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ぬいぐるみだってお泊まりしたい! ぬいぐるみのためのカフェサービス「やわらかん’s cafe」なぜ人気?

ぬいぐるみを大切にする“ヌイグルミスト”が笑顔になれる場所、ぬいぐるみカフェ。

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 ぬいぐるみによる、ぬいぐるみのためのカフェサービス「やわらかん's cafe」がぬいぐるみを愛する“ヌイグルミスト”たちの間で話題になっています。

お客様もスタッフもぬいぐるみのみのカフェ

 「やわらかん's cafe」のコンセプトは、参加者の大切にしているぬいぐるみを預かり、カフェで2泊3日の滞在を楽しんでもらうというもの。

 滞在中、ぬいぐるみたちは「自分の名前入りオムライス」を食べたり、「トランプ」や「絵本の読み聞かせ」などのアクティビティを楽しんだりと旅行を満喫。持ち主はその様子を、随時更新されるFacebookで見ることができます。いつもの“うちの子”とは違う、いきいきとした様子が見られると評判です。

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 現在「やわらかん's cafe」は月に1~2回完全予約制で開催されていますが、毎回予約枠の争奪戦が行われるほど大盛況。今回はそんな「やわらかん's cafe」のオーナー・スズキミさんと、ぬいぐるみスタッフのみなさんに話を聞きました。

――「やわらかん's cafe」のサービスについて教えてください。

 ぬいぐるみのオーナー様からぬいぐるみを送っていただくと、まずクロネコ係(送迎役)のチューチューがお迎えにいきます。カフェに到着したら「ベリーウェルカムドリンク」で一息ついていただき、その後は特製のお名前入りオムライスや、スイーツやコーヒーを楽しんでいただきます。

毎回クロネコオフィスからカフェまでチューチューがお迎えに行きます
名前入りのオムライスは、カフェの看板メニュー

 ランチのあとはさまざまなアクティビティをご用意しています。みんなでトランプをしたり、怖い話をしたり。その日はみんなでお泊まりなのですが、オーナーさんがいないので、寂しくならずによく眠れるように、店長のヒラメのカレイちゃんが、寝る前に本を読んでくれるサービスもあります。

寂しくないように、というスタッフの心遣い

 翌朝はオーナー様のお家に帰る日。カフェでの写真「おもいでアルバム」や、オーナー様もぬいぐるみの思い出話と一緒に楽しめるように、こだわりのブラウンシュガーなどののおみやげとともに、オーナー様の元に帰っていただきます。

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――(ぬいぐるみたちに提供されるコーヒーを見て)これ、本物なんですね!

人間が飲んでももちろんおいしい、本格的なコーヒーを提供している

 そうなんです。ぬいぐるみ向けのサービスとは言え、そこはしっかりとこだわりたくて。コーヒーは提供前に豆から焙煎していたり、オムライスもぬいぐるみサイズに細かく刻んだ野菜を入れて、人間が食べてもおいしいと思えるようなものを提供しています。

――細かい部分にまでこだわっているんですね。始めたきっかけはなんですか?

 私が昔、おもちゃ会社でぬいぐるみの開発をしていたのですが、開発を13年間していくなかで、“ヌイグルミスト”たちの気持ちやツボが蓄積されていきました。

 そんなある日、大切なヒラメのカレイちゃんをぬいぐるみ専用のクリーニングに出したところ、クリーニングの様子をレポートしてくれたのが面白くて、自分の大好きなぬいぐるみを大切に扱ってもらえたことで、とても温かい気持ちになれたんです。自分ではクリーニングはできないけれど、何か他のサービスで“ヌイグルミスト”のみなさんに喜んでもらえないか、と考えたのがきっかけです。初めは旅行などのツアーサービスを考えていたのですが、私が妊娠をしたこともありカフェに転向しました。

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――カフェの装飾、見れば見るほどとてもリアルで、細かく作られているのですが、すべて手作りなんですか?

あまりにもリアルで、ミニチュアサイズであることを忘れてしまう装飾

 カフェをオープンすることになり、人形用の家具や、インテリア用の小物などを少しずつそろえていきました。カフェ自体のセットや、紙もの布ものは全て手作りです。セットは夫も手伝ってくれたんですよ。

――旦那さんももともと“ヌイグルミスト”だったんですか?

 いえ、夫は私と出会うまではぬいぐるみに全く関心はなかったのですが、今ではヒラメのカレイちゃんにネックレスをプレゼントしてくれるなど、とっても優しく接してくれています。

――あたたかいエピソードですね! 「お花見プラン」や「健康診断プラン」など毎回異なるテーマで開催されていますが、テーマはどのように決めているんですか?

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お花見をしながら、3色団子とお抹茶をいただくぬいぐるみたち
身長、体重、胸囲、視力などを測定

 基本的には季節のイベントに合わせて考えていますが、6月には「猫カフェ」をテーマに開催することが決定していたり、その時々の流行も取り入れています。今はネコブームということもあって「猫カフェ」はいつも以上に予約が埋まってしまうのが早かったですね。

 ぬいぐるみのみなさんが何度遊びに来ても楽しんでもらえるように、それとオーナー様以外にも公式Facebookで中継を見てくださっている人がいるので、みなさんが楽しめるよう毎回テーマにはこだわっています。

猫カフェは、すでにSOLD OUT

――ぬいぐるみ界にもネコブームが到来しているんですね……! テーマを決定後は、どのようにプランを詰めていっているんですか?

 テーマを決めたら、その後1カ月ほどかけてプランシートから絵コンテを書き出していきます。

 事前に遊びに来るぬいぐるみの性格や個性、バックグラウンドなどをヒアリングしておき、その情報をもとに「このシーンでこの子はどんな動きをするかな」「きっとこんなときはこうやって言いそうだな」などどんどん膨らませていき、それを絵コンテに描いていきます。当日は絵コンテに沿って進行していくので、この作業がとっても大切なんです。

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――聞けば聞くほど、ぬいぐるみとヌイグルミストへの愛が伝わってきますが、「やわらかん's cafe」運営にあたり大切にしていることはなんですか?

 人間同様、とにかくホスピタリティあふれる接客をするように、私自身も、スタッフのぬいぐるみたちも徹底しています。自分がお店に行ったときにうれしいことをしてあげたい。ぬいぐるみだからといってチープなものでいいわけではなく、大人の女性が心から喜べるように、かわいいと思えるように、小物も食べ物もこだわっています。

 あとは、オーナーのみなさまは写真で様子を見ることしかできないので、写真には特にこだわっています。ぬいぐるみが生きているように、いきいきとして見えるように、何枚も何枚も撮影しているんです。

――どんなヌイグルミストの方が“うちの子”のためにサービスを申し込んでいるんでしょうか?

 やりとりの印象ではビジネスパーソンなどの、細やかでしっかりとした女性が多い印象です。また器用な方が多く、ぬいぐるみが手作りの洋服を着て遊びにくるケースも多いです。今回の「健康診断プラン」に参加してくれた子は、健康診断ということを考えちゃんと前開きの洋服を着せてもらっていました。

前開きの洋服なので、胸囲も計りやすい

――そういうちょっとした心遣いをちゃんとぬいぐるみにもできるのが、ヌイグルミストなんでしょうね。そんなヌイグルミストの方々の反応はいかがですか?

 大切なぬいぐるみを、ひとつの命として、大切に扱ってくれるサービスがまだまだ少ないので、そういったところで喜んでいただけています。おかげさまでリピーターの方々も増えてきていて、満足していただけていると実感できて私自身もとてもうれしいです!

――今後「やわらかん's cafe」でチャレンジしたいことはありますか?

 もうすぐカフェオープン1周年を迎えるので、普段は人間は立ち入れない、ぬいぐるみ向けのサービスですが、ぬいぐるみも、ぬいぐるみのオーナーのみなさまも一緒に遊びに来ていただけるよう、実際のカフェを借りてリアルお茶会イベントを開催したいと思っています。リアルお茶会イベントの詳細は、もうすぐ発表できると思います!

――最後に「やわらかん's cafe」に今度“うちの子”を参加させたいと思っている方、知らなかったけど今回興味を持った方に一言おねがいします。

 いつも一緒にいるぬいぐるみが自分の手を離れてしまうのは寂しいかもしれませんが、それ以上の感動を感じていただけてると思っています。おみやげといっしょに、またあなたの元に戻ってきたときの、愛おしい気持ちもぜひ感じていただけるとうれしいです!


 最後に「やわらかん's cafe」で働くスタッフぬいぐるみたちの紹介で締めくくりたいと思いますが、せっかくなのでリポーターもぬいぐるみにしてもらうことにしました。北海道から来た、筆者のぬいぐるみ“モコ”が担当します!

ヒラメのカレイちゃん:店長のヒラメのカレイちゃん。以前は「木更津アサリ保育園」の保育士として働いていたが、オーナーの引越しにより通勤が大変になってしまったので、もともと夢だったカフェを挑戦することに。脱サラだったので、不安なことは多かったものの、スタッフに恵まれ、無事に運営できている
長谷川サルさん:元々知り合いだったヒラメのカレイちゃんがカフェをオープンするということで、手伝うことに。コーヒーを入れるのがどんどんうまくなっているが、それに比例して手が茶色くなってしまったのが悩み
ヘビちゃん:高校を卒業したてで進路に悩んでいたとき、カフェのアルバイト募集のポスターを見て応募した味見係。味見係と言えど、企画会議にも積極的に参加して、カフェ運営を盛り上げるためにがんばっている
チューチュー:お客様をカフェまで送迎する、クロネコ係。仕事のあとの一杯が、何よりも幸せ

(大原絵理香)

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