとして作品を作り続けていました」(ジーンさん)

「シュルツは常々『自分自身を明かしてきた』と語っていました。つまりシュルツにとってどういったことが怖くて何に喜びを覚えるのか、包み隠さず作品やキャラを通じて伝え続けていたわけです。クリエイターが何かそういうことを率直に伝えようとしたとき、受け手側も非常にまっすぐに受け止めるんじゃないかと思います」(ペイジさん)

 ミュージアムでシュルツさんの生を実感すればするほど、「ピーナッツ」への愛もより増幅されるかもしれない。チケットは日時指定の予約制(前売券に余裕がある場合は当日券も販売)。開館時間は10時~20時(入場は19時30分まで)で、入館料は日時指定前売が一般1800円だ。

ミュージアムショップ「BROWN'S STORE」
木のぬくもりあふれる空間に、チャーリー・ブラウンのシャツのギザギザ模様が散りばめられている
オリジナルグッズは500点以上
企業とのコラボブランド商品はクオリティがまた一段と高い。河合楽器製作所による、シュローダーのトイピアノを再現したミニピアノ
「コップのフチ子」で知られる奇譚クラブとコラボした、カプセルトイのガチャガチャコーナー。使用済みカプセルのくず入れの周りに、ウッドストックのイラストが描かれている演出もキュンと来る
併設カフェ「Cafe Blanket」。昨年10月に目黒川沿いにオープンした一軒家カフェ「PEANUTS Cafe」がプロデュースした
壁に「ピーナッツ」のイラストを飾り、大きな窓から自然光を取り入れた落ち着く空間。テラスと合わせて約100席ある
犬のエサ皿そっくりの器に、シュルツさんの好物ツナサンド、ピーナッツバター、フライドポテト、ミニコーンドッグを盛りつけた「スヌーピーディッシュコンボ」(1480円)。写真右は、サリーの妹がライナスを「私のバブーちゃん」と呼ぶエピソードにちなんだミルクセーキ「マイスウィートバブー」(900円)

<施設情報>

スヌーピーミュージアム

期間:2016年4月23日~2018年9月

開館時間:10時~20時(入場は19時30分まで)

住所:東京都港区六本木5-6-20

電話番号:03-6328-1960

入館料:日時指定前売券が一般1800円、大学生1200円、中高生800円、4歳~小学生400円 当日券はそれぞれ+200円

オープン記念展「愛しのピーナッツ。」

会期:4月23日~9月25日、会期中無休

黒木貴啓

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