宿泊中ずっと読書にひたれる「泊まれる図書館」 佐賀の温泉地で実現へ
クラウドファンディングの成功で実現の運びに。
佐賀県佐賀市の古湯温泉に、夜通し読書ができる宿泊施設「泊まれる図書館」ができることが決定しました。プロジェクトはクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」での資金調達を経て、今夏のオープンを目標に進行しています。
築110年の古民家をリノベーション。昼はカフェ付きの図書館として、夜は図書館を丸ごと独占できる1日1組限定の宿泊施設として営業するとのこと。本に夢中になっているうちに、いつの間にか迎える朝をイメージし、名前は「暁(あかつき)」と決めているそうです。
主催者は福岡の企業でWebデザインを務めるかたわら、古本屋を営む白石隆義さん。ネットカフェのように漫画だけではなく、書籍を夜通し読める場所がほとんどない現状に気づき、「泊まれる図書館」を思いついたそうです。
白石さんは九州各地の温泉を巡った結果、福岡市や佐賀市からのアクセスが良く、静かで風情のある古湯温泉での開業を選択。本を介して人がつながる、「本好きの聖地」を目指しています。
プロジェクトには、寂れつつある温泉街を活性化する意図も。あくまでも「暁」は読書および宿泊の場とし、飲食や入湯は別の施設で。温泉街全体が1つの宿として機能する、「マチごと旅館」を構想しています。
蔵書数は2000冊を予定。公共図書館のように広範囲のジャンルをそろえるのではなく、本を読む「人」を基準に選定します。うち1600冊は、80人の読書家に20冊ずつ選んでもらい、1冊1冊に選者のコメントを添付。残りの400冊中、200冊はクラウドファンディングの出資者に、もう200冊は古湯温泉の住民に、渾身(こんしん)の1冊を選んでもらうそうです。
クラウドファンディングは目標額の160万円を上回る、186万2000円の出資を受け無事成功。資金は本の購入費と本棚の製作費にあてられ、目標額を超えた分は、座布団や読書灯など、快適な読書の環境作りに用いるそうです。
(沓澤真二)
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